コロナ下での「音楽発表会」。

緊急事態宣言の間は「ステージの上に6人以上同時に上がってはだめ」といった制限を設けたホールもあり、そういうところでは当然「集合写真撮影はなし」となりました。集合写真の並び方って「三密の象徴」みたいなものですから、しょうがないです。

 

ただ、宣言が解除され、「椅子と椅子の間隔を少し広く取る」などの対策をとりながら、ぼちぼち「集合写真撮影」が復活してきており、写真屋が写真屋の腕を発揮できるようになり、うれしく思っています。

 

一般の皆さんは気づかないと思いますが、「集合写真の並べ方」には、いろいろな「プロならではのテクニック」が含まれており、素人さんには、なかなか真似ができることではありません。

 

 

さて、この写真に写っている「集合写真のセッティング」ですが、画面右側が客席方向で、これは、「1列目 椅子に座る」「2列目 床に立つ」「3列目 木の箱の上に立つ」「4列目 椅子の上に立つ」という「4段組み」のセッティングです。

 

実際は、この写真の状況の後に、あるテクニックを使用して、微調整をするのですが、だいたい、こんな感じにセットします。

 

ここで、一般の皆さんは、違和感を覚えるかもしれません。

 

「4列目の椅子が反対を向いている」と。

 

そう、たしかに「逆を向いている」状態です。おかしいと思うのが普通です。

でも、この向きにすると、後方から、この椅子に靴を脱いで上がる際に、じゃまになる背もたれがないから楽なんです。

また、ちょっとふかふかした椅子だと、上に乗ると足元が不安定ですが、バランスを崩した際に、前にある背もたれを手で掴むことができて安心です。

 

こうやって説明されると、「なるほど、ガッテン!」となると思いますが、これ、プロでも知らない人がけっこういるんです。

私の写真の師匠もこれを知らず、普通に前を向いて椅子を置いていました。その師匠に教わった私もずっと、「逆向きにしたほうが楽」なんてことは思いつきもせず、この並べ方で何年もやってました。

「反対向きにする」なんていう発想がまったくなかったのです。

 

ある発表会の時に、そこの先生から「去年の発表会の写真屋さんは逆向きに置いていましたよ」と指摘され、その瞬間は「そんなバカな?」と思ったんですが、実際に逆向きに置いたら、「これは上がり下りが格段に楽だ」とすぐに理解しました。それ以後は当然のように逆向きにセットしてます。

 

あとから考えると、「なんでこんな簡単なことに何年も気づかずに仕事をしていたんだろう?」と自分の無知を恥じるばかりです。

 

 

というわけで、集合写真の並べ方には、様々な「プロならではのテクニック」が隠れている、ということに関心をもっていただけたら幸いです。