ああ、今でも思い出す。
手を抜いていたなあ、子供の頃の歯磨き。
うちの子供達が小さかった頃は、『しまじろう』にどれだけ歯磨きが大切か、なんてことを教えてもらっていたけれども。。。そんなものは当時はないし。
時々保健室の先生がビッグサイズの歯ブラシで『こうやって磨くんですよ』的なことをやってくれていたくらい。
しかしながら、そんな過去のことを悔やんでいても仕方がない。
今を生きているのだから。。。なんて。
というのも、先日奥歯の詰め物がポロリとはずれてしまったのだ。
慌ててすぐに歯医者に行くと、
『あー、これは王冠にしないとダメですねー』とのこと。
若い女性の歯科医である。
マスクをしているからその目しか見えないんだけど、その目の中に確かに見えた、、、ような気がした、
お金のマーク
自己負担となる治療は相当儲かるらしいのだ。
それでも弱気ながらいちおう抗ってみた。
『王冠は健康な歯を削るんですよね? できればやりたくないんですけど。。。』
『ですからね、神経を抜かれた歯はもろくなっているんです。これに詰め物をしてもムダなわけです。』
『あ、そ、そうですか。。。じゃあ見積もりだしてください。。。』
すると若い女性歯医者の目がさらにキラリと光った、、、ような気がした。
そして治療の見積もりが送られてきた。
金額は、保険が負担する金額を差し引いても700ユーロを超えている。 ほほ〜。
それを健康保険に連絡する。保険が負担する金額の確認書がいるのだ。
電話の向こうの健康保険の事務員は
『これは少々ボラれている気がしますので、できれば別の歯医者でセカンドオピニオンをもらうことをお勧めします』という。
ちょうど近所に友達で歯医者がいるので聞いてみると『王冠のタイプは三つあって、タイプ1なら高すぎ、2と3なら妥当でしょう。だからどのタイプの王冠を予定しているのか歯医者に聞いてみたら?』と。
私は言われた通りに歯医者に掛け合ってみた。するとひとことで
『うちはこれしかやってませんよ』と、なんとタイプ1を指すではないか。。。やっぱりね。
いい金づるなんですな。
それはもう、『いやなら他の歯医者探したら?』とでも言いそうな感じである。
しかし歯医者の友達が言うには、今は患者が多すぎてどの歯医者でも予約は簡単に取れない状況とのこと。
足元見られてる、ってことですわな。
そんな感じで、結局は歯医者の請求する通りの金額を払うことなった。
まあね、歯を大事にしなかった私のせいでもあるわけだし。。。
そして、第1回目の治療に行ってきたわけ。
もう、失神でもしてしまうのじゃないか、とまで思ってしまった。
こんなひどい仕打ちを受けたのは初めてだと思う。
担当する歯科医は若い女性。これはどう見ても見習い。
助手を務める女性は言葉の訛りからして東の方の国から来たらしい若い女性。
しかしその二人、それほど年は変わらないみたいなのにドイツ語の敬称で話している。
歯科医の女性が『私が医者なのよ!あなたは単なるアシスタント!』というあらわれなのか?
それとも単純にどちらかがこの歯科医院に来たばかりなのか? ま、どうでもいいんだけども。。。
いや、もっとびっくりしたのは、この若い二人が私の大事な歯を治療している最中にこんな会話をしていたことだ。
助手『ヘアスタイル素敵ですね!どちらの美容院に行かれたんですか?』
歯科医『ホント?ありがとう!シュツットガルトの○○××っていうところに行ったのよ♪』
助手 『素敵だわ〜!』
とか
助手『あと1週間仕事すれば休暇なんです〜♪』
歯科医『いいわね〜、どこに行くの〜?』
助手『クレタ島に行ってきます。今から楽しみ〜♪』
私はそんな会話を聞きながら苦痛に耐えるべく体を硬直しているという信じられない状況
こんなことは日本では絶対に考えられないでしょ
その見習い歯医者がまたデリカシーのない手荒な仕事で。。。まず麻酔注射が痛い。
今までな何回か麻酔注射は経験したけれども、こんなに痛いのは初めて。
だいたい、歯の根元から1センチくらい離れたところに針が刺さってたし。
『え、そっち〜??』と頭の中でもがく私。
さてそれから1時間以上にも及ぶ戦いが始まった。
『何かあったら左手で教えてください』ですと。
でも注射の件はもう終わっちゃったから今から言っても意味ない。。。しょうがない。
それから1時間以上も、私の口は開かれたまんま。
ドリルからほとばしる水が顔や私のTシャツにまで飛び散ってたし。
いや、そんなことよりも、ドリルの金属と、さらに水分を吸引する金属のホース。
これが歯の上に置いた状態で作業されて、そこに時々唇の端っこをが挟まれて、超痛い
だって、まるでテコと支点の要領で使われている状況なんである。。。
言われたとおり左手をあげて『あの、唇が押されていたいんですけど』と言うと、最初は気をつけていたようだけど、そのうちまた挟まれて痛い状況に。
まあ詳細はともかく、こんな手荒な扱いを歯医者で受けたのは日本でもドイツでも初めての経験
1時間以上戦った後の私の唇。。。口は裂けて皮が剥けているし、口の中はガビガビ。
やっとこさで『はい、じゃあ口をゆすいでいいです』と言われ、
震えながら紙コップを持つ私に、若い女性歯医者は
『Alles gut?!』
この言葉がまた私の脳神経をさらに刺激する。
もー、この無神経な言い方キラい〜!
『大丈夫なわけだいだろ〜!』と言いたいんだけど、麻酔で口も動かせないし〜
『そんなこと聞くんだったら、おしゃべりなんかしないでマジメに集中して仕事しろー』
しばらくすると歯科医院長が入ってきた。
Wie geht es Ihnen? と聞かれる。
私は決して無愛想な人間ではない! でもここでは無愛想にならざるをえず、
Das war kein Vergnügen. 『楽しいことではない』と言うと、院長はそれを無視して、
私の口の中の工事現場をチェックした。
『日本で治療した歯だそうですね? とてもよくできています。』
『30年くらい前のものですけど』
ドイツの歯医者でこのコメントを聞くのは初めてではない。治療の仕方がちょっと違うのだそうで、どこで治療したのかと必ず聞かれる。
さて、やっと解放されて時計を見てみると、もう3時を指していた! 3時間もいたことになる。
それから歯科医院を後にした。
幽霊のようにヨロヨロと家路に着いたのであった。。。
ちなみにこの歯科医院のフェイスブックを覗いてみたら、『マジョルカ島での研修会』とか、オーストリアのチロルでの『社員旅行』とかどこかのホールを借りてのクリスマスパーティーとか、派手にやってるじゃあありませんか!
あー、ここの歯医者にはもう行きたくないよー!
でもあと2回行かなくちゃいけないんだよね。。。もー!
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