本日のテーマ

平穏無事に感謝する】

 

 

「自分にとって本当に価値あるものを知っているのか?」

 

15年前に、こんな疑問が浮かんだことがありました。

それは、改めてそんなことを考えたことがなかったからなのでしょう……。

 

 

もしかしたら、価値あるものとは、日頃気づかずにいて、失ってはじめて気づくものなのかもしれません。

 

若い頃は、親や教師、大人たちから注意を受けたり叱られたりしたことが、その時には分からなくても、大人になり、また親の立場になってようやく理解できることがあります。

 

例えば、子どもを持つ親は、かつて自分がしていた間違った行為を、我が子が同じようにしていることに気づくことがあり、その時にはじめて親が言っていた意味を理解できます。

 

親や大人たちによく言われてきたことは、
 体は大事にしなさい…
 人を大切にしなさい…
 真面目に働きなさい…

など、きりがないほど教えられたものです。

 

しかし、その時には本当の深い意味は分かりませんでした。
知識の無さや経験不足で想像することすらできずにいました。

人は、困ったり、悩んだり、何かを失うなどを経験しなければ、そのものの大切さに気づかないものかもしれません。
大病して、はじめて健康のありがたみが分かるようなものです。

 

今思えば、親や親切な大人たちが忠告をしてくれていたことが分かります。

 

起こってしまった事、例えば、事故、病気、トラブル等、これらの問題を解決した時には自然に感謝できることがあります。
「解決できて良かった!ありがたい」と……。

 

しかし、よく考えてみると、もっとありがたいのは、最初から問題事が起こらないことです。
このことを知っている人は、毎日無事に過ごせていることに感謝する気持ちがあります。

昔、祖母が、母が、家に帰ると仏壇に向かい、

「今日も無事に過ごすことができました。ありがとうございました…」

と手を合わせている姿がありました。

 

 

 

また、出張や旅行など、しばらく家を留守にする家族を見送るとき、出掛ける間際にこんな言葉もかけていました。
「お土産は、あなたが無事に帰ってくることだよ……」

 

悪い出来事が起こらないことが、一番ありがたいことだと、今なら分かるようになりました。

 

普通に穏やかに暮らせている時こそが一番幸せな時なのかもしれません。

平穏無事で、何事もないことこそに感謝をしたいと、わたしは思うのです……。