ゴジラ映画の10作目。

『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』で登場したミニラが、子ども映画界に凱旋だ。

 

ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣総進撃

 

 

  短パン小学生の夢物語

 

70分間の映画である。

冬休みの子ども向け映画企画、第1回「東宝チャンピオンまつり」の3本立てのうちの1本だ。

前作にあたる『怪獣総進撃』でも活躍を見せたミニラが、子どもの案内人となる。

 

あらすじは、鍵っ子小学生・一郎の奮闘ストーリーだ。

一郎の夢に登場してくるのが怪獣たちのシェアハウス、怪獣島である。

いきなりすぎて、観客も戸惑うようなファンタジー。

パンアメリカン航空の飛行機で怪獣島に向かう一郎。

提供会社が分かりやすい。

会いたかった怪獣に会えて、一郎は有頂天。

 

いちばんの驚きはミニラが言葉を発する点だろう。

結構、饒舌。

もちろん、それは夢の中でのお話だ。

現実の暮らしは楽しい夢とは真逆である。

一人寂し気な鍵っ子一郎。

しかもある日、泥棒2人組に遭遇してしまったから大変。

小さな体に危険が迫る。

 

映画前半は主に『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』のリサイクルだ。

すでに見知ったシーンが続々とリプレイされる時間。

なるほど、初めて映画館に来るチビッコもいるのだから、紹介は大事だ。

そこに、新怪獣のガバラが登場。

ゴジラ・ミニラ親子と初対面するのだが。

 

そんなに怪獣は進撃しない。

本作の主題は、怪獣ではないからだ。(暴言

 

 

  キャストとスタッフ

 

一郎役の矢崎知紀はプロ子役。ゆるキャラ特撮『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』では、太郎役だったらしい!

 

天本英世の身ごなしがオダギリジョーに似ていると気づいた。一郎の、心優しい隣人役なのだが、ずっと優しいわけがないと思ってしまってごめんなさい。

 

堺左千夫鈴木和夫の泥棒2人が体を張っている。

 

本多猪四郎監督円谷英二特技監修関沢新一脚本である。ゴジラ映画のオールスタースタッフ。子ども向けに味付けされているが、ロケ地は川崎の工業地帯。当時の公害問題も添付された。

 

 

  怪獣参加型、児童映画の仕上がり

 

チビッコが観る前提で作られているので、子どもが大活躍。

泥棒2人に立ち向かう小学生男子である。

これが実によく似ている。

そう、大人気傑作コメディ『ホーム・アローン』に似ているのだ。

ワクワクである。

大の大人に後悔させるレベルの仕打ちを加える小学生。

 

もしや…と思ったら、Wikipediaにこんな記述があった。

アメリカでは『GODZILLA'S REVENGE』のタイトルで公開され、オープニングに独自の楽曲が使用された。1990年のアメリカ映画『48時間PART2/帰って来たふたり』(筆者注・主演:エディ・マーフィ)などで知られる脚本家のジョン・ファサーノは、いじめられっ子だった幼少時に本作を見たことがきっかけで、いじめっ子に立ち向かうようになったという。

映画人にとってこんなに嬉しいことはないだろう!

ということはだ、『ホーム・アローン』の脚本家ジョン・ヒューズが観ていた可能性だってある…ぃや、そう思うとより愉快ではないですか。

 

冒頭の公害の風景や、公開前年に発生した昭和最大の未解決事件「三億円事件」もダブらせているなど、世相も取り入れつつ。

特撮怪獣映画として観てしまうと、損をするかもしれない。

ここに込められた教訓とか、子どもの頑張りとか、もしや優れた児童映画なのではないかと思えてくる。

 

小学生のピチピチな短パンや、パンツ丸出しスカート。

そんな情景に刻まれる時代感。

高度経済成長期である。

映画まつりの雰囲気も知れて、得をした。

ちなみに、チャンピオンまつりの同時上映は『コント55号 宇宙大冒険』と『巨人の星 ゆけゆけ飛雄馬』だったそう。

 

…時代感!

 

 

 

 

 

1969年製作/69分/日本

英語タイトル:GODZILLA'S REVENGE
配給:東宝

監督:本多猪四郎、特技監修:円谷英二、脚本:関沢新一、製作:田中友幸、撮影:富岡素敬、音楽:宮内國郎、合成:向山宏、特技撮影:真野田陽一、出演:矢崎知紀、佐原健二、中真千子、堺左千夫、鈴木和夫、伊東ひでみ、天本英世、中島春雄(ゴジラ)、小人のマーチャン(ミニラ)、伊東潤一・森徹・覚幸泰彦(ガバラ)、内山みどり(ミニラの声)

カチンコAmazonPrime

※情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。

色んな映画を観ています。ブログ内の記事索引です。

映画タイトル50音順

 

↓クリックご協力いただけたら嬉しいですキラキラ

   ブログランキング・にほんブログ村へ