【講座実施報告】再び、原点へ(4月・里山ガーデン&四季の森公園編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

4月の講座「首都圏生きものめぐり」では

昨年と同様に里山ガーデン&四季の森公園へ。

2021年の最初の講座で足を運んで以来

ここで開催するのは4回目(内1回は秋開催)となります。

 

華のある里山ガーデンと、自然度の高い四季の森公園。

せっかく隣り合っているのだから両方見ないと勿体ない……

そう考えて初回に企画してから既に久しいですが

大花壇のデザインが毎年更新されることもあり

何度足を運んでも飽きが来ません。

 

なお、昨年の大花壇は「白」を基調としていましたが

やっぱ春は暖色系だろ……という意見があったのか

今年は色々なカラーを織り交ぜていました。

まあ正直、私も今年の方が好きです

 

 

 

 

 

 

昨年同様に中山駅から歩いたので

まず四季の森公園に辿り着く形になりましたが

そちらは一旦突っ切ってしまい

先に里山ガーデンの方から歩きました。

 

色々な意見があるかと思いますが

森の中にちらほらと山野草(というかキンラン)が咲く

四季の森公園の方がリラックスできますので

午後の疲れの堪りやすい時間帯にあちらを歩くようにしています。

また、里山ガーデンは入口前の広場に

多数のキッチンカーが出展していますので

正午前のまだ混んでいない時間帯で広場に行き

先に昼食を済ませる……という方法を採っています。

 

 

 

 

 

大花壇にも結構な数・種類の昆虫が現れますが

春のこの時期なら谷戸の菜の花畑の方がおすすめ。

昨年に引き続き、ツマキチョウが出てきてくれました。

 

このチョウ、最近都心部でもたまに見かけまして

先日は日本大通(みなとみらい)にも現れました。

モンシロチョウと比べて一回り小さいですが

それ以上に飛び方が明確に違いますので

慣れてくるとパッと見でも見分けがつきます。

 

 

 

 

 

これは、どうやら菜の花に

卵を産み付けているようです。

他にもダイコンやカラシナ、あるいはナズナなど

結構色々な植物を食草としている様子。

いずれも都心部でも見られるような植物なので

今後個体数が回復してくる可能性も十分考えられます。

 

逆に最近はミヤマセセリの姿を見かけません。

石砂山では例年にないほどよく出ていましたが)

彼らはコナラやクヌギなどを食草とするらしいので

近年よくあるナラ枯れの影響……なのかもしんない(弱気)

 

 

 

 

 

シオヤトンボが出てきたので

咄嗟に捕獲してみました(もちろん素手)。

 

シオカラトンボとの差は図鑑等で紹介されていますが

やはりこうして現物を間近で見ていただきますと

相違点がよりよくわかるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

食事を済ませ、午後は四季の森公園へ。

あちこちからウグイスの声が聞こえてきます。

(例によって全く姿は見えませんが)

 

 

 

 

 

これはカエデの花。

春の一時にしか見られません。

 

 

 

 

 

トゲアリも、例年とほぼ同じ場所で見かけました。

木の根元付近に巣があるらしく、

相当数の「群れ」が出入りしていました。

 

遠距離から見ではただのアリにしか見えないので

クローズアップで撮影し、その場で皆さんにお見せしています。

釣り針を思わせる胸部の鋭いトゲは、やはり目を惹きますね。

 

 

 

 

 

樹液の出る木が多いためか、

ルリタテハも何度か見かけました。

同時に早くもスズメバチの姿を見かけましたが

この時期は基本女王バチだけで気性も荒くないので

あまり恐れることはありません。

 

今回はご開帳シーンも撮れました。

シンプルながらもお洒落なこの模様の入り方には

参加者の皆さんも興味津々なご様子でした。

 

 

 

 

 

 

ほか、ビロードツリアブ(左)がまだ見られましたし

咲き始めたヤグルマソウではクマバチの姿も見られました。

 

【以下、よくある流れ】

Q「この大きなハチは何ですか?」

 ▼

私「これはクマバチです」

 ▼

Q「え? それって怖い奴じゃないですか!?」

 ▼

私「いや、違います違います (^-^;。

それはクマ「ン」バチ(スズメバチの別名)であって

これはクマバチ。見た目に反して大人しいハチです」

 

 

 

 

 

 

山野草はもちろん、池にはカワセミも出ますので

その都度足を止めて観察・撮影を楽しみます。

今回は昼食込みのロングコースでしたので

割と時間に余裕をもってご案内できた気がします。

 

 

 

 

 

キンランの咲く風景

この四季の森公園においては

春の風物詩と言っても過言ではありません。

昨年よりも株数が多かったように見えました。

 

 

 

 

 

クローズアップするとこんな感じ。

毎年紹介しておりますが、

園路のすぐ近くに咲いてくれることも多いので

観察・撮影にはもってこいと言えます。

 

 

 

 

 

エビネの群落も健在でした。

写真のように密集している場所はさすがに限定されており

キンランの咲く中にちらほらと混じっていることが多いです。

ただ、森林の中でも花色がよく目立つキンランと違い

エビネは淡い色の花が多いため、ちょっと探すには苦労します。

 

 

 

 

 

クマガイソウ。今年も昨年と同様に

ドンピシャのタイミングで観察することができました。

 

 

 

 

 

 

チゴユリ(左)やジュウニヒトエ(右)も見かけました。

 

この日見られた山野草は、キンランを始めとしまして

エビネ、クマガイソウ、シュンラン、ヒトリシズカ、

ウラシマソウ、ホウチャクソウ、ニリンソウ、

そして上記の2種類といった塩梅で、実に多種多様。

もっと早い時期であればカタクリも開花しますので

いわゆる「春の山野草」と呼ばれるものの大半が

この四季の森公園で観賞できると言っていいでしょう。

(あくまで関東平野部に咲くもの限定ですが)

 

こうした山野草も毎年咲く位置や株数等が変化しますので

その都度「探す喜び」が得られます。

里山ガーデンとはまた違う形で

毎年散策する面白さがあると言えるでしょう。

 

 

 

 

 

最後に、池でカワセミを観察して

この日は終了となりました。

 

ご参加くださいました皆様に

この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

 

 

 

<おまけ>

講座開催日の1週間前に里山ガーデンを訪問したら

初めてコツバメが姿を現しました。

彼らの食草はアセビ(馬酔木)であり

しかも葉ではなく蕾を食べるとのこと。

アセビ自体は珍しくない植物ですので

本種も探せばもっといるのかもしれませんが

今のところ撮影できたのはここと御岳山だけです。

 

嬉しい出合いだったので、特別にUPいたしました。

 

 

 

 

【4/21 里山ガーデン&四季の森公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、ガビチョウ、カワセミ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ

昆虫類・・・オオスズメバチ、カラスアゲハ、キアゲハ、キタテハ、キリギリスの幼虫、クマバチ、コチャバネセセリ、ササグモ、シオヤトンボ、セイヨウミツバチ、セグロアシナガバチ、ツマキチョウ、ツマグロオオヨコバイ、テングチョウ、トゲアリ、ナガメ、ナミテントウ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ハグロケバエ、ヒメジュウジナガカメムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ビロードツリアブ、ベニシジミ、モンシロチョウ、ルリタテハ

その他・・・ニホンカナヘビ、ニホントカゲ

※コツバメは4/14に撮影したものです。

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2024年5月19日(日)に開催いたします。

 行先は「目黒川緑道~中目黒公園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。