みなさん、こんにちは。

 

本日ご紹介する体験談は、2009年に終糸切断手術を受け、その後、長年に渡って他の患者さんを助けたいという思いから患者友の会の会長として活動していたイタリア人のマリーザさんの最新体験談です。

 

当研究所のホームページからご覧になる場合はこちらから。

 

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手術日:2009年6月

終糸切断手術から16年後の2025年2月3日、私は術後検診のためバルセロナを訪れました(最後の検診は5年前でした)。

ロヨ先生にバルセロナキアリ研究所の新施設を案内していただき、デジタル革命の時代に即した科学研究を実施できる最先端のツールを備えた施設でした。

ロヨ先生は、長年同じ目的と価値観を共有してきた仲間のような関係として私達を温かく迎えてくれました。ロヨ先生は、先生の医療チームとともに病気に対する低侵襲治療を開発し、人道的、倫理的、科学的価値を尊重しながら、研究、教育、社会的支援を行い、私は友の会の会長として、自分と同じ病気を持つ患者さんを助け、私達患者の存在意義を見出そうとボランティア活動をしてきました。他の人の人生に価値を与えることができれば、人生には目的が生まれます。

現在73歳になった私は、手術以降、健康に歳を重ねていると思います。当時、変性疾患、ひどい場合にはうつ病と診断した多くの医師のアドバイスに、私は耳を傾けませんでした。自分が精神疾患ではないことを確信していたので、定期的に処方されていた向精神薬の服用も拒否しました。

2006年に自分の病気がわかった時、外傷専門医にMRI検査を受けるように勧められ、その結果、脳神経外科を受診しなければならず、そこで大後頭孔減圧術を勧められました。手術を受けることに対して不安になったので、イタリア中の病院を受診しましたが、診断結果は変わらず、解決策も大後頭孔減圧術のみでした。

頭蓋骨を開くことは絶対に避けたいと思っており、インターネットのおかげでバルセロナキアリ研究所のホームページを見つけることができました。研究所のおかげで、私は体に負担の少ない治療法で病気を克服し、バルセロナで心と体の健康を見つけることができました。それまで多くの涙を流し、人生のどん底に落ち、孤独がどういうものかを実際に経験し、多くのもの、特に人生の重要な部分を失い、記憶さえほとんど眠っている状態でした。

2年前に、私は長年にわたりアイザックシスコ国際アーノルド・キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症の友の会の会長を務めていましたが、若い人たちに会長の座を譲り、また執筆という私の大好きなことに専念するため、会長職を退きました。そのおかげで2冊目の詩集を出版することができました。

ご存じのとおり、健康であれば年齢は関係ありません。年齢的にはまだ若い頃、私は自分が歳をとってしまったと感じていましたが、終糸切断手術後、当時58歳でしたが、年齢の重みを感じなくなりました。終糸切断手術によって私の長年の健康問題が解決しました。

ロヨ先生、ありがとうございました。

2025年2月19日 ミストレッタ(イタリア)

マリーザ・トスカーノ(Marisa Toscano)
連絡先: marisatosca@live.it

みなさん、こんにちは。

先日、日本の方が終糸切断手術を受けられました!

バルセロナキアリ研究所チーム一同、今後もより多くの方のお役に立てるよう全力で取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

バルセロナキアリ研究所チーム一同

 

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アーノルド・キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症の症状、治療に関するお問い合わせ・ご相談は当研究所のホームページからどうぞ。当研究所の脳神経外科医が責任を持ってお答えいたします。

 

みなさん、こんにちは。

 

本日お届けするのは、2021年に終糸切断手術を受けたイタリア人のクリスティーナさんの最新体験談です。手術から4年たった現在、「生まれかわったようだ」と体験談で述べられています。当研究所のホームページからご覧になる場合はこちらから。

 

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クリスティーナ・ルオッコ(Cristina Ruocco): キアリ奇形I型、頸椎後弯症、終糸病、神経頭蓋脊柱症候群

 

手術日: 20211019
体験談寄稿日: 2025219

 

こんにちは。

 

私の名前はクリスティーナで、現在48歳です。私は子供の頃からずっと頭痛と羞明に悩まされてきました。20歳の時に目眩と視覚障害のため、初めて神経内科を受診しました。視覚障害によって常に視覚が歪み、日常生活に支障をきたしていました。その時から、この症状の原因を理解してくれる病院や先生を探す旅が始まりました。

 

診てもらった先生には、頭部のMRI検査からは何も見つからなかったので、おそらく不安障害からくるものだと言われました。数年のうちに健康状態は悪化し、脚の痛みや腕の筋力低下などの症状も現れ、ほぼ毎日鎮痛剤を服用しなければならなくなりました。

 

同じ時期に他のMRI検査も受けましたが、結果は全て異常なしでした。44歳の時に認知機能障害も現れたため、脳のMRI検査の再撮影をしました。話している時に言葉が出てこないことが多く、他の人が言っていることが理解できない時もありました。今、何年なのかさえわからなくなり、脳に腫瘍ができたのではないかと思いました。

 

最後に撮ったMRI検査で、(20年以上経ってから)やっとアーノルド・キアリ奇形を患っていることがわかりました。イタリアで診てもらったイタリア人脳神経外科医からは何の助けも得られず、それどころか侮辱されました。

 

現在、終糸切断手術から4年が経ち、生まれ変わったようです。

 

やっと読書やスポーツ、会話もうまくできるようになり、あらゆることに集中できるようになりました。鎮痛剤を飲む必要もほとんどなくなり、時々頭痛があった時に服用しますが、頭痛の痛みは術前よりずっと軽くなりました。

 

バルセロナキアリ研究所の医療チームとスタッフの皆さんに心から感謝しています。みなさんのおかげで、ようやく私は尊厳を持って生きられるようになったのです。

 

本当にお世話になりました。

 

連絡先: (+39) 3487456302

バルセロナキアリ研究所では、アーノルド・キアリI型症候群や特発性脊髄空洞症といった希少疾患が含まれる終糸病および神経頭蓋脊柱症候群の研究に、2008年から取り組んでまいりました。

医学雑誌の「ランセット・グローバルヘルス」誌の著者らは、昨年2024年の世界希少・難治性疾患の日に、今後も病気に対する根強い取り組みが必要になるだろうと述べ、希少・難治性疾患の早期の正確な診断と効果的な治療に対する緊急の対応が必要であると強調しました。また、希少・難治性疾患で苦しむ人々のニーズに応えるため、希少・難治性疾患の診療にメンタルヘルスを考慮した総合的なアプローチが、病気の研究を促進する上で不可欠と述べました(The landscape for rare diseases in 2024, The Lancet, Vol 12, March 2024)。

 

当研究所で治療にあたっているキアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症などの治療に関して、「早期に正確な診断を得ることが不可欠である」という意見に同意しており、MRI画像診断においては、放射線科や脳神経外科では軽視されがちな画像の特徴、例えば数ミリの小脳扁桃の下垂(アーノルド・キアリ奇形I型とはみなされない)、小脳扁桃の大後頭孔への圧迫(アーノルド・キアリ奇形0 型と診断されない)、脊髄空洞症の初期段階である脊髄内の浮腫または虚血状態、神経頭蓋脊柱症候群に見られる典型的な病状である脊髄の緊張状態、脊柱の偏位、脊髄円錐の低位など、画像診断では重要視されず、よって早期診断ができない傾向があります。

 

表1: 患者373名における症状の頻度(終糸病と神経頭蓋脊柱症候群の定義、臨床像および画像の特徴, Royo et al., BMC Neurology 2020)。

表2: 患者373人の徴候の頻度(終糸病と神経頭蓋脊柱症候群の定義、臨床像および画像の特徴, Royo et al., BMC Neurology 2020)。
 

病気の症状や徴候に関していうと、終糸病の臨床像は当研究所の医療チームが発表したように、多種多様である可能性があるということが医療現場で周知されていません(表1および表2参照)。実際多くの患者さんは、かかりつけ医から専門医に辿り着くまで、依然として長い時間を要し、専門医でも終糸病の症状が広範囲に及ぶことを知らない医師が多くいます。

 

また、終糸病の病状、特にアーノルド・キアリI型症候群の神経-心理学的症状について記述した医学文献がすでに相当数あるにもかかわらず、MRI画像上で異常があっても、患者さんに心療内科や精神科の受診を勧めたり、通常軽度の異常である場合には上記専門家を紹介されることもありません。

 

早期診断によって健康状態と生活の質を向上させることができるため、早期に正確な診断を受けることは極めて重要で、当研究所では患者さんにはできるだけ早く当研究所を受診し、小脳扁桃下垂(アーノルド・キアリI型症候群)や軽度の脊柱側弯症、さらには初期段階の脊髄空洞症を発見することをご提案しています(それら全ては専門医や放射線技師からは重要視されていなかった臨床像)。

 

2025年の世界希少・難治性疾患の日に際して、当研究所では患者さんが早期発見・早期治療を受けるために必要な全てのガイドラインを含む、体に負担の少ない適切な治療を受ける重要性を訴えます。当研究所の治療計画「終糸システム®」で提案されているように、できるだけ早く治療を行うことにより、神経学的悪化の改善、緩和、病気の進行を防ぐのに役立ち、生活の質を向上することができます。

当研究所では、研究所独自の治療計画「終糸システムFilum System®」に従って、終糸病*が遺伝的要因**による可能性のある先天性疾患であることを考慮し、診療にあたっています。

こういった特徴から、患者さんはもちろん患者さんの一親等のご親族にも、当研究所での診察またはオンライン診察と併せて、MRI画像などの検査を行うようご提案しております。

 

そのため、最初に診断を受けたご家族を通して、その他の家族のメンバーがすぐに診断を受けることができるため、多くの患者さんが迅速かつ効果的な治療を受けることができています。

 

終糸病と診断され、当研究所で治療を受けた方が複数いらっしゃるご家族の体験談については、下記のリンクからご覧いただけます。

https://shorturl.at/UhV6R

 

* Royo-Salvador, M.B., Fiallos-Rivera, M.V., Salca, H.C. et al. The Filum disease and the Neuro-Cranio-vertebral syndrome: definition, clinical picture and imaging features. BMC Neurol 20, 175 (2020). https://doi.org/10.1186/s12883-020-01743-y
** Brooke Sadler et al. Rare and de novo coding variants in chromodomain genes in Chiari I malformation. Am J Hum Genet. 2021 Jan 7;108(1):100-114. doi: 10.1016/j.ajhg.2020.12.001
** Grauers et al.. Genetics and pathogenesis of idiopathic scoliosis. Scoliosis and Spinal Disorders (2016) 11:45 doi 10.1186/s13013-016-0105-8