冒頭から余談だが、こないだ『芸に生き、愛に生き』を古本で購入しようと思ったんだが、倉庫にないと言われた。
それでキャンセルに。
国会図書館にでも久しぶりに行こうかと思ってしまった。
ただ、図書館でものを読むとやたら疲れるんで。
借りて寝っ転がって読めればいいんだが。
さて、入った時は一番下だったが、五郎劇はお芝居ごとの成績で順位が移動するので、2,3年のうちでだいぶ追い越したと。
そのころには、五郎、蝶六、大磯、小次郎、桃蝶になって、幹部扱いであったと。
女形では、大磯、秀蝶、林蝶、時和がいたと。
香川氏が「林蝶さんは女形ですか。」と問うている。
桃蝶が入ったころに、女形から立ち役に変わったのだと。
その頃の古臭い鬘の話は原文を見てもらったほうがいい。
当時五郎でも女形の鬘は知らなかったと。
秀蝶が新劇で頭結ってもらって丸髷の鬘で出たら驚かれたと。
桃蝶がコリーン・ムーア[注]の影響で、おかっぱの鬘かむって、耳飾りして、無地の繻子(しゅす)の着物に無地の帯で出たことも。
そしたら、五郎が「ガタロ(河童)みたいな顔してるやないか」と笑ったとのこと。まだまだおかっぱは日本でなじみがなかったんだろう。
五郎は舞台稽古は厳しいが女形には優しかったと。
のちにモラルの古さで若い人がついていけなくなるのだが。
『大阪の笑芸人』pp.201-202
(文中敬称略)
[注]
原文では、コーリン・ムーアとなっているが、Colleen Mooreなので誤り。カタカナ語に弱かったか。
その62につづく。