《东周列国·春秋篇》第26集 | 呉下の凡愚の住処

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三国志(孫呉)・春秋戦国(楚)および古代中国史絡みの雑記、妄想、感想をおいてます。
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他、中国旅行記や中国語学習記も。

第26集 专诸刺僚

あらすじは割愛です……
伍子胥が呉に到着しました。

東周列国・春秋篇 公子光 被離
▲被離と公子光(呉王闔閭)

東周列国・春秋篇 呉王僚 王子慶忌
▲王子慶忌(手前)と呉王僚(奥)

東周列国・春秋篇 公子光 被離
▲「あれは楚国のいたるところに
逮捕状が貼られている伍子胥だ」
白髪になったのに他国の公子に見破られている

呉王僚にお呼び出しされた伍子胥が
急に綺麗な格好になってておもしろかったです。

東周列国・春秋篇 伍子胥 専諸
▲こんな格好だったのに……

東周列国・春秋篇 伍子胥
▲次の瞬間にはこれに

伍子胥、呉の大夫になった途端に公子光に対して
既にすごく態度でかいのがおもしろすぎた……(笑)
王位を獲りたいと話す光に
「しかし公子も私に一つ約束しなければならない」とか言っちゃうし。

東周列国・春秋篇 伍子胥▲これが公子を見る目でいいのか……怖すぎる……

本人も死ぬことを覚悟の上で呉王僚暗殺に臨む専諸が
素朴ないいキャラなので結構つらかったです……
呉王は魚料理が好きだからということで、
専諸に魚料理を身に付けさせねばならないという話になり……

東周列国・春秋篇 専諸▲「(おいしい魚料理を)
もし自分が覚えられなかったらどうするんです?」

太湖で魚料理を練習する専諸、
光に「もっとおいしくできないの?」とか言われてて
なんかもうかわいそうでした……

東周列国・春秋篇 伍子胥 公子光▲味見してる公子光

思えば公子光、この話の中で魚食べてただけですね……
薪の上に寝てただけを超えてるな……
魚を味見し続けて王位に就いた男……!

専諸が魚料理の修行中に楚平王は死んでしまったらしい。
この話では言及されなかったけど、
費無極も楚昭王即位後すぐに処刑されているので
もう出てこないんじゃないかなあ……
報せを聞いて泣き叫ぶ伍子胥。

東周列国・春秋篇 伍子胥▲「どうしてこの手であの暴君を切り刻んで
車裂きにしてやれなかった!」

えっ、さらに車裂き!? って思ったけどまあ……そうか……
兄上は無実の罪で車裂きになっていますものね……
でもちゃんと殺す方法までシミュレートしてたのすごいね……

東周列国・春秋篇 伍子胥▲寝食もせず三日三晩この姿勢でいるらしい伍子胥

東周列国・春秋篇 伍子胥▲この鉄鞭は楚王と費無極のために準備していたそうです

いいね!! この鉄鞭の下準備!
マインドセットの方法でもよく言われますよね、
「目標を達成したときの気持ちを常に継続するために
 既に達成したと信じて身の回りの物も揃えていきなさい」
と。
すると脳が目標を達成したと思い込んで、現実がついてくると。
伍子胥すごいな……
春秋時代にして既に引き寄せの法則を使っている……
ん〜〜〜でも楚王死んじゃあしょうがないな!
人の寿命までは変えられんわな!!

いよいよ暗殺実行の日。
自分が呉王僚を討ったあと残される母のことが気がかりで
会食の場に遅刻する専諸。
でも母に計画を実行しろと説得され、
「(最後に)もう少し親孝行をさせてくれ」と言って、
ちょっと外出してお魚料理を作って帰ってきたっぽいのですが……
なんとその隙に専諸母は首を吊って死んでいたのです!

うわ〜〜〜これきついなあ……
「古代中国ってこういう話あるよね」の定番と言えば定番ですが……
思わず料理の入った壺を離して割れた音がしたのがまたつらい……

東周列国・春秋篇 呉王僚▲呉王僚ですが、闔閭より顔が好みだったなあ……
配役が逆ならよかったのに……

東周列国・春秋篇 伍子胥 公子光▲魚を運ぶ専諸を見守る2人。こんなん殺意で絶対にバレる

暗殺は成功、でも専諸もめった刺しにされて死んでしまいましたとさ。
つらいなあ〜……
専諸は素直で孝行息子で、陰謀渦巻くこの話の中でも
一人だけ明らかな好青年だったので悲しいです……
本人も目標を達成した瞬間が死ぬときだと覚悟の上なのに
一生懸命料理修行をしてて……居たたまれなかった。

命の重みが身分によって違うということですよね〜。
歴史物なんだからより当たり前なんですがねえ……
しかも伍子胥を救ってくれたのが専諸なのに、
専諸の側が伍子胥のために死ぬという理不尽……
専諸めった刺しのラストは心にきました……

専諸ってもっと暗殺者らしい暗殺者のイメージしかなかったので、
こんなおっとりしたかわいらしい青年だと考えたことはなかった。


主な登場人物:
伍子胥、漁父、公子光(呉王闔閭)、被離、呉王僚、王子慶忌、専諸

芦苇lú wěi:(‘根[儿]・丛・墩・片・垛duò’+)(植物)アシ、ヨシ。≒芦子lú zi、苇子wěi zi。
荡dàng:浅い湖。
石dàn:(古書中では‘shí’と発音する)
装疯卖傻zhuāng fēng mài shǎ:【成語】わざととぼけたふりをする。
当断不断dāng duàn bù duàn:【成語】決断すべき時に決断しない。
食言shíyán:食言する。約束をたがえる。
心怀叵测xīn huái pǒ cè:【成語】心中がはかり知れない。胸に一物ある。
瘸子qué zi:びっこの人。≒跛子bǒ zi。
莫属mò shǔ:(非~莫属の形で)~しかいない。~以外はいない。非我莫属=私以外はいない。
匕首bǐshǒu:[‘把’+]あいくち、どす。
钻心zuān xīn:钻入心中。常用来形容极度痛苦。
应允yīngyǔn:(…することを)承諾する、許可する、同意する。
盛殓shèng liàn:把尸体装入棺材。
浇jiāo:(水や別の液体を上から)かける。




以下、隙自語なので歴史関係ありません

もう、本編と全然関係なくて隙あれば自分語りのコーナーなので
こんな最後に書くんですけど……
公子光が
「子胥、なんでお前は食わず眠らずで三日三晩も過ごせるんだ……」
って言ったときに、伍子胥が
「自分が逃亡生活をしていた頃は街で乞食をしていた。
 三日三晩どころではなかった」
と返事していて……

「えっ!? 私もそれ言ったことある!
 私もほとんど同じ話を前職で何度もしたよ!!!」
と、高揚感と残念感と悲しみと楚人の心強さと……
を感じてうわあああああ!!!!! って取り乱してしまった……

確かに私の前の職場は本当に……大変な環境でした。
三日三晩、私の場合は食わずってことはなかったですが、
72時間中3時間も寝られないことなんて
数えていられないほどあったからもう物の数だと思ってないし。
まあ、寝ないでいると幻聴が聞こえ始めるんですが、
それでも別に普通にがんばれるんですよね。仕事だから。

「なぜそこまでがんばれるのか? 自分の身が大事ではないのか?」
とかね、言ってくれる人もいましたよ。
でも、10代の頃はお金がなくてもっとつらかったので。
伍子胥ほどじゃないですが乞食みたいな生活もしました。

「絶対に莫大な富を築いてやる、今自分よりも幸せなやつらより
 何億倍も多くの資産を築いてお前らには一円も分けん。
 それが私の復讐であり生きる道だ」って、
ずっとそのマインドで生きてました。
前の会社を辞めるまで根底に流れているものは
一度も変わらなかったなあ……
幸せなんて、死んでから考えるもんだと思ってたよ……
世界への復讐心しかなかったんだよなあ……
だから伍子胥が好きになったのかなあ……親和性が高いから……

あの頃お金も力もなくて、生まれてきたことが本当に悔しかったから、
三日三晩寝ないで、起きてる間中ずっと働き続けることなんて
なんでもないんですよね……

そうだよね? 伍子胥……
このドラマのセリフは創作だし、
伍子胥とは生まれも立場も境遇もいろいろ違うけど、
ここまで伍子胥と似たマインドが育っていたことに
うれしくも複雑な気持ちになってしまった……

そして伍子胥の言葉を聞いた公子光が何も言えず
「あっ……じゃあ、自分はこれで……」
と去って行くのを見て、
自分もだいたいそういう態度を取られていたのでものすごい既視感で、
もう笑うしかなかったです。
ワロスです。草って言うかワロス(古語)です。

そっかあ〜伍子胥そっかあ〜
私、伍子胥と同じようなセリフを人生で普通に発してしまってたかあ〜
といろんな意味で感慨深かったです。

でも現在の自分は、現世で幸せになりたくて、
伍子胥レベルの激しさは手放してしまった(と思う)し、
そこまで短気でもなくなったと思うんですよね……

いや、まあ、今でも怒りっぽいですが、
どちらかと言うともっとじめっとした感じで、
今はグチグチ感が屈原に非常に近いと思っております……
伍子胥を好きなのとは違って、屈原のことは、
嫌なところが自分に似すぎていてまったく好きではないのですが……
残念ながら屈原のいいところは微塵も似ていないが……

結局私は藺相如にはなれないのです……
楚にも名宰相って言われる人は(実は)いっぱいいますよ。
でも私は闘子文や子西(王子申)にはなれない……
ただしいずれにせよ、受けた恩も恨みもいつまでも覚えているのが
楚人という生き物です。私もそこは変わっていない。
どうか楚人と接するときは心の片隅に留めておいてください……

伍子胥のせいでどうでもいいことを思い出しちゃったよね〜。