兼六園の桜 | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

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【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

 

私が通っていた高校は、

兼六園のすぐそばにあった。

 

歩いて5分かかるか

どうかくらい。

 

 

 

 

 

兼六園。

  

ご存知かとは思いますが。

 

日本三名園のひとつで、

石川県金沢市にある

でっかい庭園。

 

 

加賀藩の前田の殿様の

別荘の周りが庭園化されて、

云々かんぬん。

 

 

 

 

私は石川県民なので、

小さい頃から、

学校のバス遠足だのなんだのと、

何度か訪れたことがあります。

 

 

 

だから、去年。

 

まだ兼六園を訪れたことの

なかった子供たちを

連れて行ったときも、

 

特に感慨などは

覚えませんでしたが。

 

 

 

 

 

でも。

この大きな庭園。

 

こう書くのは、大袈裟なようで、

ちょっと恥ずかしいんですが。

 

 

私には、忘れられない

思い出の場所でもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは、高校1年の時。

 

ある日の6限目。

ホームルームの時間。

 

その日、最後のコマでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん。今日は兼六園に

桜を見に行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

担任。

 

たまには

いいことを言う。

 

 

 

 

兼六園は、

桜が見頃を迎えると、

無料開放になるんです。

 

 

 

 

うららかな

春の昼下がり。

 

セーラー服を着た女子高生が

みんなでワイワイと、

殿様の庭へと

連れ立って歩いて行きます。

 

 

 

 

 

私が通っていたのは、

女子高でした。

 

おまけに。

 

私のいたクラスは、

卒業するまでクラス替えが

ありませんでした。

 

 

 

 

 

勘の良いあなたは、

もうお気づきですね。

 

 

 

 

 

3年間。

 

まったく人が

入れ替わることのない

女子のみの集団が

一体、如何なるものか。

 

 

 

 

 

何がどう間違って

転んだのか。

 

一学期間だけ、

私はクラス委員を

やったことがありますが。

 

 

 

 

 

結論から言うと。

 

 

 

おととい来やがれ。

 

毎晩月夜だと

思うなよ。

 

金もらっても

二度とやりたかねーわ。

 

 

 

 

こういった

ところでしょうか。 

 

 

 

 

 

私は女子高に

通ってみて初めて。

 

世の中に、男という別性が

存在する意味と意義を

思い知るに至りました。

 

ええ。

至りましたとも。

 

 

 

 

理論上。

 

精子のストックさえあれば、

男性が存在しなくなっても、

人類は滅びないのかもしれません。

 

 

 

が。

 

 

 

女子高に通った経験から、

私はこう考えています。

 

 

 

この世から男がいなくなったら、

恐らく世界は滅びると。

 

 

 

なぜならば。

 

 

 

女同士で

殺し合うから。

 

 

それで、絶滅するんじゃ

ないでしょうか。

 

 

 

 

 

女子高のクラス委員などという、

Mの極みとしか言いようのない

役回りをあてがわれて以降。

 

現在に至るまで、

こう思わずにはいられません。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり、

この世は陰と陽。

 

それは

人間も同じこと。

 

 

どちらかだけでは、

成り立たない。

 

バランスが取れない。

 

そういうことなのでは

ないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

猫をかぶる

 

 

 

 

 

 

 

この言葉は、良い意味で

使われないことも多く、

 

特に、

 

 

 

 

 

 

「なによ、あの子。男子の前では猫かぶっちゃってさー。」

 

 

 

 

 

 

などのように使われますが。

 

 

 

 

 

私は思う。

 

 

女が猫を

かぶらなくなったら最後。

 

この惑星は、終わらない乱世へと

突き進むしかないと。

 

そして。

 

最後には、

破滅に向かうと。

 

 

 

 

確かに。

 

女子が男子の前で猫をかぶる姿は、

傍で見ていて、あまり気持ちの

いいものじゃないのかもしれません。

 

 

 

それは分かる。

 

 

 

でもね。

 

猫すらかぶらなくなったら

もうおしまいよ。

 

その成れの果てが

女子高なのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんた... そのセリフ。

もし今、目の前に自分の彼がいたら言える...?」

 

 

 

 

 

 

 

M役の真っ只中。

 

何度、心の中で

こう呟いたことか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、彼じゃなくてもいい。

もし、このクラスに男子が大勢いて、

男子全員に丸聞こえだったとしても、

あんた、今と同じセリフを同じ口調で言える...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

何度、口から

こう出かかったことか。

 

 

 

 

もし言えたら大したものだ。

今でも、そう思う。

 

 

 

どうか。

そのまま。

 

猫なぞかぶらず、

ありのままに生きてくれ。

 

エルサのように。

 

大丈夫。

あなたは少しも寒くないわ。

 

 

 

 

 

でも。

 

世の中の

大抵の女子は知っている。

 

 

自分に正直になって

ありのままの姿なぞ

晒してしまった日には、

 

自分の周りに誰もいなくなって

しまうであろうことを。

 

 

 

 

 

 

 

だから、

猫をかぶるのよ。

 

時には、

それでいいのよ。

 

地球の平和を願うなら、

不可欠なのよ。

 

 

 

 

 

 

男でもなければ、

恋愛対象でも何でもない、

 

クラスの雑務処理係の

私に対しては

何の気遣いも遠慮もいらず、

 

増してや、私の目など

一切気にする必要がないと

踏んでいるクラスメートたちの

あのセリフと態度と表情。

 

 

 

 

猫をかぶる女の方が

どれだけマシだか分からんわ。

 

 

 

 

 

※個人の意見です。

 

 

 

 

 

 

 

おや。

一体、何の話だ。

 

そうだ。

兼六園だ。

 

 

 

 

3年もの間。

 

空気の入れ替えがない上に、

ガスが充満したような

一触即発、大爆発が前提のクラスが、

 

屋外へと皆でぞろぞろと向かうのは

ガス抜き、息抜きにもってこいだ。

 

 

 

 

色んなことのある

クラスだった。

 

 

泣いて喚いて

大喧嘩するクラスメートも

見てきた。

 

言い争い。

食い違い。

 

行事ごとに取り組む

際の温度差。

 

そこからくる

苛立ちや溝。

 

 

 

 

クラスには

何十人もいるわけだから。

 

それぞれに考え方もあるし、

言い分もある。

 

きっと、仕方のないこと

だったのだろう。


 

 

 

そんな。

 

絶えず蜷局を巻いている

ようなクラスの中で、

 

あの花見の時だけは、

何かが違っていた。

 

 

 

 

みんな、とても

可愛らしかったのだ。

 

 

 

 

それぞれ、仲良くしている子たちと

満開の桜の下を歩いている姿は、

 

文字通り、初々しいといった感じで、

乙女という言葉がぴったりだった。

 

 

まだどこか幼さを残した

飾らない笑顔。

 

 

みんなのセーラー服の

襟とスカーフの臙脂色が

 

キラキラ光るお日様と相まって、

桜の色に良く映える。

 

 

 

 

桜が持つ魔法を

見せてもらった気がした。

 

 

 

 

 

 

実は。

 

私の高校時代の一番の

思い出は、この時の花見だ。

 

 

 

文化祭でも、

合唱大会でもなければ、

 

3年時、学年対抗の綱引きで優勝して

担任が泣くほど喜んだことでも、

 

他のどんな行事でもなければ、

 

仲良くしていた友達との

思い出でもない。

 

 

 

 

 

私は、2年時の9月から10ヶ月間、

アメリカへ留学していたから、

 

その間にあった、九州への

修学旅行には参加していない。

 

だから、

その思い出もない。

 

 

 

 

 

あの日の花見は、

私にとっては、平和の象徴だった。

 

 

みんなが、

穏やかで、笑顔で。

 

楽しそうで。

争いごととは無縁で。

 

 

 

 

私は、いくつになっても

兼六園でのあの花見と、

 

クラスメートのはにかんだ

笑顔を覚えている。


あの木漏れ日も。

 

 

 

 

 

 

きっと。

 

兼六園の桜は、今年も

きれいに咲いていたことでしょう。

 

コロナウイルスに

挫けることなく。

 

 

そして、きっと。

 

忘れることなく、来年も

きれいに咲いてくれることでしょう。

 

 

 

 

 

願わくば。

どうか。

 

 

来年は、たくさんの人が

兼六園の桜の枝の間から、

 

きらきら光る木漏れ日を

見上げられますように。

 

 

 

 

桜の魔法に

かかることができますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

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