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これは、私が入隊して初めて体験した話です
自衛隊に入ると、まず教育隊って所に配属されて、自衛隊の基本を学ぶ前期教育(3ヶ月)、それぞれの職種を詳しく学ぶ後期教育(3ヶ月)それが終わってようやく各地の部隊に配属されます。その前期教育のときの話です


入隊してから1ヶ月ぐらいだったと思います
馴れない訓練や体力錬成で、夜寝ると朝までぐっすり眠りにつくのですが、その日は何故か夜中にふと起きてしまいました

携帯を見ると夜中の2時頃
(変な時間に起きちゃったなぁ、明日もあるし寝よう)と思ってたら
「うっ、、、うぅ、、」と唸るような声が聞こえてきました

私は目が悪いので、目を凝らしながら室内を見渡していると、
どうやら窓辺の2段ベットの上の同期の様でした
(変な寝相だなぁ)と思っていたら、
「うぅ~、、んっ、、うーん!、、うーーー!!」と同期の唸る声が段々と大きく
苦しそうになってきました

心配になった私が同期を起こしに行こうと思ったとき、
視界の端に赤い何かが見えました

視線をそちらに向けると、窓の外から女の人が同期を見下ろすように睨み付けていました
(えっ?誰?てかこんな時間になんで?侵入者か?)
とパニクっていると、おかしな事に気がつきました

女性の顔はまるでライトに照らされたように、こちらから見える左側の顔が赤く、反対側が青くなっていました、それに同期が寝ているのは2段ベットの上、
しかも窓の外は建物より低くなっていて、
身長3メートル以上は無いと見下ろすことは出来ないはず、、

ってか首から下が無いし、メガネかけてないのにハッキリと顔が見える
(あかん、あかん、あかん、あかん!夢夢夢、これは夢ですっ!(泣))
私は怖くなり、そのまま布団の中に潜り込みました

翌朝、同期が朝から金縛りにあったとか、教育班長が「ここは女の幽霊が出るって噂がある」とか言ってましたが、あれは絶対に夢(と思いたい)だったので、黙っていました

同期の金縛り事件も忘れるぐらい厳しい訓練が続きましたが、それも今日で終わり
明日からは、皆それぞれの職種の後期教育隊に移動
教育班長達も交えての宴会が終わり、
私は飲み過ぎて倒れたヤツを自分の班部屋で介抱してました
「ぎゃーーー!!」「うわー!」「やべぇ!やべぇ!」
急に隣の部屋から複数人の叫び声が聞こえてきました

いくら最終日でも騒ぎすぎだし、最終日に怒られたくない、と考えた私は注意するために隣の部屋に行きました
「おーい、ちょっとうるさいで」と言いながら部屋に入ると、部屋は真っ暗
部屋の灯りのスイッチを押すと、部屋の真ん中に携帯を見たまま固まっているのが1人、他の皆は部屋の壁にもたれかかって怯えていました

「うるさいで!何してんねん、最終日に怒られたくないでオレ」
と言うと、部屋の隅で怯えていた1人が話し始めました
「ちゃうねん、実は、、、、」

彼の話によると、皆で3ヶ月間の思い出話をしていたところ、金縛り事件と女の幽霊の話になり、皆で暗闇の中で写真を撮れば何か写るかもしれない、と部屋の電気を消して皆で携帯カメラで室内を撮影していたそうなのです

皆で暗闇の中携帯で撮ってたら、あの金縛りにあった同期が「撮れてもた、、、」と言うので皆で覗くと、、、、

「で、何が写ってん、見してみーや」
興味本意で金縛り同期の携帯を覗くと
そこには、あの夜の窓辺の女が至近距離で写っていました
顔の左側は赤く、右側は青くなっており、怨めしそうにこちらを睨んでいました
(うわー、、めっちゃ見てるやん、てか部屋の中に入ってるやんけ)
「あ、あ、あ、あほか、ここここんなもん偶然やがな
気持ち悪いから消せや((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
私は怖くなり、金縛り同期から携帯を奪うと写真データを消しました

毎年、あの部屋で寝ると金縛りにあう新兵がいるそうです