「ガス人間第一号」という傑作恋愛映画【ネタバレなし感想】 | キタコの世界映画博

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ガス人間第一号

 

あらすじ

連続して銀行強盗殺人が発生。

犯人を追跡した刑事がたどり着いたのは、日本舞踊の家元の邸宅。

身体がガス化する謎の人物と、追い詰める警察と、美しき家元。

 

1960年に作られたとは思えないSF怪奇サスペンス特撮映画。

八千草薫を推したい

変身人間シリーズ3部作の3作目から観る勇気。

 

傑作と聞くと、ハードルが上がってしまうものだが。

ラスト数分、息を呑み続けて窒息しそうになった。

 

当時、海外アメリカでも大ヒット。

ハリウッドで続編も企画された逸品。

実際に鑑賞してみると、明らかにその後の流れを作ったとわかる。

称えられる理由が、よく見える。

 

ガス人間の悲劇である。

ガス人間は、いざとなれば姿を消せるので。

消したところで物体として存在してしまう透明人間よりも、無敵の能力だ。

 

その気になれば、一国を動かすことも可能。

だがそこは、野心に限りある庶民の出なので。

近場の欲望に能力を全投入。

求めるものは、愛である。

 

私事ながら、アイドルオタクの当方にはよくわかる。

我々(キモイ)は、アイドルを「推し」と呼ぶわけだが。

今作は実に正しい、推しの推し方であろう。

身を粉にして働き、推しの元に通い、金をつぎ込む。

 

推しの笑顔が見たいから。

ただただ、推しのやりたいことをやらせたい。

それが彼女の幸せならば。

ガス人間がオタクの鑑(かがみ)だったとは、驚いた。共感しかない。

 

この構図設定で必要なものがある。

推しの魅力である。

そこにキャスティングされているのが、八千草薫だ。大正義ではないか。

スタッフ、キャスト

本多猪四郎監督

ゴジラ』の6年後、『モスラ』の前年に作られた本作。当時は見たこともないような特殊効果で人を大いに震え上がらせるのだが、テーマは愛。傑作の所以。

円谷英二特技監督

肉体がガスになる過程が、素晴らしい! ガスの色味も不穏。ガス顔面の不安感。中身のない衣類が動く、それがこんなにも不気味に映るとは。

八千草薫

家元・藤千代役。容姿の愛らしさもさることながら、声が良い。話し方が良い。優し気オーラが良い。瞳の白目部分がとても良い。

土屋嘉男

ガス人間・水野役。キノコにやられたり、ガスになったりと災難が続く。口数の多さに反比例して正体の知れなさが増すという、稀有な例。

三橋達也

刑事役。今では定型になっている「カッコイイおじさん」の元祖ではないか。大きな活躍はないが、実は主役。

佐田契子

新聞記者役。取材先にサマードレスで登場と、記者と思えぬオシャレ度。

左卜全

爺や役。まだ若い。ラストカットが忘れられない。

木村武脚本

マタンゴ』『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』『怪獣総進撃』しか観ていないが、全てが最高とはどういうことだろう。

ラストの余韻がインパクト

本多猪四郎監督+円谷英二特撮のゴジラコンビで、日常の変異である。

人体が消える。ガス化する。

荒唐無稽にリアルを詰め込んで増す、説得力。

特殊能力を持つ者が好き勝手な振る舞いをすることで、恐怖が駆り立てられる。

 

売りはSF特撮部分であろう映画なのに、もはや、メインは八千草薫の舞踊シーンだ。

かなりの時間、舞っている。

踊る家元に寄るカメラ。

そこに心情表現を全注入。

その導火線から繋がるラストシーンは、映画史上に残るインパクト。

 

警察署や新聞社の空気感。

キテレツ科学の、おどろおどろしさ。

音楽効果もあいまって、高まる緊張。

全編を通し、女性の感情をどう捉えるかで全く意味が変わることも大いなる魅力。

 

エンドロールはなく、終幕は「終」の文字が刻印される時代。

だから一層、凄まじい余韻に身が焦げる。

 

予告編

 

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※当記事は個人の感想でございます。情報に誤りがございましたらご一報いただけますと幸いです。

 

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『ガス人間第一号』
1960年/日本/91分
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:木村武
音楽:宮内國郎
キャスト:三橋達也、八千草薫、土屋嘉男、佐多契子、左卜全、田島義文、三島耕、小杉義男、坪野鎌之、権藤幸彦、佐々木孝丸、山田圭介、草間璋夫、緒方燐作、堤康久、松本光男、野村浩三、松村達雄、中村哲、山田巳之助、熊谷二良、伊藤久哉、村上冬樹、塩沢とき

 

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