「わっ、もち、赤!」
そう言って台所でうずくまる私を、りんちゃんがみつめる。
~どうした?というように、目をらんらんとさせているのが愛くるしい。
「おもちがさぁ、真っ赤なんだよ」
くんくん、くんくん。私の顔に鼻を近づけるりんちゃん。
心配してくれているのが、鼻息でわかる。
「ありがと」
少し落ち着いた私は、ゆっくりと立ち上がった。
調理台の上の切り餅を改めて見る。
個包装された四角いそれは、まさに赤。
え、まさか、全部赤なのか。
私は袋を手に取った。
よかった。白いのもあった。赤より多くあった。
なにこれ~。
初めて見た。
いつからこんな商品出回ってたの?
まだ心臓がバクバクしている。
よく見ると外袋には透明な部分があって、赤いおもちが入っているのは
わかるようになっている。
しかも、あなた、紅白おもち、と明記されているではないの。
購入した日が思い出される。
年末のポイントデーのスーパー。
あれやこれやとカゴに入れ、あ、おもちも!と思い出した。
私一人分だから、そんなに量があっても困る。
一番小さい袋を、一番小さい袋をと思いながらこれを買ったのだ。
そういえば小さい頃、冷麦にピンクのものが入っていたのがあった。
「これ、にゃんが食べる、にゃんが食べる!」と叫んでいた自分。
あの頃の私なら、この紅白おもちは嬉しかっただろうな。
しかし本年にいたっては、切り餅は白、という固定観念にがんじがらめになっている
私なのだ。
と、こんな幕開けの2023。
とりあえず心配かけた、りんちゃんに、おかかをあげました。
美味しかったです♪