老兵が次世代の人に何ができるのか?私にできることは。 | ”秋山なお”の美粒ブログ

”秋山なお”の美粒ブログ

音楽、ナノテク、微粒化、日々の思いをつづっています。
微粒は、美流でつくられ、美粒となります。その思いをつづっています。

腕のいい旋盤工の人がどんどんやめていくし、この世からさる。旋盤一本で、今まで生きてきた人である。旋盤があっても、だれでもが優れた旋盤工になれない。アナログ的な方法論を習得するまでには相当時間がかかる。複雑なものは、治具をつくって、作り上げる。マシニングの機械があっても、それなりの時間はかかる。すべてに関して、一朝一夕にできるものではない。それが伝承芸である。修行して、親方になり、巧となる。そして、最後に名人の領域にたどり着く。たどり着いたら、残念だが、そこが人生の終わりでもある。

 

特に、複雑系といわれる分野には、感性と経験が必要である。化粧品や塗料関係の技術者は、分散に関して、ツール一本で、原料配合の組み合わせだけで、新規なものを作り上げる。包丁一本で、料理人としていきる人と同じである。

 

BERYU SYSTEMの本幹は、バラバラにあったツールを、粉砕技術とは分けて、分散機として一つに統合した事にある。粉砕は、壊す事、バラバラにすることである。粉砕とは、固いものを微細にして、その特性を生かすことでもある。特性を活かすには、これも比表面積を多くすることが重要、そのための粉砕である。それを樹脂と混ぜて、積層化すれば、積層セラミックコンデンサーとなる。ただし、その樹脂を溶媒に均一に親和ゲル化させるには、粉砕とは違う技巧が必要になる。単に粉砕だけではうまくいかない。

 

溶媒に対して、親和してゲル化するものとして、ほとんどが、高速ディスパーを使う。回転軸にギザギザの羽がついて、粉体をカットして、溶媒になじませるものである。粉体を混ぜるのにも使う。また、回転羽根の外側に固定板をつけて、タービン・ポンプ構造にしたのが、ホモミキサーである。ともに、60年以上前に作られたもの、それらが、化粧品や塗料関係の技術者のツールである。その固定したツールをもとにして、いろいろな配合物と配合比を変えて、新しいものをつくる。ツールが同じだから、経験則が生きてくる。

 

高速ディスパーやホモミキサーは、ただ、回っているだけに過ぎない。一つ配合が変われば、条件が変わる。新人が配属されても、いいものは、偶然にしかできない。なぜなら、経験測、アナログ的なデータベースが頭にないからである。科学的な知識も必要であるが、それは実験や現場を通して、知識が知恵に変わらなければ、現実には役に立たない。大学の教授が、実際に現場で物が作れるのかといえば、そうならない方が多い。だいたい、化粧品の技術者は、ホモミキサー一本で、化粧品屋を転々とする。包丁一本で、店を転々とする料理人と同じ感覚である。美粒は、昔、自社ブランドで、化粧品を作って販売した実績がある。そういう意味では、学歴よりも経験が重視される化粧品分野では、私も、化粧品の技術者とみなされる。特に、活性剤フリーのピッカリング乳化に関しては、アナログ的なデータベースが頭にあるから、巧の領域に入るはずである。CNFやスメクタイトは独特な構造体をつくるから、ピッカリング乳化には最適である。しかし、これは従来のツールではできない。できたとしても、非常に制約条件がつく。それがあるから、発展しない。美粒システムなら、それが最適化される条件を作ることはできる。すでに、わかっているから、それを開示したら、だれでも、原料があればできる。今後、中国やアメリカに美粒システムの技術がG-NEPを通じて、広がれば、間違いなく、CNFやスメクタイトをつかったピッカリング乳化は、特に、新しい技術に興味を示す中国人の間には、いち早く伝播すると思う。

 

乾式粉砕の限界は、ジェットミルにある。乾式であるから、媒体は空気になる。力の限界は空気の圧縮にある。空気は圧縮されるから、その危険度からみて、1Mpaが上限である。それをノズルから吹いて、微細化するというものである。あとは、たたく、うすのように、擦るという発想である。乾式で細かくするには、やはり、限界がある。それで、乾式から湿式粉砕となるが、それだけ、効率が落ちることになる。湿式でより粉砕微細化する装置として、ビーズミルと高圧湿式粉砕機がある。ビーズミルは、回転する固くて小径な玉(ビーズ)の中に処理物をいれて、高速回転させる。ビーズとビーズの間にある処理物は、ビーズどうしのぶつかりの中で粉砕される。もちろん、ビーズも疲労で破壊されるから、処理物に混ざるリスクがある。ビーズは消耗品ビジネスとして成立する。高圧湿式粉砕機は、処理物に圧力をかけて、それをノズルから噴射して、側近にある固い金属にあてる。そのことで、微細化するのが基本原理である。当然に、ノズル近辺は摩耗する。それによって、ノズルは、消耗品ビジネスとして成立する。粉砕は必ず、強い力で何かにぶつけることが原則となる。作用反作用で、圧力の半分は自分を壊す力に使われる。150Mpaかければ、75Mpa分、200Mpaなら、100Mpa分は、装置を壊す力として作用する。ものも壊れるが、自分も壊れるという発想である。装置側としてみれば、それによって消耗品ビジネスがなりたつ。だから、よほど、付加価値の高いハイエンド以外は、使えない。粉砕品の販売の利益よりも、消耗品にかかる経費の方が多ければ、かならず、撤退する。それが、今の現実である。装置側としては、消耗品ビジネスが成立する以上、微細化需要があるかぎり、雑草と同じように繰り返し市場にでてくる。それが不毛とわかっていても、利益がある以上、でてくる。

 

なぜ、CNFやCNTや黒鉛の剥離が、うまくいかないのか、答えは、簡単である。粉砕するからである。それらは、解繊と剥離であり、粉砕のプロセスとは異質なのである。CNF、CNTを粉砕しても、その特性が出てこない。黒鉛の剥離に関しては、ケミカル処理の酸化グラフェンだけがでてくるが、費用対効果がないから、売れない。作っても売れないから、撤退になる。CNFも同じこと、もちろん、海外でも同じだから市場性は乏しい。CNTは、粉砕しても、まだ、従来品よりはいいので、電池関係で、使われている。それも、コバルト系の廉価なMWCNTである。そうなると、製造コスト勝負であるから、日本に勝ち目などない。電池での利益もそのうち怪しくなる。もともと、CNTは日本発の技術であるが、日本で残るのは、たぶん、触媒レスのCNTだけであろう。あとは、海外からの廉価なCNTが使われることになる。連日、ネット等では、CNTがすぐに実用化するような情報がでているが、それはすべて期待値であり、蜃気楼なようなものである。下流の用途展開はみえても、そこまで費用対効果のある道筋ができるかである。

 

残念ながら、現状、汎用的に、使用できるCNTはコバルト系のMWCNTか触媒レスのCNTである。今は、鉄触媒のCNTは、粉砕するしか微細化はできない。そうなると、CNTの機能が生かされない。費用対効果がでないから、どうにもならい。鉄触媒のSWCNTは、ハイエンドには使われるだろうし、少量添加材の感覚であるから、生き延びる。もちろん、美粒が開発したDMRモジュールを使えば、触媒を除去しながら解繊するから、市場性は残る。利益が見込める用途が開発され、そこに膨大な資本がはいれば、DMRモジュールを使用しても、十分に生産技術としては機能する。

 

解繊、剥離、乳化、親和ゲル化は、粉砕とは異質である。もちろん、それぞれ、条件がちがう。ピッカリング乳化と解繊では、プロセスでの圧力勾配がちがう。剥離も解繊とはその条件がちがう。親和ゲル化も、物に応じて、条件が変わる。つまり、分散方法でもプロセスが変わるし、その物の特性でも、条件が変わる。また、解繊、剥離、親和ゲル化、乳化の4つが、入ってくれば、その最適条件もまた変わる。粉砕してしまえば、十把一絡げである。すべて、ばらばらであるから、無意味なものになる。その制御を最大限に生かしてつくったのが、美粒黒鉛ペーストであり、その乾燥品、それが、G-NEPなのである。その目的は何か、G-NEPをつくることではなくて、それを生み出した美粒システムの存在をアピールすることにある。99%、ノイズがかかった粉砕の世界に、解繊、剥離、乳化、親和ゲル化の異質なプロセスを持って行っても、抹殺されるだけである。本来はCNTで分かってもらえるところだったが、鉄触媒内在のCNTではどうにもならないから、日本から市場が消滅している。

 

美粒黒鉛ペースト、および、G-NEP、この存在をしめることにより、粉砕ではなしえなかった新しい分散の世界への可能性を示唆できればいいと思ったからである。私でもG-NEPが作れるのだから、美粒システムの原理と技巧、作り方がわかれば、いままで、閉塞していた世界が広がるはずである。それは何か、未来に生きる人のためである。G-NEP、水系にも溶媒系にも、従来のツールで、再分散する。ホモミキサー、ディスパー、混錬機、ミル、エキストルダーのツールで再加工できる。今日いって、明日できるものではない。仮に今日スタートしても、実を結ぶのは、10年先かもしれない。しかし、伝えなければ、永遠に門戸は閉じたままである。

 

ニュアンスは異なるが、親鸞や日蓮、または、キリスト教の使徒、宣教師と同じ感覚かもしれない。迫害を受けても、真理を伝える気持ちは同じである。それは、未来のためである。G-NEPを示さなければ、粉砕から、新たな一歩は生まれない。いくら、プロセスの異質性を言ったとしても、それがどうしたで終わる。人のエゴ、慣性や既得権があるため、新しいことなど、誰もやらない。しかし、従来できなかったものが、できるという可能性を示されたら、この国や、世界のカーボンニュートラルの目から、逃げることは厳しい。今までは、粉砕の世界の中にいたから、方便や口実が使えたのである。それが使えないとわかったら、人は新世界へと向かわざるを得ない。もちろん、固い酸化物の微細化には粉砕は必要である。しかし、高度な解繊、剥離、乳化、親和ゲル化の市場に対しては、まさに、門戸が開けられたところである。今、ずっと閉さていた門の隙間から、一条の光が差し込もうとしている。それを開けるのも、そのまま閉ざしつづけるのも、私が決めることではない。それは、研究開発、製造を託された人々が決めることである。30年後、私はもう生きていないだろうが、この世がどうなっているかである。定年が70歳まで延長されたら、今、40歳の人が最後にみる世界である。

 

もし、G-NEPがどんなものか、興味があれば、詳細スライド、http://www.be-ryu.xyz を参照してください。