2012年12月31日月曜日

海外治安攻略法①:海外から無傷で気持ちよくサバイバルして帰国するために

「日本は世界でもっとも治安がいい」とは、日本に住んだことしかない人であれ、国際経験が豊富な人であれ、多くの人が言うことかと思います。

実際、私も同感です。特に日本人にとっては、日本ほど治安のよい国はありません。夜中に一人で街中をふらふらしていても、一度たりとも危険な目にあったことがありません。自転車やバイクこそ何度となく盗まれていますが、スリにはあったことがありませんし、ましてや強盗にあったこともありません。街でドラッグが売られているのを見たり、銃声を聞いたこともありません。

日本では、財布、携帯電話、パスポート、クレジットカードなど、失くしたものがなんであれ、ありとあらゆるものが戻ってきます。これは日本以外の多くの国ではまず考えられない、信じられないことです。

逆に言うと、日本の外に出てみると、多くの国・都市で危険なことなり詐欺なりスリなりが普通に起きているということです。そして、日本と同じ感覚で生活していると、いろんな危険な目や盗難被害にあいかねないということです。

以前のブログで、留学できない9大理由の1つに、海外での治安が不安だというのを挙げました。今回は、海外での治安が本当のところどうなのか、海外での治安対策は何ができるのかを考えていきたいと思います。


日本の治安と世界の治安■

日本の治安はよいと、主観ベースですでにお伝えしましたが、実際のところはどうなのでしょうか。統計的な観点から日本とその他の国を比べてみたいと思います。

世界の治安状況を把握するには、UNODC(United Nations Offices on Drugs and Crime、国際連合薬物犯罪事務所)のGlobal Study on Homicide 2011や、International Statistics on Crime and Justiceが非常に参考になります。

Global Study on Homicide 2011によると、殺人(Homicide)率の低さで、日本はアジア51カ国中5番目に位置しています。これはバーレーン、ブルネイ、香港、アラブ首長国連邦に次ぐ順位です。

International Statistics on Crime and Justiceによると、犯罪種類ごとの世界全体における日本の位置づけは以下の通りです。

人身攻撃(Assault)率:下位25~50%内(参考例:アメリカは最上位25%内)
レイプ(Rape)率:最下位25%内(参考例:アメリカは最上位25%内)
強盗(Robbery)率:最下位25%内(参考例:アメリカは最上位25%内)
住居侵入窃盗(Burglary)率:上位25~50%以内(参考例:アメリカは最上位25%内)
 自動車窃盗(Car Theft)率:下位25~50%内(参考例:アメリカは最上位25%内)
誘拐(Kidnapping)率: 最下位25%内(参考例:アメリカは統計情報なし)

下位であればあるほど安全で、上位であればあるほど危険ということになります。

殺人率以外の統計は、各国の警察が収集・公開したデータを参考にしています。国ごとに集計方法が異なるため、国と国の間の差を完璧に比較できるわけではありませんが、それでも日本は割りと治安のよい国であるとは言えそうです。特に日本人にとってなじみの深いアメリカと比較してみると、違いは顕著なようです。


治安の観点でおすすめの留学・旅行先■

上で参照した国連による2つの統計を見ることで、治安のよい留学先・旅行先を見つけることもできます。

ここ10年間で治安のよい地域・悪い地域は、ズバリ以下の通りです。

治安のよい地域:
①アジア(例:中国、韓国、フィリピン、インド、サウジアラビア)
②ヨーロッパ (例:フランス、スペイン、ドイツ、トルコ、マルタ)

治安の悪い地域:
①アフリカ:(例:南アフリカ)
②北アメリカ(特に人身攻撃・レイプ・自動車窃盗 例:アメリカ、カナダ)
オセアニア(特に人身攻撃・レイプ・住居侵入窃盗・自動車窃盗 例:オーストラリア、ニュージーランド)
ラテンアメリカ&カリブ地域(特に強盗、例:アルゼンチン、チリ、メキシコ)

ところで、英語圏の主要国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、南アフリカ)は、治安の観点では全滅です。治安のよいアジアやヨーロッパの国々に行かれることをおすすめします。

※とは言っても、私はアメリカに住んでいた間、一度たりとも危険な目にあったことがないのですから驚きです。最低限守るべきことを守って生活していれば、まず何事も起こらないものですね。

上記は一般的な治安のよい地域・悪い地域ですが、1点忘れてはいけない観点があります。それは「日本人にとって」治安がよいかどうか、という観点です。

日本人をお金持ちだと考えている人の多い地域・日本人の見た目が現地人と異なる地域に行くと、日本人が集中的に狙われる危険性は飛躍的に高まってきます。一方、日本人が特にお金持ちだと思われていない地域・日本人の見た目が現地人と変わらない地域に行くと、日本人が特に狙われることはありません。

日本人が狙われやすい国の例では、フィリピン、インド、ラテンアメリカ、アフリカなどがあります。
日本人が狙われにくい国の例では、ヨーロッパ、北米、中国などがあります。

上記の理由から、現地で生活している現地人にとっては、極めて平和で安心して生活できる街・国であっても、日本人旅行者からすると危険極まりない街・国であることが多々あるので、注意すべきでしょう。

以上を踏まえた上で、おすすめの留学・旅行先の国をご紹介します。

おすすめの国:
アジア⇒中国(香港を含む)、韓国
ヨーロッパ⇒フランス、スペイン、ドイツ、トルコ、マルタ

日本人にとっての最新の渡航先治安状況を知るには、外務省の「海外安全ホームページ」を確認するのがもっとも近道です。外務省が集めた最新の海外の治安状況がアップデートされています。治安状況に合わせて、各国の地図の色が変化しているので、一目瞭然です。

治安のよいスウェーデンのベクショーやアメリカのリノなどへの在住経験、激烈なデモの真っ只中で「渡航の延期をおすすめ」されていたインド・カシミール地域のシュリナガルなどへの旅行経験がある私から見ても、外務省の報告はそれほど間違ってなさそうです。


安全対策①:渡航前の準備■

世界の治安状況を正しく理解した上で、これから渡航の準備を進めていきましょう。海外留学や海外旅行を安全・安心・快適に楽しむためには、以下の4つ(または5つ)のステップを踏むことが大切です。

①目的を明確にする
まず始めにすることは、海外留学または海外旅行の目的を明確にすることです。目的を明確にすることの大切さは、何をするにしても大事ではありますが、海外留学または海外旅行をする際には特に大切になってきます。

目的を明確にすることが大切なのは、それが渡航先で自分の身を守ることにつながるからです。渡航先では、ぼんやりした留学生・旅行者が真っ先に狙われます。目的意識が薄弱なままその場の楽しさ・気持ちよさに流されるような人は、例えば歩き方が遅かったり周りをきょろきょろ見渡していて注意散漫だったりするので、悪い人にはすぐにカモにされます。

ほとんどの人は、悪い人のカモにされるために留学・旅行するのではないはずです。渡航前から、自分の頭で考え、目的を持って行動するように心がけましょう。

②目的に合わない渡航先を候補からはずす
渡航の目的を明確にできたら、目的に合わない渡航先を候補からばっさりと外してしまいましょう。 世界には何百という国や、何万という街や学校があります。1つひとつ検討していたら渡航する前に人生が終わってしまいます。

研究者になりたい人は、世界大学トップ100に入ってくるような大学のない国への留学を検討しない。 英語を勉強したい人は、英語が苦手な人ばかりいる国への留学を検討しない。安く留学・旅行したい人は、先進国への留学・旅行を検討しない。安心して留学・旅行したい人は、外務省の海外安全ホームページで「十分に注意してください」と注意されているような国は候補から外す。

このようにして、時間をかけて 検討するに値しない渡航先をばっさりと切り捨ててしまいましょう。

③渡航先を決定する 
検討する渡航先がある程度絞られてきたら、後はじっくりと自分が納得いく留学・旅行プランを作り、渡航先を絞り込み、決定します。

(④旅行ルートを決定する)
渡航先を決定したら、海外旅行であちこちに移動する場合は、旅行中にすることや、旅行ルートを決めてしまいましょう。

何事においても言えることですが、最終的には早くから準備している人が勝ちます。旅行においても同様で、旅行を最高に充実したものにするには、渡航してから何をするか、どこに行くかを決めるのではなく、日本にいる間にどれだけ具体的かつ克明に旅行中の生活をイメージできるかが大切です。旅行ルートを真剣に検討することで、具体的なイメージがしやすくなります。

どのようにして入国するのか、ビザは必要か、滞在先はネット予約した方がいいのか、移動手段は徒歩・電車・タクシーか、運転手と交渉する必要があるか、言葉はどれだけ通じるのか、チップは払うのか、インターネットはどの程度使えるか、物価はどの程度か、体調を崩したときの対処法はあるか、宗教的マナーはあるか、旅行者がよく狙われる場所はどこか、旅行者が狙われるパターンは何か、観光名所や穴場スポットはどこか、トイレの使い方、現地でのお金の引き出し方、治安の悪い地域、観光地間の移動時間、どのホテルに泊まるのか、どのレストランで食事を取るのか、そのレストランで何を食べるのか、などなど。

日本にいる間から、いくらでも旅行中のプランを具体化することができます。安心かつ充実した旅行にするためにも、日本でできることは日本にいる間に準備してしまいましょう。まともな海外旅行をしたいのであれば、間違ってもノープランで渡航してはいけません。

旅行プランを具体化するには、旅行用のガイドブックを購入して、がっつりと参考にしましょう。日本語では定番の「地球の歩き方」がおすすめです。英語では「ロンリープラネット(Lonely Planet)」が、その圧倒的な情報量のために英語ができる人には一押しです。英語の勉強にもいいかもしれません。

⑤各種準備を進める
留学先・旅行ルートが決まったら、航空券を購入して、各種準備を進めていきます。準備する際に気をつけることをまとめたサイトがいくつもありますので、ここではそのうちのいくつかをご紹介いたします。

外務省海外安全パンフレット
アメリカ合衆国国務省ーTRAVEL.STATE.GOV-A Safe Trip Abroad
日本旅行業協会(JATA) 旅の情報
厚生労働省検疫所(FORTH)

どのサイトも少しずつ違う点が書かれています。厚生労働省検疫所のサイトでは、病気について、受けるべき予防接種などに関する内容が記載されていて、開発途上国に渡航する際には参考にしておくとよいでしょう。

渡航前には、海外留学保険や海外旅行障害保険は加入しておくことをおすすめします。何かあったときに、何百万円相当ものお金が突如必要になったときなどに、助かります。

私も、中国の上海に交換留学していたときに、ウイルスにかかって入院したことがあります。1泊20万円したのですが、交換留学プログラムの費用に含まれていた留学保険によって助かりました。

各種準備の中で、一番大事なことは心構えでしょう。留学中・旅行中には、渡航前には予想しない困難があったりするものです。新しいことに飛び込んでいく際にはいろんな心配も出てきます。

そんな心配を乗り越えるように、前向きな期待や冷静な判断力、自分自身に対する自信を持っておくこと、そうした考え方を持てるように普段から笑顔で、胸を張って、背筋を伸ばして、上を向いて生活することがもっとも大事だと思います。


安全対策②:渡航後の対応■

渡航した後は、渡航中の生活を全力でエンジョイするだけです。以下の3つを抑えておくことで、渡航中の生活を安心かつ充実したものにすることができます。

 ・体調管理⇒心身ともに無理をしない、食事に気をつけるなど
 ・安全管理⇒危険な場所・人に近づかない、貴重品を守るなど
 ・事件後対応⇒事件が起きたら現地の日本大使館・領事館や海外保険窓口に相談するなど

渡航後の対応に関しても、「⑤各種準備を進める」でご紹介したサイトが役に立ちますので、ご確認ください。

せっかく海外留学・海外旅行するのですから、現地での治安にびくびくおびえる現地生活を送るのではなく、安心してのびのびと現地生活をエンジョイしたいですね。

治安対策に対する2つ目の記事海外治安攻略法②:このウェブページ1つで完璧!渡航後の生活を夢のように安心・安全に過ごすための完璧テクニック大全をまとめましたので、こちらもご覧ください。

まとめ■

日本は世界の中でも治安が良い方なので、海外留学・海外旅行をする際には渡航先の治安に注意する必要があります。世界の中で治安のよい地域はアジア、次にヨーロッパで、実は非英語圏がおすすめです。渡航前から①目的を明確にする、②目的に合わない渡航先を候補から外す、③渡航先を決定する、④旅行ルートを決定する、⑤各種準備を進めることによって、安全・安心な現地生活を楽しむことができます。

お読み頂きありがとうございます。
少しでもお役に立てたらクリックお願いします↓。
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外留学(その他)へ


このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿