都政新報を読んでいて、友人の高井さんが記事を書いていました。彼と知り合ったのは平成一桁の頃だったと思います。その後は、記事にあるようにかなり波瀾万丈な政治家人生を送り、後進の育成に務めているようですね。

 

 高井さんならでは記述もあるようですが、地方議員標準形というか、都市部の議員さんに共通しているような事項について書かれているようです。というのは、議員の行動原理や活動形態、意識、有権者意識など千差万別で、「言い切って良いこと」と、地域性があるものなどがあったりして、「決してこれが正しい。」がないのも現実です。

 

 真面目で優秀な方ですから、多くの情報に基づいて書かれていらっしゃいますから、お楽しみいただければと思います。

 

 都政新報より

 

 議員のトリセツ1

 特定行政書士資格の強み

 はじめまして、高井章博と申します。一応、表向きの職業は特定行政書士なのですが、実態は「選挙・政策アドバイザー」。世間で選挙プランナーとか選挙コンサルタントと呼ばれている職業と似ていますが、現職自治体議員さんたちの日常的な議員活動や政治活動における悩みごとに対しても、いろいろとアドバイスする点が大きく異なっています。

 

 私自身は中央大学法学部政治学科を卒業後、学校法人職員を経て25歳で三鷹市議に初当選し3期12年務めました。その後、市長選や郷里の町長選に出たものの落選したため、政治家を支える側にまわったというわけです。が、選挙支援をしていて、意外に多かったのが、「立候補届などの書類作成が大変なので、代わりに書いてほしい」という要望でした。同業者に話を聞いてみると、やはりそういう要望は多く、仕事として書類作成を受注しているというコンサルタントも少なくないとのこと。

 

 しかし、実はここが落とし穴でして、自治体職員の皆さんならもうお気づきでしょうが、立候補届や収支報告書といった、選挙管理委員会に提出する書類を作成したり、代理で提出したりする仕事は、行政書士資格を持っていないとできないのです。もし、行政書士以外の人が仕事としてこういった行為をすると、行政書士法第19条第1項違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰に処せられることになります。

 

 選挙プランナーという職業には法律上の定義が存在せず、開業するためには何の資格も必要ありません。ですから、中には法律の知識が全くない人もいて、知らずに違法行為をやってしまっているケースが少なくないのです。そのため、各都道府県の行政書士会(「単位会」と呼びます)の中でも、結構問題になっていたりします。

 

 そこで、私は行政書士資格を取得して、この種のニーズに応えようと考え、国家試験を受験して。2013年に行政書士登録をしました。それ以降は単なる選挙コンサルティングだけでなく、政治団体や選挙関連の手続きに強い行政書士として政治団体の各種届出書類や政治資金収支報告書、選挙の立候補届出書類や選挙運動費用収支報告書の作成や提出代理を受任しています。

 

 政治団体の各種手続きや選挙の手続きは、公職選挙法や政治資金規正法などの法律で定められ、一応は全国一律の制度ということになっているのですが、国会議員の選挙は国、都道府県の長や議会議員の選挙は各都道府県、区市町村の長や議会議員の選挙は各区市町村が、それぞれ実施主体となっている関係で、それぞれの選挙管理委員会(選挙長)の裁量に任されている部分が少なからず存在します。そのため、どの部分が全国一律で、どの部分が各選管の判断によるのか、ということを、ある程度理解していなければ、書類を作成したのはいいが、審査の際に多数の箇所で修正を指示されることになってしまいます。時には、選管の事務局職員が、法の解釈を誤って理解していることもありますから、こちら側としても、常に最新の情報を入手して勉強する必要があり、それなりの専門性が要求されるのです。

 

 このような仕事をしながら、これまでに関わった選挙は自分の選挙も含めて、ちょうど90回になりました。その他、選挙等をきっかけとして国会議員の秘書に就任することもあり、これまでに2人の衆議院議員の政策担当秘書と、1人の参議院議員の地元事務所長を務めました。合わせると実人数では66人。選挙の種類も、選挙区の規模も、所属政党も、地域も、年齢や性別も、全く違うこれだけの数の政治家と、どっぷり付き合ってきた経験をもとに、次回以降、議員との付き合い方などをご紹介していきたいと思います。

(特定行政書士、選挙・政策アドバイザー高井章博)

                                                      イイ

 今号から、職員にとって「議員はまちづくりのグッドパートナー」といい、『“イヤな”議員になる/育てる!』(公職研)の著書もある高井氏に、良い関係づくりのコツを伝授していただきます。

(編集部)