講座「首都圏生きものめぐり」初回実施レポート(里山ガーデン~四季の森公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

先週日曜日の4月18日、かねてより告知してまいりました

散策講座『首都圏生きものめぐり』の第1回を

無事開催することができました。

横浜市の里山ガーデンと、隣接する四季の森公園

1日かけて両方散策しながら動植物を探すというもの。

天候にも恵まれ、充実した会になったのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

散策にあたっては所要時間5時間程度を予定しており

当初は少し長くとり過ぎたかとも思っていたのですが

いざ実際に歩いてみますと、足下のちょっとした植え込みに

頻繁に昆虫が飛来し、それらを逐一観察・紹介していたら

むしろ時間が足りなくなってしまいそうなほどでした(汗)

(写真は左:ベニシジミ、右:ヤブキリの幼虫

 

園芸植物も、昆虫にとってはただの餌場です

巷では外来種問題等が色々叫ばれる昨今ではありますが

さて、彼らはどう思っているんでしょうかね?

 

 

 

 

 

 

春にしか現れないニッポンヒゲナガハナバチ(左)と

暖かくなったことで姿を現したらしいドジョウ(右)。

いずれも里山ガーデンの敷地内で観察したものです。

 

ドジョウはともかく、前者のニッポンヒゲナガハナバチは

知名度が低く、知らない方にはミツバチに見えるかもしれません。

彼らは危険性が薄いこと、そして春限定の生きものであること……

本講座では、こうした特徴を実物を観察しながら解説しました。

 

 

 

 

 

里山ガーデンは、今回裏の谷戸花壇(菜の花のある方)から

順に散策し、それからエントランスへと移動しました。

今年もウェルカムガーデンは三上真史さんがデザインした模様。

そして、これらの花にもチョウやハチは飛来します。

ここに来るまでの間にケ●シの洗礼を浴びたのも今はいい思い出

 

前日と比較して天候が回復したためか

人の入りはなかなか良かったような気がします。

 

 

 

 

 

里山ガーデンのメインたる「大花壇」へ移動。

気温が上がりやすかったためか、例年より早く花が咲き進み

豪華絢爛な雰囲気となっていました。

 

 

 

 

 

大花壇にも昆虫は多数飛来。

大きいものとしては、ジャコウアゲハも飛んでいました。

(写真はリナリアで吸蜜中)

 

 

 

 

 

ウッドデッキに現れたセグロアシナガバチ

大型で危険性のあるハチではありますが、

こういう生物にエンカウントするのは

『首都圏生きものめぐり』においては想定内であり

遭遇したらその都度観察・解説するのが当たり前。

彼等もまた、今回の散策エリアにおけるイチ住人なので。

 

ちなみにウッドデッキで何をしているのかというと

恐らく巣材集めの一環でしょう。彼らは牙で木を削り、

その繊維で巣を作ります。

 

 

 

 

 

四季の森公園の入口にて。

カエデの「花」が咲いていたので、じっくり観賞します。

 

 

 

 

 

 

四季の森公園は里山ガーデンとは対照的に

華やかさは少ない一方、高い自然度に全フリした県立公園です。

小川沿いではニリンソウを観察できました。

ちょっと遅いかと思いましたが、まだ残っていたようです。

 

 

 

 

 

絶滅危惧種であるキンラン

四季の森公園では毎年この通り。

例年より温暖だったおかげ(?)で

開花期が前倒しになり、ドンピシャだったようです。

 

 

 

 

 

クローズアップするとこんな感じ。

花は決して大きくありませんが、背丈が高いですし

何より黄色くて目立ちやすい色なのですぐ見つかります。

絶滅危惧種とは思えないくらいあちこちに生えており

何となくブラブラしているだけでも出合えることでしょう。

 

 

 

 

 

エビネも多数開花していました。

キンランと並ぶ人気の野生ランで、

四季の森公園では割と普通にあちこちで見かけますが

他ではあまり目にしません(少なくともキンランの方がよく見る)。

 

 

 

 

 

 

公園内の森に咲くエビネやキンランを、皆で観察・撮影。

林道ではいきなり足下に現れることもあるので

私が先頭に立ち、常に注意を払いながら探しました。

 

 

 

 

 

キンランと違ってこの日なかなか見つからなかったのが

写真のギンラン。色が目立たない上に株のサイズが小さいので

注意しながら探していても容易には見られませんでした。

どうやらキンランより若干開花期が遅いらしく

株が減ったというより「まだ咲いていない」だけだったようです。

 

あれか1週間経過した今週末なら、そこそこ見られるかも?

 

 

 

 

 

園内の一角で大事に保護されているクマガイソウ

キンランやエビネよりも遥かにレア度の高い野生ランで

山野草愛好家の間でも人気です。

1年の中で開花する期間はせいぜい春の1~2週間……

これまた気温が上がったおかげで、無事観察できました。

 

 

 

 

 

トゲアリも、いつも通りの場所に出現。

遠目ではなくよ~く観察しなければ

これが絶滅危惧種のアリであることに気づけないかもしれません。

こうした生きものが毎年観察できるということを

講座中はしっかりと解説させていただきました。

参加者の皆さんも興味津々だったのが嬉しいところです。

 

 

 

 

 

池に足を運べば、そこには毎度おなじみカワセミの姿が……↓

 

 

 

 

 

なんと、求愛に成功(?)したシーンを撮れました。

講師である私にとってもこれは想定外。初めての撮影です。

こうした嬉しい想定外が起きるのも

講座『首都圏生きものめぐり』の特徴と言えるかもしれません。

 

無論、ある程度観察できる生きものの目星は付けていきますが

相手は人間語の通じない「自然」という概念ですので、

そう狙い通りにはいきません。良くも悪くも。

 

 

 

 

 

最後に、巣を作っているコゲラにも会えました。

木をカンカンしている姿なら何度も見かけましたが

巣穴を掘っている姿はこれまた初めて撮れたと思います。

ちなみに写真は、巣の中にたまった木屑を外に放出しているところ。

「くしゃみ」しているように見えるのはご愛敬です。

 

 

如何だったでしょうか?

こうして写真で紹介することで興味を持っていただけるのは

もちろん嬉しいことですが、可能であればぜひ「生」

現地に息づく生きものの姿を見ていただきたいところです。

本ブログだけでは伝えきれない面白さを、

講座『首都圏生きものめぐり』では直接お伝えいたします。

意外なほど近くに息づく動植物を、一緒に観察しましょう!

 

 

 

 

【4/18 里山ガーデン&四季の森公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・カルガモ、カワセミ、コゲラ、ハシボソガラス

昆虫類・・・オオスズメバチ、キマダラカメムシ、クマバチ、クロヒカゲ、コミスジ、シオヤトンボ、ジャコウアゲハ、セグロアシナガバチ、ツバメシジミ、トゲアリ、ナナホシテントウ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ニホンミツバチ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ、ベニシジミ、ヤブキリ(幼虫)、ヤマトシジミ

その他・・・ドジョウ、ニホンカナヘビ、メダカ

主な植物・・・エビネ、キンラン、ギンラン、クマガイソウ、ササバギンラン、シャガ、シュンラン、ニリンソウ、ヒトリシズカ、ムラサキケマン、レンゲなど

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年5月15日(土)16日(日)に開催いたします。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらをご覧ください。