大学時代の一時期、銀座の老舗のバーでバーテンダーをしておりました。
大理石の柱、天井画、バー、VIPルーム
どれをとってもTHE銀座といった雰囲気のお店で、
中でも圧倒されたのは、面接を受ける際の個人情報を書き込む用紙に
「接客に使用できる言語」の欄があったこと。
英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語 だったかな。
これが銀座かと、エクスキューズの高さに鳥肌が立ちました。
そのお店では英字新聞の読み方も徹底的に指導して頂いて
働かせて頂いた期間はごく僅かだけれど、とても良い勉強になりました。
私、高校生の頃には、都内にある某大学の観光学部に進学したかった時期があります。
ただ、そこでは私の望む奨学金が出なかったから、自分が必ずトップになれる他大の道を選びました。それは辛い決断だったけど、正解でした。
お勤め先のホテルは、かつて私の行きたかった大学の卒業生(大学は違えど、海外で同じ教授に師事した仲間、しかも同い年)の女の子が、レセプションに立っています。
先日、「全部道は繋がってたね」と言い合いました。
どの道や手段を選ぼうと、自分の軸がぶれていなければ、努力や忍耐を惜しまなければ、きっと目標とする地点には到達できる。
ホテルでのお仕事では、海外のお客様も、沢山お見えになります。
語学を専攻したって、留学をしたって、50ヶ国旅をしたって、数ヶ国語を操るようになったって、外国語は母語並みに堪能なわけではないから、海外からのお客様に接客をする時はいつも初心に戻ります。
お名前からどちらのお国の方か事前に予想はするけれど
大陸の繋がった広い西洋は、二重国籍も移民も多いからあまり参考にはならなくて、
やっぱり大切なのは、笑顔と度胸。
「また日本に来た時は、君を指名するよ」と仰って頂けた時はとても嬉しくて、
でも、「果たしてその次回に、私はホテルに居るのかな」と一瞬頭の中を過る。
毎年、根無し草のようにマッサージをしながら海外を放浪していたのに、
それでも日本に居ようと思うのは、また会いたいお客様が居るからなのかも知れません。