「おい! 君大丈夫か!?」
誰かが俺の肩を叩いている。
「う。ここは……?」
目がぼやけて周りがよく確認できない。
「大丈夫か?」
俺は目を擦ってからもう一度辺りを見渡した。
あーあの雑居ビルか。俺は身体を起こし、立ち上がった。
「君。こんな所で寝てちゃダメじゃないか。そもそもここは立ち入り禁止の筈だが?」
どうやら、このビルの警備員の人みたいだ。
「すみません」
俺は頭を下げた。
地面に転がっているリュックを拾い上げると、もう一度、警備員に頭を下げて、逃げるように屋上を出た。
非常階段を降りる。ここは? 俺は戻ってきたのか?
非常階段を降りると、そこに広がる街並みは俺の知っている2028年の記憶と合致していた。
俺は戻ってきた! 恐らく成功したんだ!
俺はガッツポーズをした。
冷静になり、周りを見ると、冷ややかな目で俺を見ていることに、気づき、俺は恥ずかしくなって、その場を後にした。
「葵は無事なのか!?」
スマホを確認した。しかし、そこには葵のメールも着信も登録も何もなかった。
博人や麻美、絵理も登録の跡はなかった。しかしこのスマホ使えるのか? アンテナも立ってないじゃないか。
「やっぱり失敗だったのか……てか、あれは夢だったのか……」
とにかく、一度家に帰るしかないか。阿依も一人で待っていることだし。おそらく、ご飯を作って、待っているはずだ。
俺は新宿駅から中央線に乗り、三鷹駅で下車し自宅へと向かった。
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