まずは昔話を先に。

 

1979/1/20 横溝正史原作、西田敏行さん主演の角川映画「悪魔が来たりて笛を吹く」の封切りを見に、東京の丸の内東映という映画館に出かけました。その頃、斎藤とも子さんという女優さんが好きで、彼女が登場する「初日舞台挨拶」があるというので、それを目的に行ったのでした。ただ、当時高校生で学校があったので、半ドンの授業が終わってすぐに有楽町まで行っても、舞台挨拶を最初からちゃんと見れないことは覚悟していました。

 

そんなわけで、観客が全員客席に座り、舞台挨拶が始まってすぐの時間に、映画館に到着。ロビーには誰もいません。おしっこが我慢できなかったので、急いでトイレへ。

そして、トイレから出た時に、そこへ猛スピードで走ってきた女子中学生に激しくぶつかりました。

「いて! 危ないよ君!」

彼女は「あ、すいません!」と頭を下げて、また、急いで走り出し、視界から消えました。

色黒でかわいい子でした。「女子中学生が一人でホラー映画を見るのか?」とも思いましたが、とにかく、客席へ。

 

そこでは舞台挨拶が行なわれていました。その舞台挨拶が盛り上がってきたとき、司会者が

「実は今日、特別な人が応援にかけつけてくれました!」

とアナウンスして、そして、出てきたのが、なんと・・・・

 

薬師丸ひろ子」さんでした。

 

「野生の証明」に出演した翌年で、まだ「大スター」とはいえない時期で、この映画にも出演しているわけでもなく、本当に「応援のため」に角川さんから呼ばれたんだと思います。会場は「まさか、薬師丸ひろ子がここに来るとは?」と大騒ぎです。

彼女は「学校を終えて、そのままやってきました」と、中学の制服のままの登場でした。

 

「え??? さっきの女の子と同じ格好じゃん??? まさか、さっき自分にぶつかって、謝って、急いで消えた少女は・・・・・薬師丸ひろ子だったの!!!!」

 

驚きました。

 

 

な~んてことがありました。

 

さて、話は本題へ戻ります。

 

3月3日の平日月曜日。

日頃ひいきにしている、地元横浜市南区在住の落語家「桂枝太郎」さんが監修&出演している映画「みんな笑え」を見に、地元のミニシアター「ジャックアンドベティ」へ。

演芸好きとしては「落語家が主人公の映画」を見ないわけには行きません。枝太郎さんからも「ぜひ」と言われたので、冷たい雨の中行きました。

昼間の2時過ぎの上映。

予想はしてましたが、お客さん、少なすぎ。全部で9人でした。いわゆる「つばなれしない」人数というやつです。

 

20人くらいはいて欲しかったですね。

 

映画の内容は、親の介護に苦しむ、下手くそな落語家の話です。自分も今、親の介護をしているので、その苦労はよくわかります。涙なしには見られません。

演芸描写は「浅草演芸ホール」でロケをしており、臨場感がすごいです。

(録音&音響はかなり良かったと思います)

 

主役の 野辺富三さん、いい味出してますが、正直、落語が下手です。演技で下手にしているのか、もともと演技が下手なのかわかりませんが、「これで真打ちになっちゃだめだろ」というレベル。落語芸術協会の本物の落語家や漫才師も出演してますが、役は「居酒屋の常連客」とか「配送所の主任」みたいなもので、本物役では出ていません。個人的には桂文治さんが良かったです。

そして、これだけ落語が下手でつまらないのに、寄席に出番があるのがわからないです。普通はあんなつまらない落語家は出演させません。

そういった不自然なところもあり、両手を上げて「傑作だ!」とは言えませんでした。見る人によって評価は大きく分かれるでしょう。

ただ、女性漫才師役の女優さんは良かったなあ。彼女はいい。

 

ところで、この映画でも「舞台挨拶」をやっていまして、それは3月1日土曜と3月2日日曜の2回のみでした。本当はこの日に行きたかったのですが仕事があっていけませんでした。しょうがないです。

 

さて、映画本編は、最後にハッピーエンド的に終わり、「まあ、なかなか良かった」と満足した気持ちで出口へ。

 

出口では映画館のスタッフが「ありがとうございました」と頭を下げていますが、その中に・・・・・

 

え???  まさか??? そんな馬鹿な???

 

さっきまで大画面で見ていた主役の 野辺富三さんがいたのです。ごくごく普通の格好で。

でも、あの「すごい眉毛」は目立ちます。本人で間違いないです。

 

いや~ 感激ですよ。映画の主役の俳優さんが、出口で待っていて、お客さん全員に「ありがとうございました」って声をかけているわけですから。それも映画の役みたいに、ボソボソと。

ほんとびっくりしましたが、握手をしてもらいました。

 

いやあ、うれしかったなあ。

この「驚き」と「感激」は、46年前の薬師丸ひろ子さん以来です。

 

ありがとうございました。

 

というわけで、小規模上映ではありますが、今後、全国各地で上映されますので、皆さんも「みんな笑え」、見に行って下さいませ。

 

 

※NHKラジオ「小痴楽の楽屋ぞめき」3/2放送でも宣伝してました。