ご贔屓の桂枝太郎さんに切符をとっていただき、地元で開催された「はこぶね寄席」という落語会を聞きに行ってきました。

このメンバーで、この料金は安いです。

 

地元の政治家が役員になっている「ボーイスカウト」の団体が主催するイベントで、会場の外でも、隊員の子どもたちが誘導してくれたりして、エレベーターのボタンまで押してくれて、「ありがとう えらいね」って感じでした。

 

さて、その内容はこんな感じ。全体的に、「落語をあまり知らない素人さん向けの入門落語会」みたいな演目でした。

 

 

①前座 れん児 「やかん」

やかんって、前座噺ってことになってますけど、けっこう難しいです。呂律が回らない所がいくつかありました。あと、昔の言葉が今の人には理解しづらいってのもあります。

 

②枝太郎「狐裁き」

こういう会では新作はやらず、動物も出てくる、子供向けの古典ってことになりました。枝さんの声は「小狐」とかに合います。面白かったです。

 

③鯉昇「時そば」

時そばなんだけど、鯉昇さん独自に改作したもので、落語通でも楽しめるようになってて、面白かったなあ。

 

「仲入り」

④トークショー ~歌丸を語る~

枝太郎さんが仕切り役でしたが、「横浜人図鑑」でも、宮内さんに負けて全然しゃべれなかったように、仕切りはうまくないですね。

三平さんはアドリブ下手だし、鯉昇さんもそんなにべらべらしゃべる人じゃないし、花緑さんも、ネタが少なかったし、地元の南区民としては一番期待していたコーナーなのに、そんなに面白い話が出ず、いまいちでした。

 

④三平「ざるや」

前半の漫談部分が非常に長い。それはいいんだけど、なんだろう、「悪口」ばかりで、なんか気分が悪くなりました。落語界の身内の悪口は、この業界の風習として許せるんですが、「浅草演芸ホールの客はひどい」という話はちょっと嫌になりました。自分が「浅草にしょっちゅう通ってた」というのもあるんですが、「いくら浅草でもあそこまでひどい客はいないよ」「今、コロナでどこの寄席も客が減って大変ななか、木戸銭払って見に来ている大事なお客さんに対して、ひどくないか?」と思いました。

また、漫談も、「隣に囲いができたねえ へ~」クラスの、小学生用の小咄とかばっかりで、あまりにも客を馬鹿にしてないか? とも思いました。寄席で見る時はもっと面白い漫談なんだけどなあ。

後半の古典落語は、全然面白くなかったです。落語やらずに漫談だけやればいいのに。

ただ、素人客にとっては「笑点に出ていた有名人を生で見れた」ということで、皆さん、すごく喜んでいました。

 

⑤花緑「芝浜」

10月に芝浜というのも面白いです。初心者向け落語会ということで、「最も有名な人情噺」をかけたと思います。花緑さん、うまくなったなあ。完全に頭の中に入っている話でも、堪能しました。良かった。

 

3時間近い、長時間の落語会でしたが、とても楽しませてもらいました。次回も行きたいです。

 

さて、最後に、「舞台関係の仕事をしている人間」として、気になったこと。

 

今回の落語会、なんか、マイクの調整がよくなかったです。マイクが遠いんです。

 

 

枝太郎さんのちょっとか細い声だと、正直、聞き取りにくいです。枝太郎さん本人も気になっていたようで、「後ろの席の人、聞こえますか?」と何回か聞いてましたが、今回、高齢の客も多く、よく聞こえていないお客さんが大勢いたと思います。

 

鯉昇さんなんか、「ぼそぼそ小声でしゃべる」のが売りの人なので、マイク調整をうまくやらないと、ほとんどの人が「聞こえない」ってなってしまいます。

 

(ドサ回りの演歌歌手の人とか、マイク事情の悪い会場でも歌うので、その場所その場所のマイクの響き方に合わせて歌い方を変えるようなテクニックがありますが、鯉昇さん、そこまでできなかったのかな?)

 

三平さんの「大声で叫ぶだけ」というスタイルは、今回のマイク事情にはちょうど良かったです。

 

最後の花緑さんは、声に芯があって、マイク事情が悪くても、しっかり響かせるような発声をしていたと思います。前の演者の様子を見て「今日のマイクはいまいちだな」と感じて、それに合わせて調整したんでしょう。

 

素人団体の手作りイベントみたいでしたから、こういうこともあるのかもしれません。

逆に言うと、「PAさんがプロの仕事をしているから、他の公演はちゃんと音が聞こえるんだなあ」とわかりました。