アオバトに始まる大磯ロングウォーク(大磯町・前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

今年まだ一度も足を運んでいなかった

大磯の照ヶ崎海岸へ。最後に行ったのは

それこそ昨年6月の講座の時でしょうか?

 

講座の時は、先に酒匂川のコアジサシを

観察しに行き、昼食をとってから来ましたので

こちらを訪れたのは陽が傾いてからでした。

 

後から調べてみましたが、どうやらアオバト

午前中の早い時間帯(10時くらいまで?)の方が

出現しやすい傾向にあるらしく、実際この日も

朝9時くらいに現地入りしたところ、

50羽くらいの集団が何度となく岩場を訪れ

明らかに午後よりも高頻度で飛来していました。

(講座の時、行先の順を逆にしておけばよかった……と後悔orz)

 

 

 

 

 

以前、午後に確かめに行った際には

15分に1回くらいの頻度だったと記憶しています。

この時は恐らく3分に1回くらいの超ハイペースで

しかも飛来数も多く、まさに目からウロコでした。

 

 

 

 

 

奥に見える黒い小さい影が、すべてアオバト。

これだけでも50羽以上におよびます。

最盛期には100羽を超えることもあるとかないとか……。

 

 

 

 

 

 

海岸近くの堤防(?)辺りを歩いていると

イチジクの木を見つけました。(右写真)

実も熟していましたが、人様の庭のものなので

当然取ってはいけません。 美味そうでしたが

 

 

 

 

 

さて、照ヶ崎海岸では一定の成果が得られましたが

まだ時間はたっぷりあります。ここから講座の時と逆に

酒匂川へ行くか、あるいは湘南平を目指すか……と

色々検討しましたが、最終的には今まで行ったことのない

大磯町内の幾つかの公園・庭園をめぐることにしました。

 

駅前の観光案内所で地図やパンフレットを貰い

一路西へと歩を進めます。

 

 

 

 

 

 

ここは旧島崎藤村邸。晩年を過ごした家を

再現・保存しています。細い路地を進んだ先の

閑静な住宅街の中に存在し、案内板がなければ

恐らく気づけない人も多いことでしょう。

 

中はそこそこ広いですが、素朴な造りで

落ち着いた雰囲気の庭もあります。

もちろん島崎藤村存命時と現在では

周囲の雰囲気は多少違ったかもしれませんが

心身の落ち着く環境であったことが窺えます。

 

ちなみに大磯は療養地・観光地として

明治時代より人気が高く、多くの政治家や作家が

別邸を構えた地でもあります。大磯町の中央~西側には

そうした邸宅跡地が数多く存在しておりますので

今回はそうしたスポットを何ヶ所か尋ねてみました。

 

 

 

 

 

 

大磯は海岸線沿いに東西に広がっているため

街路樹ではクロマツが多く使用されています。

国道一号線のクロマツ並木は

箱根駅伝でもよく登場するので有名ですね。

 

いくつかの木からは松脂(まつやに)が出ていましたが

興味本位で触ってみて、後で後悔しました(右写真)。

匂うしベタつくし洗ってもなかなか取れないしの三重苦でしたorz

 

 

 

 

 

陸奥宗光別邸&大隈重信別邸を尋ねました。

いずれも日本史の授業で一度は名を聞く政治家であり

両者の邸宅・庭園を併せて「明治記念大磯庭園」とされています。

いずれの建物も海に近く、今は松林で塞がれていますが

昔はダイレクトに海にアクセスできたと聞きます。

 

残念ながら邸宅は改修工事中でしたが

お庭は広く、散策にはちょうど良いスポットです。

 

 

 

 

 

 

整形式庭園で自然派とは言い難い環境ですが

時折チョウやトンボなどが飛び、

松林からはセミの鳴き声も聞こえました。

立入禁止ながら背丈の高い草むらもあったので

バッタの仲間なども多く暮らしているものと思われます。

(右写真は交尾中のアジアイトトンボ

 

 

 

 

 

西湘バイパスに隣接する大磯こゆるぎ緑地

一号線から細い道を入っていくと辿り着く

松林と草原で構成される小さな緑地です。

 

パッと見では地味なスポットかもしれませんが

鎌倉の御谷(おやつ)と同じく、

ここもナショナル・トラスト地だったりします。

 

 

 

 

 

 

海岸線らしくクロマツ林が保全されているほか

所々に最近植樹されたらしい株(右)が確認できました。

トラスト地となったのは平成15年。

今でも地域有志の手で大事に守り育てられているようです。

 

 

 

 

 

花はなく、上記の通り地味な緑地ですが

草むらはかなり充実しており、あちこちから鳴き声が。

写真は(多分)ウスイロササキリ

他にもバッタの生息密度は非常に高く

1歩進むだけで複数匹が飛び出してきました。

 

その後、昼食を済ませてさらに西へ……。

 

 

 

 

 

 

つきました。ここが大磯城山公園です。

(「しろやま」ではなく「じょうやま」が正解)

国道一号線を挟んで、南側の旧吉田茂邸地区と

北側の旧三井別邸地区の2エリアに分かれます。

 

広いのは北側になりますが、そちらは後半に回すとしまして

まずは旧吉田茂邸地区を散策します。

言うまでもなく内閣総理大臣 吉田茂の邸宅で

上記の島崎藤村と同じく、ここで晩年を過ごしたといいます。

目の前に海が広がるのどかな地。やはりそういう場所を

終の棲家としたい方は多いということか……。

バックには山もあるし、海と緑に挟まれる環境ゆえに

落ち着くものがあるのかもしれません。

 

 

 

 

 

旧吉田茂邸の庭園内を歩きます。

池あり草原あり……と、上記の陸奥&大隈邸と比べると

何となく昆虫が喜びそうな環境です。

写真は撮れませんでしたが、上記の池では

カワセミの若鳥が姿を現しました。

 

 

 

 

 

吉田茂翁はバラの愛好家でもあったらしく

敷地内にはバラ園が残されています。

まだ時期が早いかと思いましたが

既に大分秋バラが開花していました。

 

どうやら大輪系の王道のバラが好きだったらしく

つるバラやミニバラは見当たりません。

元々はケ●シなどが大嫌いだったらしいですが(爆)

ここの維持管理は御自分で丁寧に行っていらっしゃったとのこと。

 

 

 

 

 

 

庭園内の池で見られたハイイロゲンゴロウ(左)と

あちこちで鳴いていたツクツクホウシ(右)です。

草原もあり、そちらからはササキリ等の声を聞いています。

 

 

 

 

 

展望台にある吉田茂翁の銅像。

写真だとわかりにくいですが、かなり巨大です。

像の視線の先には、日米講和条約締結の地である

サンフランシスコの方を向いていると言われています。

 

また、天気が良ければこの展望台から富士山が見えます。

明確に関係があるのかどうかはわかりませんが

吉田翁は亡くなる前日に「富士山が見たい」と述べていたとか。

(ただし富士山が見えるのは、像のバックになります)

雲がかかっていたのが少々残念でした。

 

さて、この後北側の旧三井別邸地区などを歩いたのですが

題字の通りロングウォークになってしまったので

続きは後編にてお送りします。

 

 

 

<後編に続く>

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年9月18日(日)に開催いたします。

 行先は「秋の里山ガーデン&四季の森公園(横浜市)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。