第11旅最終章:美佐島駅 | もこ太郎の平成阿房列車

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今更だが、今回の旅の目的は、雪景色を見る事と、新潟県内にある2つのトンネル駅へ訪問する事である。
そのうちの1つ、筒石への訪問が叶い、次の目的地へ向かうべく、直江津行きの列車に乗り込んだ。

筒石から20分程で、直江津に到着。
ここから、初乗車となる列車に乗り込む。


北越急行ほくほく線


1997年開業の、六日町~犀潟(さいがた)を結ぶ第3セクター路線。
日本最速(160km)の在来線特急「はくたか」は、この路線上を走り抜ける。
2004年の新潟中越地震で、路線に甚大な被害を受け、全線運休を余儀なくされたが、年内に全線復旧を成し遂げている。

第3セクターということで、もちろん18きっぷは使用できない。
その旨は、ほくほく線の車両内の広告にも掲げられている。
しかし次の目的地がこの路線上にある為、わざわざ切符を購入する。

白いボディに赤と青の細い帯をまとった、1両編成の越後湯沢行き単行電車は乗客もまばらに、定刻通り直江津駅を発った。

犀潟までは信越本線の線路上を走り、犀潟を過ぎてすぐに、列車は右へ旋回する。
列車は雪原と化した田園を眼下に従え、スピードに乗って高架上の線路をひた走る。

大池いこいの森駅を過ぎると、列車は殆どトンネルの中しか走らなくなる。
トンネルを抜けると駅、駅を発車するとトンネル、の繰り返しになる。
残念ながら、しばらく車窓は楽しめない。


直江津から50分程で、十日町に到着した。
この駅は、ほくほく線と飯山線が乗り入れる。
第6旅 で下車した駅だ。

旅の記憶を回想する私をよそに、列車は十日町を発った。


十日町の隣駅、しんざを発車すると、列車は当たり前のようにまたトンネルに入った。
そしてトンネル内で減速。
少し明るみのある箇所で停車し、ドアが開いた。
私はワンマン列車の運転手に切符を渡し、下車した。


「美佐島駅」




新潟県内にある2つのトンネル駅の、「もう一つ」の方だ。
1面1線の単式ホームは筒石 と同様、やはり薄暗い。
ここで下車した人間は私一人。
ここから乗車した人間はいなかった。

ホームに降りると、まず目に付くのが、鋼鉄の扉。
ホームと出口に通じる通路は、頑丈な扉で遮られているようだ。



通路を抜け、地上に出てみようと思う。
地上に架かる階段は、筒石の階段に比べれば随分段数が少ない。



駅舎から出てみると、そこは私が期待していた以上の、素晴らしい雪景色であった。



民家の姿もほとんど見えず、山奥の中に、ポツンと佇む駅舎。



線路の姿も無く、ここまで鉄道でやってきたことを忘れてしまいそうだ。
筒石もそうだが、駅舎を見ただけでは、にわかにここが駅だとは信じられないであろう。

雪景色も十分に堪能したところで、駅舎の中に戻る。
小綺麗な駅舎の中には、畳張りの広い休憩室が設置されていた。



まるで公民館か集会所のような感じだ。
この休憩室、午後6時には入り口の自動ロックがかかるらしく、駅寝はできそうにない。

そしていよいよ、地下に続く階段を下って、駅探索を開始する。

階段を降りきった突き当りには待合室がある。



今現在、ホームへつながる鋼鉄の扉が固く閉ざされている。
この扉が開くのは、普通列車がこの駅に停車した時に限られるようだ。



扉に閉ざされた空間は、まさにシェルターそのものだった。

暫く待合室にいると、耳がキーンとする感覚が伝わってきた。
おそらくトンネルに列車が侵入してきたために、気圧の変化が起きたということであろう。

と思っていると、待合室に、あまりにも不気味な警告音と、緊迫感あふれるアナウンスが鳴り響く…


「まもなく、列車が高速で通過します。大変危険です、ホームには絶対に出ないでください!」


軽く混乱していると、目の前を、在来線最速を誇る特急「はくたか」が、時速160㎞で通過する!!
その瞬間!!!


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

この世のものとは思えないほどの衝撃が、三半規管に走った!
身体や心臓の弱い人は、特急が近づいたら、迷わずここから逃げて頂きたい。

「はくたか」が去った後、自身の身の上に異常がないことを確認した。
しかしあまりの衝撃で、今まで見た雪景色や日本海の絶景は、「はくたか」と一緒に、時速160kmでふっ飛んでしまったかのようだ。

新潟ではこの日、沢山の方がスキー等を楽しんでいたことであろう。
そんな中、私は美佐島駅で一人、こんなふざけたことをやっていた。


これぞ、阿房列車の極致。


余談だが、ここ美佐島では、
電車から降りるときも、
駅に滞在中も、
次の電車に乗る時も、
私一人だった。

駅を完全に独り占めできたわけだ。
私の阿房列車史上、初めてかもしれない。

この年最後の阿房列車の旅も、得るものが非常に大きかった。
優越感を存分に感じながら、美佐島駅を後にする。






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