今回の「従業員の私語を止めさせる方法」は変動時給を取り入れることを紹介する。
時給1000円で雇っているアルバイトを、月により1200円~1500円前後まで変動させるのである。
詳しく解説する。

これはパート・アルバイトを雇用する小売・外食・サービス業界経営者・店長向けに書いたものである。自店に照らし合わせて読んでもらえば幸いである。
これから解説することは、私語を止めさせる方法だけでなく、モラルやスキル(接客サービス、品質管理)の向上にも直結する内容である。

基本的には時給を一度設定すれば多くのお店では、ほぼ変わりはないだろう。
店によっては研修時給が設定され、それは地域の最低賃金に近い金額であり、数か月勤務かつ一定の水準になれば上げていると思う。
例えば、大阪府の令和2年10月1日時点での最低時給は964円(特定産業は若干異なる)である。
タウンワークである大手ファミレスを見ると研修時給964円、修了後970円とある。
多くの店では大概この時給から変わらない、研修制度がしっかりしているようなマクドはじめ大手チェーンは「職責」「ランク」が上がることで時給50円UPなどしている。
が、それは一定の明確な基準が設けられている会社の話で直営店ならまだしもFC店・個人経営店なら上げることは無いであろう。

時給を上げれば店の利益がその分圧迫されるし、所詮アルバイトだから安く使うのは当然、文句は言うまいとタカをくくっているからだ。
アルバイトもそれが分かっているから、頑張っても仕方がない、なら最低限(にも満たしてないが)の仕事だけして勤務時間が終わるのを待とうという発想になる。
しかし経営者側・店長側からすれば安い賃金でいっぱい働いてもらうために、あの手この手で時には強引に、時には褒めておだてながらパート・アルバイトを動かしているのである。

こうした背景があるのは、自分は直営店の店長経験も経営者も、アルバイト(学生・社会人含む)の経験もあるから分かっている。
しかし大人になってからアルバイトして分かったことは、「能力の低い人間と同じ時給であることに腹が立つ」ことだ。
言い換えれば「仕事が出来ない・要領の悪い人間と同じ時給に設定されているなんて、自分の能力が軽視されているとしか思えない」ということだ。
だったら、社員やリーダーになればいいという声も出てくるだろうが、そうした制度のない会社ならどうしようもないし、会社を辞めるしか選択肢が無いということになる。
そもそもそうした不満を持つ人間はアルバイトは出来ないと言われたらそれまでだ。

ということは、私語をするアルバイトの中には上記のような発想を持つ人間がいるということである。
一口にアルバイトと言っても、モラルやスキルを持った学生・フリーターも存在する。元社会人経験のある壮年や主婦さんもいる。
今の時代、アルバイトと言っても学生のみならず幅広いから(特に昨今のコロナ禍により退職者は増えている)、そうした意識の高い人間をフル活用したほうがいいのだ。

だから冒頭に挙げた変動時給制の導入だ。
毎月評価により時給を変える。
これは募集時・採用時にしっかり告知・説明する。
既存で働く人にも告知すること。
時給1000円のお店があったとする。
まず、二つのコースから選んでもらう。
①時給1000円・・普通レベルに働いてもらえる
②時給変動制(最低1000円、上限1500円ぐらい)・・経営者側・店長側が求めることは全てやってもらう、言わば①側の人のリーダーになる
の2コースだ。
②の時給の上げ幅は、業種や規模、経営状況によるから一概に言えないが、明らかに違う金額が良い。100円しか違わなければ、求める仕事量によるが普通に働いた方が楽だと思うからだ。最低でも1200円というところだろうか。
これは単なるリーダー手当では無い。経営者や求めるレベルまで仕事をして欲しいという「右腕」「分身」である。
言われなくても動く、気を利かせる、マニュアル以上の仕事をするというレベルである、そして①の手本になるようなアルバイトである。
多くの店は上記のことも最低時給もしくは+100円程度でやらせようとするが、それは無理がある、大した時給でないなら結局辞めてしまうし、人目のつかないところでだらけたりしてしまう。
経営者側からすれば、要は利益がしっかり出れば良いのだから、優秀な人間にはしっかり給料を出して、店を支えてもらうという意識の改善が必要である。
ただ、人は慣れてしまうと楽な方に逃げる性質もあるから、この時給制度は一か月毎更新である。上げたら上げっぱなしでなくてよい。働かない人間に高い時給を出すなんてことはしなくて良い。「右腕」「分身」の能力に満たないと思えば、時給を下げればよい、下げたところで皆と並ぶだけである。
ここで重要なのは、頑張ったら上がる、頑張らなかったら下がるという風土を身に付けてもらうことだ。
自分なら、半年ぐらいはスタート時給で働いて、慣れて来た頃に変動制で働いてみたい。で、難しそうだと思ったらまた元の時給で良いと思う。
別にこの制度は、10円20円アップの時給制度を否定しているわけではない。むしろ併用してもらえればよい。
経営者が10円や20円アップしかしないのは、下げることをしないからである。だから大幅に上げられない、そんな風習はやめればよいのにと思う。
自分は上がる人もいれば下がる人がいても良いと思う。その方がやる気のない、私語ばかりしている人が淘汰されるからだ。
時給の上げ方について、何かヒントになれば幸いである。

「従業員の私語を止めさせる方法」PDF
詳しい手法が書かれています。気になる方は読んでみてください。href="https://stat.ameba.jp/user_images/20191021/16/goodstore1/3d/39/p/o0750075014620240185.png">