の続きです。

 

 

 

高校時代の生ける屍期を脱出し、浪人生活を経て、いよいよ大学生活がスタートしました！

 

ダンスを頑張って、勉強もしっかりして、大学生活を満喫するぞ、と意気込んでいました。

 

そんな私の初の一人暮らしの住まいは、

 

大学から徒歩15分ほどの快適な優良物件、

 

ではなく、ほぼ父が一人で勝手に決めた、想像を絶するようなボロアパートでした・・・。

 

都内の大学近くのアパートで、月の家賃が2万円しない（共益費なども無し）、と言えば、お分かりいただけるでしょうか。

 

いくら学生限定とはいえ、通常では考えられない安さです。

 

えっ、学生限定事故物件・・・？

 

まさか、そんなこと、あるわけないですよね！

 

ないない！

 

父は、苦学生を経験させることで、私を成長させようと考えたようです。

 

・生活費の支援は無し。

 

・家賃や光熱費そのほかの必要経費は自分でバイトをして賄うこと。

 

・学費は奨学金

 

というのが決められた条件でした。

 

4畳半のワンルームで、風呂にはシャワーしかなく、バスタブが存在しないという、ボロボロの二階建ての木造アパートの角部屋でした。

 

今だったら何が何でも別の部屋にしてもらっていたと思いますが、生活費を自分で稼ぐ必要があったことと、当時は一秒でも早く一人暮らしを経験してみたく、父と議論するのも面倒だと考え、ここでいい、と言ってしまったのです。

 

驚異的な家賃の安さと、井戸水であるため水道が無料という、コスパだけは最強の、初めての自分だけの家でした。

 

まさかこの決断が、私の運命を左右することになるとは、この時は夢にも思いませんでした。

 

 

 

なんだか、いくつか気になる点があったような気もしますが、きっと気のせいです。

 

夢の大学生活に、心配事など無用！

 

いよいよ憧れの一人暮らしの始まりです。

 

しかし、興奮しすぎているのか、最初の夜は中々眠れませんでした。

 

眼が冴えてしまっているのと、なんだか誰かに見られている気がします。

 

きっと初めての一人暮らしで興奮しすぎたのでしょう。

 

そう思って気にせずに寝ようとしたのですが、結局一睡も出来ませんでした。

 

朝になり、大学へ履修登録のための手続きに行ったり、アルバイト先を探したりしているとあっという間に時間が過ぎていきました。

 

 

 

そしてまた夜がやってきました。

 

さすがに徹夜して疲れ果てているので、今日こそ眠れるだろうと思ったのですが、全く眠れません。

 

寝ようとしていると、何故か息苦しくなってきて、体が重いのです。

 

まるで誰かが上に乗っているかのような、妙な重さでした。

 

この時はまだハッキリと霊を見た経験はなく、この重さも、慣れない環境で疲れているせいだ、と自分に言い聞かせていました。

 

しかし、しばらくそうしていて、夜中の三時を回った頃に、事態が急転したのです・・・！

 

突然、体に感じていた圧が何倍にもなり、体が全く動かせなくなってしまったのです。

 

まばたきすることも出来ず、眼を動かすことすらできません。

 

これが噂に聞く金縛りってやつか！と少しワクワクもしたのですが、本当に、全く体が動かないのです。

 

そのまま動けずにいると、私が寝ている後方（頭の後ろのほう）にはクローゼットがあるのですが、そこの扉から、何かが、

 

「ぬ～～～～～っ」

 

と出てきたではありませんか。

 

それは、最初大きなボールのように見えました。

 

何で部屋の中に大きなボールが浮いているんだろう、と見ていると、そのボールのような何かから、黒くて細い紐のようなものが垂れ下がっているのが見えます。

 

「あれ？紐？」

 

とよく見ると、それは紐ではありませんした。

 

なんと、垂れ下がった人間の髪の毛だったのです・・・。

髪の毛は、

　

　

で詳しく述べたように、過去の象徴です。

 

髪の毛を強調することの意味は、それだけ古い時代の存在であるということを伝えようとしているのです。

 

ということは、あのボールは・・・！

 

その瞬間にボールはくるりと向きを変えたかと思うと、こちらへ真っすぐに突っ込んでくるではありませんか！

 

ボールと思っていたそれの正体は、、、なんと人間の生首でした。

 

それも一人ではなく、三人の生首が一つに合体し、大きなボールのような形で飛んでいたのです。

 

例えると、サーティーワンアイスクリームのトリプルをカップで頼んだ時のような密集の仕方です。

 

三つとも凄まじい形相をした落ち武者風の男の生首で、明らかにこの世のものではありませんでした。

 

映画『ハムナプトラ』で、砂の嵐が大きな顔になって口を開けて襲ってくるシーンがありますが、まさにあのノリです。

 

凄い形相で迫りくる生首三つが私の首めがけて一直線に飛んできます。

 

体が動かないため、避けようがありませんでした。

 

あっという間に首に巻きつかれると、息が出来なくなりました。

 

なんとか息をしようと抵抗していると、いつの間にか気絶してしまったようです。

 

ハッと気が付くと、朝になっていました。

 

 

 

昨日のあれは一体何だったのか・・・。

 

とりあえずシャワーを浴びようと鏡の前に立ってびっくり。

 

首に、ロープでも巻き付けてきつく縛ったかのような跡が残っていたのです・・・。

 

部屋にロープなどありません。

 

しばらく考えた結果、やっぱり事故物件だったのだろう、という結論に至りました。

 

ショックでした。

 

人生初の自分だけの家が、事故物件だったなんて。

 

こんなに安いなんて、おかしいと思ったんだよな、と一人で文句を言ったものの、今さら引っ越すのも情けないし、とりあえず夜しか出ないなら、夜勤やダンスで夜は家にいなければ大丈夫だろう、と持ち前の謎の負けず嫌いさを発揮し、乗り越えようとしました。

 

苦学生で生活が苦しかったことと、一回目の襲撃で、正直まだ舐めていたのです。

 

疲れていたから幻覚をみたのかも、とも自分に言い聞かせていました。

 

大学へ行って、ダンスでもすれば気が晴れるだろう、と部屋を出ました。

 

横目でちらっとアパートを見た時、何故か内覧の時にも見ていたはずなのに、全く気が付かなかったことに、この時初めて気が付きました。

 

なんと、アパートの敷地の鬼門の方角に、地蔵堂が併設されているではありませんか・・・。

 

今ではよく分かるのですが、鬼門にこういう構造がある土地は、概ね8割ほどの確立で、かつて何かあったいわくつきの土地です。

 

ここではおそらく辻斬りが出たか、人が立て続けに亡くなるような悲しい事件があったのでしょう。

 

この時は、普通の大学生でしたから、そんなことは少しも思わず、あれ！お地蔵さんじゃん！手を合わせとこ、くらいにしか思わなかったのです。

 

 

 

そんな状態でしたが、大学の授業やサークル活動がスタートしました。

 

友達も出来て、お昼休みやサークル活動で話を聞いたところ、アルバイトの基本はコンビニである、という話を聞きました。

 

夜勤をやれば時給も上がって良いらしい、という情報もありました。

 

高校はアルバイト禁止で、アルバイト自体が初めての経験だった私は、コンビニのバイトから初めてみることにしたのです。

 

当時住んでいた事故物件（それでしかないので、そう呼びます涙）から山を一つ越えたところにあった○○○○でバイトを始めることになりました。

 

しかし、ネガティブな霊現象というのは連鎖するもので、このコンビニでもいろいろ不思議な経験をすることになるのです。

 

 

 

　

へ続きます。

 

 

 

読んでいただき、ありがとうございます。