【7月の講座開催シミュレーション】雨天「後」にも残る影響を検証してみました(鎌倉) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

7月16日に開催予定であった

講座「首都圏生きものめぐり 鎌倉編」

悪天候のために中止とさせていただきました。

当日は一応小雨ではあったのですが

前日の夜にかなりの量の雨が降ったため

とりわけ朝夷奈切通が悪路になるであろうと踏み

残念ではありましたがこういう措置を採りました。(T_T)

 

しかし、責任者としましては今後のためにも

中止の是非を検証する必要がありましたため

天候が回復してきた実施予定日翌日(17日)に

同じコース・同じ時間割で鎌倉を歩いてみました。

 

上の2つの写真は、それぞれ朝夷奈切通

横浜市側(左)と鎌倉市側(右)の状態です。

いずれも午前中、晴天かと思えば急に雨が降ったりと

不安定な天候下ではありましたが、写真で見る限り

前日・前々日の雨の影響はそこまで出てはおらず

一応人が歩ける状態ではありました。

どちらかというと絞り水の量が多い鎌倉側の方が

所々滑りやすくなっていたかもしれません。

 

 

 

 

 

切通で見かけたトウキョウヒメハンミョウ

まあ、要するにハンミョウの一種ではあるわけですが……

 

午前中に切通を歩いていて驚いたのが

あれだけ視察時に多数見られた本家ハンミョウが

まったく見られなかったということです。

誇張ではなく、本当に1匹も出なかったので

これはもう「雨のせい」としか思えず。

 

後で調べてみましたが、地面を歩き回るハンミョウは

雨粒が降り注ぐ状況では外に出たがらないのだとか。

(トウキョウryは何故かたくさん出ていましたが)

ゆえに雨天中はもちろん、雨上がりに雨粒が落ちてくる時も

どこかに身を隠してしまうのだそうです。

ということは、仮に無理して16日に講座を開催していても

恐らくはハンミョウを見ることはできなかった……

少なくとも、昨年感動したような乱舞する様

ほぼ確実に見られなかったものと思われます。

(17日より16日の方が天気が悪かったので)

 

 

 

 

 

ちなみに「絞り水」というのは

前日等に降った雨が地中に浸透した後

崖線からしみ出してきたものを指します。

簡単に言ってしまえば湧き水の一種です。

 

朝夷奈切通の鎌倉市側ではこの絞り水が

絶えず流れ出しているのですが

当然というべきかこの日は流量が多く

ちょっとした川のようになっていました。

 

 

 

 

 

それでも崖崩れを起こすことはなく

普通に歩けたのは幸運と言えるのかもしれません。

しかし、私一人ならともかく

小学生のお子さんを引率してこの道を歩くのは

やはりさすがに厳しかったでしょう。

 

 

 

 

 

昆虫については「ハンミョウがいない」というだけで

それいがいの切通の虫たちは軒並み観察できました。

写真はルリシジミ。地面で吸水することの多いチョウで

この日は湿った地面等で多数確認しております。

 

 

 

 

 

カマキリの幼虫

大分大きくなってきました。

 

 

 

 

 

かなり巨大なヤゴの落とし物。

これはオニヤンマの抜け殻です。

 

しっとりと濡れていましたが

これは前日から続く雨のせいか

それとも抜け殻から出て間もなかったからか……?

 

 

 

 

 

 

切通を出て昼食をとり、その足で

石窯ガーデンテラスのある浄明寺へ向かいます。

写真は道中で撮影したハッカの仲間(左)と

ご存知軍曹もといアシダカグモ(右)です。

 

講座ではバスで移動する予定でしたが

私一人ということもあり、徒歩で向かいました。

 

 

 

 

 

石窯ガーデンテラスのエントランス前。

まだ雲がかかってはいましたが

既に雨は上がっており、

以降この日は一度も降りませんでした。

 

真夏らしくミソハギの花数が大分増えてきており

これに伴い昆虫の数・種類も増してきていました。

 

 

 

 

 

ムクゲ(フヨウ?)を訪れたコチャバネセセリ

観賞用として人気の高い花ではありますが

こうして昆虫が訪れるシーンは

意外とあまり目にしないかもしれません。

 

 

 

 

 

 

ケーキと紅茶をいただきつつ

ガーデンテラスの「中」を歩いてみましょう。

 

ここへ来てやっと青空の面積が広がってきました。

晴れるのがあと「2日」早ければ……と

しつこいですが悔やまれてなりません。(T_T)

(1日だと、やはり午前中に切通でハンミョウが観察できないため)

 

 

 

 

 

ここから、石窯ガーデンテラス内で撮れた

昆虫の写真が続きます。

 

まずはベルガモットを訪れたトラマルハナバチです。

見えにくいですが写真右奥にもとまっています。

 

 

 

 

 

こちらはミソハギを訪れた個体です。

5月に訪問した際にはコマルハナバチが多かったですが

どうやら本種にシフトしたようです。

 

 

 

 

 

会えるとちょっと嬉しい

ハラアカヤドリハキリバチ

お腹が真っ赤なので、名前を覚えるのはともかく

印象には残りやすいハチかと思われます。

 

 

 

 

 

 

オオシオカラトンボ(左)やカマキリの幼虫(右)など

肉食昆虫も観察できました。限られた面積ながら

しっかり食う・食われるの関係が成り立っているようです。

 

 

 

 

 

実際に「食っている」シーンにも遭遇。

ニホンミツバチを仕留めたシオヤアブ

正面から撮ってみました。

ハチやカマキリと違い「表情」らしいものが見えないのが逆に怖いという人も多い

 

乗っかっている花はエキナセアです。

ハチやチョウに人気の高い花だけに

こうして捕食者にとっての「狩り場」にもなっています。

 

一方、狙いであったルリモンハナバチ

時期がまだ早かったということか

この日も1匹も観察することができませんでした。

やはり梅雨明け後にだらだら雨天が続いているためか

昨年より発生が遅れているのかもしれません……。

 

 

 

 

 

 

14時頃の石窯ガーデンテラス。

すっかり陽が出て、気温も上がってきました。

 

 

 

 

 

やっと出てきた陽光を浴びるためか

ご開帳のムラサキシジミにも遭遇。

珍しい種というわけではないものの

やはりこの美しさには毎度目を奪われます。

 

さて、講座の予定ではこの後鎌倉駅にバスで移動し

そこで解散することとなっておりましたが

今回はあくまで私1人でのシミュレーションでしたので

雨が上がった後のハンミョウの出現状況を探るべく

もう一度朝夷奈切通へと引き返しました。↓

 

 

 

 

 

 

何となく久しぶりに撮った気がする

キボシカミキリ。正面からのアングルも1枚。

 

 

 

 

 

戻ってきました朝夷奈切通。

写真は鎌倉市側になります。

午前中と比較し、何故か折れた枝葉があちこちに……。

しかも歩いている私の目の前に

現在進行形(?)で落ちてくるのだからたまらない(マジ)。

 

 

 

 

 

そんな状況下でも悠長に吸水している

中途半端に翅を開いたカラスアゲハ

ちなみに午前中の「行き」でも

複数姿を確認しております。

 

ハンミョウと違い、雨が降ってさえいなければ

問題なく活動できるようです。

 

 

 

 

 

一方、午前中には1匹も見られなかったハンミョウですが

さすがに雨が完全に止んで暖かく(暑く)なってきたからか

そこそこの数が出てくるようになりました。

(写真は16時頃に撮影したものです)

 

とは言え、やはりこの分では講座を決行しても

メインであるハンミョウとルリモンハナバチは見られず

イマイチな結果に終わってしまったように感じます。

そもそも悪路でとても皆で歩けるような状況ではなく

がっかりさせる結果になっていた気がしてなりません。

 

講師としては、いつかもう一度

朝夷奈切通~石窯ガーデンテラスのコースで

散策講座を開きたいところ。

来年に持ち越しにはなってしまいますが

その場合、7月ではなく8月開催という形で

調整していこうかと考えております。

(その方が昆虫の「出」が良いと予想できますので)

 

 

 

 

【7/17 鎌倉で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、トビ、ハクセキレイ

昆虫類・・・アオバハゴロモ、アカタテハ、アシナガバエ、イチモンジセセリ、ウラギンシジミ、オオシオカラトンボ、カマキリの幼虫、カラスアゲハ、キタキチョウ、キボシカミキリ、キンケハラナガツチバチ、クロアナバチ、コチャバネセセリ、ザトウムシ、シオカラトンボ、シオヤアブ、ジガバチ、シマアメンボ、ショウジョウトンボ、スジグロシロチョウ、ダイミョウセセリ、タンザワフキバッタ、ツマグロヒョウモン、トウキョウヒメハンミョウ、トラマルハナバチ、ニイニイゼミ、ニホンミツバチ、ハエトリグモの一種、ハグロトンボ、ハラアカヤドリハキリバチ、ハンミョウ、ベニシジミ、マメコガネ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ、ラミーカミキリ、ルリシジミ、ルリチュウレンジ

その他・・・ナミギセル、ニホントカゲ、ミスジマイマイ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年8月21日(日)に開催いたします。

 行先は「小山田緑地」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。