だんだん寒さが身に染みるようになってきた朝。
いつものようにご飯を食べていると、あれ?りんちゃんが来ない。
私が食事を始めると当然のことのように(個食に耐えられない私がそう仕向けたのだが)
おかかをねだりに来るのに…。
おかしいな、と思いつつ、出勤日のため例によって時間がなく捜しに行く余裕はなかった。
食べ終えて食器を片付けていると、切羽詰まった顔をした愛猫登場。
前肢を肩幅に開いて呆然としている。
なに、今更来たってもうご飯終わったし。なにやってたんだか。
歯をみがいて、超ウルトラ簡単メイクをすませ、さ、行こうかなと猫トイレを確認すると。
え。
いつもの数倍荒れ果てた猫トイレ。
大きい方をしたようだが、それを隠すこともなく、猫砂が大々的に飛び散っている。
りんちゃん…。
そろそろおかかをもらえる時間だ、行かなくちゃ、行かなくちゃ、
あ、でもトイレしたくなった。あーん、にゃんちゃんがご飯食べ終わっちゃうよ、
早くしなくちゃ、早くしなくちゃと、トイレが終わると即行全速力で走ったのだろう。
トイレから出る時の猫砂のザザッという音まで聞こえてきそうである。
可笑しいやら、愛おしいやらで胸がいっぱいになった。
その時のりんちゃんの焦った気持ち、私にも経験がある。
わかる、わかるよ、りんちゃん。
おかか、食べたかったんだね!気がつかなくてごめんね。
今あげるよ!
遅刻がなんだ。
りんちゃんのこの気持ちにこたえられなくては、にゃんが廃るわっ。
私は急いてお皿におかかを注ぐ。
え?と輝くりんちゃんの瞳。
駆け寄る姿がキラキラのスローモーションに見える。
葛藤の絆で結ばれた幸せな私たち。平和。