ペンタスの魔法(江の島→鎌倉中央公園→フラワーパーク大船植物園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

本当は江の島を一日ゆっくり散策するつもりだったのですが、

後述の通り天気は良くてもその他のコンディションが

最悪だったため、ノルマであるハヤブサの様子見だけを済ませ

モノレールに乗って場所を変えることとしました。

 

 

 

 

 

ハヤブサは、これまでに撮影してきたポイントですぐに見つかり

距離はありましたが証拠写真を押さえることができました。

向こうは多分私なんぞ見飽きていると思います

 

が、この日は前日近くを通過した台風の影響なのか

潮位が異様に高く、ハヤブサ出現スポットに向かうためにも

途中靴を脱がないととても歩けないほど水が満ちていました。

上記のハヤブサに会いに行くのはもちろんのこと

そこから戻るのにも一苦労という有り様で

実際私以外にハヤブサ撮影に来ている人はいませんでした。

(釣り客は何人か来ていたのですが)

 

 

 

 

 

そういうわけで案の定といいますか

江の島散策の要である稚児ヶ淵もほぼ水没

立入禁止となっていました(釣り人については知らん(爆))

これ以上残っても成果は上がらないと判断し

結局午前中に江の島を出ることにしました。

 

 

 

 

 

でもせっかく江の島まで来たので

せめて「それらしいもの」を食べようということで

少し早めの昼食ということで

旬の生しらす丼をいただきました。

 

この時期には鎌倉など色々な所で提供している

生しらすですが、割と江の島島内は安価な印象です。

 

 

 

 

 

モノレールを途中下車し、鎌倉中央公園へ。

一年前にも訪れた鎌倉市内有数の大きな公園です。

写真中央右手、園路沿いにはハギの花が咲いています。

 

 

 

 

 

ハギで吸蜜するウラナミシジミ

幼虫の食草としても成虫の蜜源としても

ハギを利用しているのがこのチョウの特徴。

ハギさえあればほぼ生きていけると言ってもいいでしょう。

 

 

 

 

 

一見するとクマバチのように見えますが

全く違う種。オオハキリバチといいます。

ハキリバチの仲間としては日本でもかなりの大型種で

何回か見かけたことはありますが、

正式に撮影するのは今回が初めてです。

 

遭遇率・・・3 (かなりよく見かけます)

インパクト・・・3 (クマバチが瘦せたような体形)

美しさ・・・2 (ビジュアル面はイマイチかも)

俊敏性・・・4 (ハチらしくかなり俊敏に飛び回ります)

知名度・・・2 (昆虫エクスプローラーには掲載)

 

……もしかしたら過去に遭遇した際には

食料が足りなくて瘦せこけたクマバチと

誤認していた可能性があります。(恥)

 

 

 

 

 

 

鎌倉中央公園は、谷戸に広がる自然空間。

水路や田んぼなどを有し、自然体験には格好のスポットです。

「鎌倉の原風景」というと右写真のような感じでしょう。

 

 

 

 

 

秋本番らしく、オオカマキリの成虫が出現。

いよいよエンカウント率が高くなってきました。

 

 

 

 

 

バックは大分ぼけてしまいますが

(手前に焦点を当てている以上致し方ありますまい)

オオカマキリのいる風景です。

 

 

 

 

 

トゲヒシバッタに遭遇。フォルムが独特なので、

小型ながらも印象に残りやすい昆虫です。

 

 

 

 

 

ハロウィンの飾りつけも。

ちなみに足下にはいくつかの花壇植物が見られますが

これらはこの時期に都市部の花壇でもよく使用される

開花期の長い植物です。詳細は後述。

 

 

 

 

 

鎌倉中央公園から大船植物園に向かう途中

民家の壁面にくっついているのを撮影しました。

これは……やっぱり何者なのか判然としません。

「蛾」であるということ以外まるで不明です。(;^_^A

 

相変わらず情けなくて申し訳ないのですが

もし詳しい方いらっしゃいましたら

教えていただけましたら幸いです。<(_ _)>

 

読者の皆様からの情報により

どうやらタケカレハらしいと判明しました。

名前の通り枯葉に擬態する蛾……なのですが

コンクリートに貼り付いていてはまるで意味がありません。(;^_^A

 

遭遇率・・・2 (珍しい昆虫ではない)

インパクト・・・3 (そこそこ大き目)

美しさ・・・2 (枯葉に擬態しているので地味)

俊敏性・・・3 (この時は微動だにしませんでしたが)

知名度・・・2 (そこそこの図鑑には掲載されています)

 

情報をくださいました皆様、誠にありがとうございます。<(_ _)>

 

 

 

 

 

 

フラワーセンター大船植物園に移動。

本ブログでも何度となく足を運んでいるスポットです。

最寄り駅は大船なのですが、

実は上記の鎌倉中央公園からでも

徒歩30分程度で来ることができます。

 

ここにはハギを多数植栽している場所があり

秋の見所の一つとなっています。

 

 

 

 

 

当然といいますか、ウラナミシジミも多数観察できます。

恐らく産卵もこの場所でしているのではないでしょうか。

あまりに多過ぎたので、ハギで静止したところを

軽く素手で捕獲してみました。すぐリリースしましたが。

 

 

 

 

 

 

ここはあくまで人に見せるための植物園なので

ビジュアル面も追求しなくてはならないのが当然のこと。

この日はセンニチコウペンタスアゲラタムなどの

暑さに強い所謂「夏花」が多数咲いていました。

 

上記写真2枚で咲いているのはいずれも「夏花」ですが

真夏のみでなく10月くらいまで開花期が続くこともしばしば。

そして私たちの目を楽しませてくれるだけに留まらず

昆虫たちの蜜源としても優秀です。

 

と、それだけならば何度も述べていることなのですが

今回はその中でもとりわけ昆虫を呼ぶ効果の高い

ペンタスに注目してみます。↓

 

 

 

 

 

アカタテハがとまっている花がペンタスです。

何となくヒヤシンス辺りを彷彿とさせる

小さな花がたくさん集まっている形が特徴。

花数が多い分蜜源も多く、足場にもなりやすいためか

チョウからハチまで実に多様な昆虫が訪れます。

 

 

 

 

 

 

特に注目したいのが、秋になると多数飛び回るようになる

ホバリングするスズメガの仲間が、ペンタスを好むということ。

そしてペンタスでの吸蜜時はとりわけ空中で静止する時間が長く

写真撮影にも適しているということです。

これは、一ヶ所に静止したまま、

口吻をあちこちの花に伸ばして吸蜜するため。

慣れてくれば、スマホで鮮明に撮ることもできるかも?

(左はヒメクロホウジャク、右はホシホウジャクです)

 

 

 

 

 

比較的知名度が高く、一部で人気も高いオオスカシバも飛来。

上記の2種に比べると若干遭遇機会が少ないですが

それだけに鮮明に撮影できるとちょっと感動します。

名前通りの透けた翅と、メリハリのある体色が秀逸です。

 

この手の蛾を撮影する際には、蛾本体ではなく

次に彼らが吸蜜するであろう花の方に焦点を合わせておき

来た時を見計らってシャッターを切るのが定石ですが

ペンタスは上記の通り静止時間が他の花より長くなるため

慣れてくると、蛾本体にピントを合わせることができ

より鮮明な撮影もできるようになります。

 

 

 

 

 

上から撮影。翅の脈までしっかりと撮れました。

 

もちろん、ウラナミシジミなども飛来しやすく

昆虫を呼ぶという一点に限っていうならば

花壇をペンタスで埋めるだけで十分過ぎる効果が得られます。

(無論、ビジュアル的には少々物足りなくなりますが……)

 

 

 

 

 

夏花の中ではほぼ唯一といっていい

花よりも「葉」を楽しむことを目的としたコリウス

しかし、この植物にも地味ながらちゃんと花が咲きます。

写真でもウラナミシジミが吸蜜しており

単にカラーリーフ(葉の色を楽しむ園芸植物)としてのみでなく

昆虫を呼ぶ効果も期待できると言えます。

 

ここに紹介した植物は、先日のお台場を含めて

首都圏近郊で近年非常によく見られるようになってきました。

上記の通り蜜源としては優秀なものが多いので

あとは幼虫の食草さえ充実させれば

街中に昆虫の数・種類を増やすことも十分可能に感じます。

 

 

 

 

 

最後に、植物園からの帰りがけに

柏尾川で見かけたカワセミです。

 

 

 

 

【10/2 江の島→鎌倉中央公園→大船植物園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、イソヒヨドリ、ウミネコ、カルガモ、カワセミ、コサギ、シジュウカラ、トビ、ハクセキレイ、ハヤブサ

昆虫類・・・アオバハゴロモ、アオモンイトトンボ、アカタテハ、イチモンジセセリ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、エサキモンキツノカメムシ、エンマコオロギ、オオカマキリ、オオスカシバ、オオスズメバチ、オオハキリバチ、キタキチョウ、キンケハラナガツチバチ、クダマキモドキ、クマバチ、クロアゲハ、クロイトトンボ、クロウリハムシ、クロマダラソテツシジミ、コアオハナムグリ、コバネイナゴ、シオカラトンボ、シマアメンボ、ショウリョウバッタ、スジブトハシリグモ、セイヨウミツバチ、タケカレハ、ツマグロヒョウモン、トゲヒシバッタ、ハラビロカマキリ、ヒメクロホウジャク、ホシホウジャク、ホソメヒラタアブ、ホタルガ、ヤマトシジミ、ヨコヅナサシガメ

その他・・・アカミミガメ、イワガニ、ニホンカナヘビ、ホンヤドカリ、ヨロイイソギンチャク

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年10月23日(土)に開催いたします。

 行先は「長浜公園~八景島~海の公園」でございます。

 (シーサイドラインに乗って移動します)

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。