【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

“バッタの子孫”の活動録/前野ウルド浩太郎(30/30)_学究達=464

2023-05-26 05:30:24 | 冒険記譜・挑戦者達

ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年05月26日<ⰧⰊⰧ
◆ 平清盛の気まぐれでエキゾチックな神戸に首都を移す(1180年)が、源頼朝が伊豆半島で暴れ始めたんで数ヶ月で京都に戻る破目に。◆ ハーメルンで、130人の子供が知らないおじさんについて行っていなくなる(1284年)。◆ 京都の西陣が応仁の乱以来ずっと軍事基地となっていると思って、米軍が空襲(1945年)。

本日記載附録(ブログ)

アフリカでしばしば大発生し、ユーラシアの農作物に深刻な被害を及ぼすサバクトビバッタ。

防除のために巨額の費用が投じられているが、未だに根本的な解決策は見出されていない。

『バッタを倒しにアフリカへ』と単身、西アグリカ・モーリタニアに渡った日本人がいる。

”愛するものの暴走を止めたい”と語る前野ウルド浩太郎、秋田市土崎港出身の人である。

【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

参考資料: バッタに人生を捧げます!!

番外編 ;前野ウルド浩太郎(30)

◇◆ 天災レベルに大発生する害虫を愛する男が行き着いた"ある場所" ◆◇

昆虫は将来、自分自身あるいは子が遭遇するであろう環境に備え、温度や日照時間の長さ、エサの質など何らかの情報に反応して最も適した「変化」をする。一度変化の路線を決めたら変更がきかず後戻りできないもの、いつでも柔軟に変更できるものなどさまざまで、種によって異なる。

情報を読み間違えるとせっかくの変化も裏目に出てしまう。どの情報を使うかは重要な問題である。バッタの場合、「混み合い」すなわち他個体とのぶつかり合いを情報として読んで変身する。彼らにとって高頻度のぶつかり合いは、エサ不足などの厳しい環境の訪れを意味する。バッタはいつでも柔軟に変化でき、さらに孤独相と群生相との中間の特徴を持つものも現れ、変化が連続的なのが特徴だ。相変異は、バッタと一部のガの仲間でしか見られない(ちなみに相変異を示すものが「バッタ」、示さないものが「イナゴ」だ)。

こんなにありますバッタの謎  / 2- 鍵は「野外」にあるというのに

孤独相は無害だが、群生相になると害虫化する。群生相の出現は大発生の前兆となるので、群生相になるメカニズムの解明がとくに注目を集めてきた。私は華麗に変身するサバクトビバッタに惚れ、惚れた相手が変身する秘密を知りたくなった。したがって、これまで手掛けてきた研究のすべては相変異がらみだ。

相変異の仕組みはどうなっているのか。バッタにホルモンを分泌する器官を移植したり、ホルモンを注射する生理的な実験によって、相変異にホルモンが関与していることがわかってきた。

そして数年前、われわれヒトの鬱を引き起こす原因である神経伝達物質のセロトニンがサバクトビバッタの群生相化を引き起こしていることが明らかにされ、科学雑誌の最高峰「サイエンス」の表紙を飾った(Anstey et al., 2009)。相変異に関わる新発見は科学的に高い評価を受ける。

野外で相変異がどのようなプロセスで起こっているのか、なぜ相変異するのかといった謎を解明することができれば、群生相化を阻止するなどの有効な防除技術が開発できると考えられ、過去100年以上に渡ってヨーロッパを中心に膨大な研究が行われてきた。しかし、相の変化がどうなっているのか、その一部はわかってきたが、相変異のメカニズムには未だに不明な点が多く、得られた成果も防除技術開発に十分反映されていない。

この連載の第1回目(※下記のURL参照)でも触れたが、その最大の理由は、従来の研究がサバクトビバッタの生息しない地域の実験室内で行われており、生息地での野外調査がほとんど行われていないため、野外での生態に関する情報が欠如しているからだ。生態が不明であるため殺虫剤を効率良く散布する技術が開発できず、現状では環境を汚染するリスクを負いながら広大な発生地域全てに殺虫剤を散布せざるを得ない。

相変異を知ると具体的に何ができるのか。例えば、産卵にも相変異が関わっている。サバクトビバッタは湿った地中に産卵するが、孤独相は単独で産卵するのに対し、群生相は集団で産卵する。集団産卵がどのように行われているのか、その謎を解くことができれば、産卵場所を前もって特定できたり、産卵したいバッタを1カ所におびき寄せて一網打尽にするなどの応用ができる。

これまで、群生相が何におびきよせられているのかということは研究されてきたのだが、研究者によってバッタの姿やニオイ、卵のニオイなど主張が異なっており、一貫した結果が得られていない。いずれも室内実験の結果で、実際に野外でどうやって集団産卵されているか詳しく観察されていない。

年間数百億円もの被害を出す害虫にもかかわらず、なぜ誰も野外調査をしないのか。これも連載第1回目で書いたが、現地の研究者はすぐに偉くなってしまうので野外の現場に出ることができず、白人研究者はテロリストのターゲットになるので、野外に出ることができないのだ。

ならば、私が行こう。

私がやりたいことは、研究の初心に立ち返り、今まで手付かずだった野外生態を解明することだ。野生のバッタがいつ、どこで、何をしているのかを自分の目で観察し、本来の姿を知る必要があるのだ。

こんなにありますバッタの謎  / 3- 貯金の底が見えてきた

私は無収入のくせにアフリカに留まることで物好き扱いされている。しかし私は、まだ誰も気づいていない謎解きの手がかりを知ってしまった。どうしても謎を解くまで続けたいのだ。人類が平和になるために解かねばならない謎があり、人類史上、初めて自分がそのカギを握っている。やらないわけにはいかんでしょう。

歴代のバッタ研究者の中で、33歳ですでにサバクトビバッタの相変異研究に11年間従事した者はいない。近年、世界的にバッタ研究者の引退が相次いでいるが、若手が育っていない。私がここで踏ん張らなければ、世界のバッタ研究はどうなってしまうのか。

私に残されたアフリカ滞在期間はあと6ヵ月。任期の延長はなく、すでに貯金の底がみえてきたので来年以降自力でアフリカに留まることはできない。年貢の納め時どころか納める年貢も尽きてしまう。今年は雨が降ったので、サバクトビバッタが舞い戻ってくるだろう。許された時間に全てを捧げ、野外調査に力を注ぐべく、長らくお付き合い下さった読者の皆様に感謝しつつ、今回をもって連載を終了いたします。

サハラ砂漠でお会いしましょう。

※シリーズ第1回 =https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/54ac9f02ba91a58a57b3c0c895930cd2=

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https://youtu.be/6bx5JUGVahk  == Swarm Of Locusts DEVOUR Everything In Their Path ==

https://youtu.be/OiwIkGeNz8A  == What's causing the spread of millions of locusts across East Africa? ==

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/d579988fd62f92c8345e5921199369b5

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森のなかえ

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