寺報162号のあとがき

◇令和四年、干支は表紙に書かれているように寅年です。動物に例えて虎です。一般に虎は強くて怖いイメージがありますが、本当は大変子ども思いの動物だそうです。秘蔵の金品を「虎の子」と言いますが、虎はその子を非常に愛護することから大切にして手離さないものを意味します。虎だけではなく多くの、否、殆どの生き物が子孫を残すために子どもを大切にします。人間から見ると、昆虫などは子孫を残す為だけに生きているのではないかと思われます◇しかし、その子が成人してから年老いて身体が不自由になった親の介護をするのは人間だけです。それぞれの置かれた状況に依って自助・共助・公助の比重が違うでしょうが、お互いがより良き道を求めたいものです◇時空を超えた宗教があるのも人間世界の特徴です。ですからその面倒見は生前だけに留まりません。葬儀をし、回忌法要をし墓参をします。生死を越えて思いやる事は親子だけに留まらず、あらゆる生きるものに敷衍したいものです。人間が万物の霊長と言われるのでしたら、その所以はここにあるのではないでしょうか。(亮昌)