先週の環境委員会で「川崎港長期構想の改訂」について報告がありました。
長期構想は「概ね20~30年先の長期的な視点に立った、総合的な港湾空間の形成とその在り方をとりまとめるもの」とされています。
長期的な視点で都市構造を考える重要性は理解します。
ですが、平成10年につくった今の長期構想が今の港湾空間や政策にどれほど影響しているのかを考えてみると、どうもこの長期構想の存在意義を素直に認めることには違和感があります。
民間企業が多く立地しているエリアである以上、長期構想に沿った形で、市の思い通りになることばかりではありません。
と、長期構想そのものに対する思いもあるのですが、今回はもうひとつの視点をご紹介させていただきたいと思います。
それは「計画をつくりすぎなのではないか?」ということです。
実はこの問題は川崎市だけの問題ではなく、これまでも何度かメディアで紹介されてきました。
川崎市は2018年3月に「臨海部ビジョン」というものをつくっています。
臨海部ビジョンについては、「30年後を見据えた臨海部の目指す将来像やその実現に向けた戦略、取組の方向性を示すこと」が目標とされています。
長期構想と臨海部ビジョンは時間軸はほとんど同じなのです。
これについて市は、「長期構想は港湾機能全般について取組の方向性を取りまとめたもの、臨海部ビジョンは産業都市づくりの中心的な地域として発展するための将来像を示すためのもの。」と答弁をしています。
しかし今回報告を受けた「長期構想」はほとんどが臨海部ビジョンで示されていた内容で、新たな要素はそれほどありませんでした。
それもそのはずで、臨海部ビジョンは産業に特化したものとされつつも、親水空間の活用や災害時の機能など幅広に触れられています。
長期構想と臨海部ビジョン、どちらも必要なのか。どちらかにまとめることはできなかったのか。
今のところ判断しきれませんが、長期構想をつくるにあたっていわゆるコンサルティング事業者の業務委託にかけた費用はすでに約4000万円です。
業務委託以外にも、市職員が直接従事した時間分の人件費などを考えるとさらにコストは膨らみます。
長期構想を作ること自体にそれほどお金をかけるのであれば、臨海部ビジョンの達成に向けてそのお金をかけた方が良かったのではないかという議論もあります。
今はどうかわかりませんが、昔、受験生だったころ「いろんな問題集を買うよりも、ひとつの問題集を繰り返し解いたほうがいい」という話を耳にした記憶があります。
なんとなくそれに近いことが言えるような気がします。計画をつくること、振り返ることばかりに資源を投入しすぎて、計画実行の支障になっては元も子もありません。委員会でもその点を指摘しました。
長期構想はまだつくっている途中ですので、どんなものが出来上がってくるのか、注目していきたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。