当研究所所長のロヨ=サルバドール医師は、1993年に低侵襲の最新治療、終糸切断手術の適用を始めました。現在まで、キアリ奇形I型、特発性脊髄空洞症、特発性脊柱側弯症および他の関連する病気と診断された患者1850名が終糸システム適用®で終糸切断手術を受けられました。

 

当研究所の医療チームから術前に全ての患者さんに対して、手術は病気の原因を取り除き、病気の進行つまり悪化を防ぐための治療であり、病気がもたらした神経系の損傷、またそれによる症状、機能不全などを治癒するわけではないことをお伝えしています。

 

ほとんどの患者さんは術後直後に何らかの症状の改善や消失が見られ、ある患者さんは数ヶ月または数年経ってから症状の変化が見られる場合があります。術後のリハビリや理学療法についても同じことが言え、多くの患者さんはリハビリ後に機能レベルで段階的な改善が見られ、早い人は最初の数ヶ月からすでに変化を観察できる場合があります。

 

一方で、術前のように症状が悪化し続けることはなく安定はしているものの、術後直後の段階では症状や病状に変化を感じられない患者さんもいらっしゃるのも事実です。術後直後から症状の改善が見られた他の患者さんと比べてしまい、恐怖を煽ってしまうのではないかという懸念から、当研究所ではここで改めて言及したいことがあります。

 

まず、他の患者さんが同じような症状を持っていたとしても、患者さんそれぞれの臨床像は異なるため、他の患者さんと比較することはできません。唯一患者さんの術前術後の経過が正しいかどうかを判断できるのは専門家であり、術前術後の症状と画像の比較により評価することができます。

 

また、症状の原因となる損傷には可逆性と不可逆性と呼ばれる2種類の損傷があります。終糸切断手術によって、異常終糸が引き起こしていた全神経系への牽引を取り除くことができ、中・長期的に見て、可能な限り回復する可能性を導きます。しかし、不可逆的損傷があると神経系は再生することができないため、術後の回復度合いは制限されます。

 

同様に、ある一部の患者は術後に症状が改善、または消失したものの、その後、外傷、事故、ストレス、薬物療法、女性の月経周期の変化、あるいは肉体労働によって術前の症状が再び現れることが、当研究所の医師によって確認されています。それが起こった場合には、以前の術後の状態に戻るまで一定期間かかりますが、一般的には上記不調が解消されると症状も改善していきます。

最後に、ある症例では、終糸病以外の病気も抱えていて、その病気の症状が終糸病と共通している場合、終糸切断手術後、どの症状が終糸病から発症し、どの症状が終糸病以外から来ているものなのかの判断が難しいため、症状が悪化する場合には、終糸病以外に抱えている病気の治療を受ける必要性が出てきます。その場合には、その病気の専門家に診てもらい、患者さんそれぞれに合った治療法を検討する必要があります。

結論として、当研究所医療チームの専門化された経験から、術後の回復がゆっくりな場合や、終糸病の影響をより受けている患者さんに対しても、異常終糸によって引き起こされた過度の牽引力を排除することは、患者さんの健康状態を改善するために最も効果的な治療法だということが言えます。

 

終糸システム適用®での終糸切断手術は、一般的に患者さんの生活の質を向上し、症状の改善、ほとんどの症例で非常に満足のいく機能回復を確認しています。さらに、外科治療自体は病気の損傷を治すための治療法ではありませんが、終糸病の影響を強く受けた患者さんの場合でも、長期的に見て良好な術後経過が期待できます。

 

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