【講座実施報告】東京湾、2つの渡り鳥飛来地を巡る(4月・谷津干潟&三番瀬) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

2年目に突入した講座「首都圏生きものめぐり」

初回の4月は、昨年秋に行きそびれてしまった

東京湾の2つの干潟 谷津干潟三番瀬を巡りました。

 

シギ・チドリの観察のしやすさと種類だけでいえば

三番瀬の方が上なのですが、この日は昼に干潮、

夕方に満潮を迎えるということを事前に潮位表で

把握しておりましたので、程よい満潮時の方が撮影しやすい

三番瀬を後回しにし、先に谷津干潟を巡りました。

 

初参加いただいた方もいらっしゃいましたので

晴天は実にありがたいですね。

 

 

 

 

 

潮の引きつつある谷津干潟。

三番瀬と比べると鳥との距離が遠いため

半分「捨てる」くらいの心づもりだったのですが

予想に反して結構近くでシギを観察できました。

 

上の写真も、拡大してみると

数羽のシギが干潟を歩いているのがわかります。

 

 

 

 

 

 

主にここで観察できたのは

オオソリハシシギ(左)とチュウシャクシギ

前者は然るべきポイントなら高確率で観察できるものの

一応は絶滅危惧種とされているので

参加者の皆様にとっては貴重な出合いだったはず。

 

また、そうした渡り鳥の糧となる

大量のカニも観察(右はヤマトオサガニ)。

こうした小動物あってこその谷津干潟であることは

しっかりと解説させていただきました。

 

 

 

 

 

ツツジの灌木にだらしなく寝そべった

恐らくは冬眠明け直後のアオダイショウ

いわゆる日光浴中でほとんど動きません。

 

こういう個体に遭遇する機会は滅多にないので

参加者の皆さんにも触っていただきました。

(自分ですら2回目だったりします)

 

 

 

 

 

 

隣接する谷津バラ園も散策。

まだバラはほとんど咲いていませんでしたが

昆虫を呼ぶ花はそれなりに見られましたし

ナミアゲハの吸蜜も観察できました。

 

シギ・チドリの観察がメインではあるものの

本講座はバードウォッチング教室ではなく

あくまで「生きものめぐり」でございますので

干潟以外の周辺の環境にも目を向けていただきたく

こういうスポットにも立ち寄っています。

 

 

 

 

 

ヒトリシズカ……にしか見えないのですが

物凄く巨大だったので園芸品種かと思いました。(;^_^A

ただ、調べてみるとヒトリシズカは

花の終期になると巨大化するという記述も。

だとするとやはりこれもヒトリシズカなのか?

 

いつも石砂山で見ている個体が

時期的な理由で小型のものばかりなので

イマイチ識別に自信が持てませんでした。

 

谷津バラ園はローズガーデンではありますが

バラ以外の植物も結構植えていますので

(2つ上の写真にはクリスマスローズも写っています)

バラの開花期以外でもそれなりに楽しめます。

そういうシーズンは入園料が安くなるのも好ポイント。

 

 

 

 

 

 

昼食を済ませて谷津干潟を後にし、

南船橋駅から二俣新町駅へ移動。

駅からはバスで三番瀬に向かいましたが

その前に駅近くでニホンカナヘビを発見しました。

 

こういう鳥以外の小動物にも目を向けるのが

講座「首都圏生きものめぐり」なのです。

 

 

 

 

 

三番瀬到着後。やはり狙い通り、潮が満ちてきて

着陸できる面積が狭まってきたことにより

ミヤコドリなどが観察しやすい位置に

近づいてきていました。結構な数の集団です。

 

 

 

 

 

三番瀬を散策するのならば

このミヤコドリは絶対に撮影しておきたいもの。

目立つオレンジのクチバシなどは、

一度目にしたら恐らく一生忘れないことでしょう。

 

 

 

 

 

群れを成して飛んでいるのは

どうやらオオソリハシシギのようです。

こうした鳥の集団飛行も

三番瀬では結構観察機会が多くあります。

 

 

 

 

 

ダイゼン(大)とハマシギ(小)。

谷津干潟の方ではこの日見られなかったので

参加者の皆さんにはここが初顔合わせとなりました。

 

 

 

 

 

 

この日は大潮で満干潮の潮位差が非常に大きく

夕方の満潮に向かってどんどん水が迫ってきました。

皆さんにはサンダルを持参いただきましたので

足を浸からせながら観察・撮影を楽しんでいただきました。

 

 

 

 

 

これはオサガニ。泥の中に隠れていました。

 

 

 

 

 

元気のない個体でしたが、こんな新顔も。

アナジャコといい、ここ三番瀬では

決して珍しくないメジャーな甲殻類です。

 

遭遇率・・・3(三番瀬で泥を掘ればそれなりに出るらしい)

インパクト・・・3 (大きなハサミが特徴)

美しさ・・・3

俊敏性・・・3 (動く時は俊敏)

知名度・・・3 (図鑑を開けば普通に載っている)

 

 

普段、私一人で来る場合は砂(泥)を掘ったりしないため

これまでまったく会う機会がありませんでした。

今回は参加されたお子さん2名が砂遊びに熱中している中

たまたま出てきてくれたという感じですので

子供たちには心から感謝です。<(_ _)>

 

 

 

 

 

こちらの貝は前々からよく見かけていましたが

考えてみればまだ新顔登録していませんでした。

アラムシロといい、ここの最もメジャーな巻貝です。

 

遭遇率・・・4(三番瀬ではそこら中にいる)

インパクト・・・2 (小さな巻貝)

美しさ・・・2 (口吻を出して動く姿が若干キモい(爆))

俊敏性・・・1 (お察しください)

知名度・・・3 (よく入る貝なので図鑑とかにも掲載されているはず)

 

 

 

 

 

 

色々な小動物と渡り鳥を同時に観察できるため

大人も子供も楽しめる三番瀬ではございますが

自然度の高さの代償とでも言いますか

危険生物も出現することがあるので要注意です。

 

写真のアカエイはすでに死亡しておりましたが

しっかりと毒針(右)が残っておりました。

ついでにマスク越しでも漂ってくるアンモニア臭を放っていました

この針には死んでもなお毒腺が残っているため

刺さらないように細心の注意が必要です。

(ちなみに自分もアカエイの毒針を撮ったのは初めて)

 

たまに生きた個体が浅瀬に来ることもあるため

潮が満ちてきた際にはとりわけ気をつけたいところです。

 

 

 

 

 

15時を過ぎると、流石に潮が満ち過ぎて

足場が狭くなってしまったためか

ミヤコドリたちは波止場の方に大移動しました。

 

ちなみにこの写真、手前の波止場だけでなく

奥にぼんやりと見える波止場にも

ミヤコドリの集団らしきものが写っています。

後で調べてみてようやく気付きました。

 

 

 

 

 

最後にこちらを。満潮時間が近づいて

ポールやネットなどの限られた足場を利用する

水鳥たちの姿です。ちなみに左から順に

ダイサギ×2、オオソリハシシギ×3、

チュウシャクシギ、オオソリハシシギですね。

 

ちなみにこの写真も奥の方にぼんやりと

鳥の姿が写っていますが、実はこれは別の鳥

その正体については講座の翌週に確かめに行って

まいりましたので、後日紹介させていただきます。

 

 

 

以上、1日かけて東京湾の干潟の魅力を

体験していただきました。目標とする鳥たちも

ほぼ狙い通りに観察・撮影できましたので

参加者の皆さんにも喜んでいただけたように感じます。

 

 

 

 

 

【4/17 谷津干潟~三番瀬で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、イソシギ、エナガ、オオソリハシシギ、オオバン、オナガガモ、カイツブリ、カルガモ、カワウ、キジバト、コガモ、コサギ、シジュウカラ、スズガモ、ダイサギ、ダイゼン、チュウシャクシギ、ツグミ、トビ、ハクセキレイ、ハシビロガモ、ハマシギ、ヒドリガモ、ヒヨドリ、ミヤコドリ、ムクドリ

昆虫類・・・ナミアゲハ、モモブトカミキリモドキ

その他・・・アオダイショウ、アシハラガニ、アナジャコ、アラムシロ、オサガニ、コメツキガニ、ニホンカナヘビ、ミズクラゲ、ヤマトオサガニ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年5月15日(日)に開催いたします。

 行先は「江の島(予定)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。