35歳からのアメリカ行政学・公共経営PhD挑戦

ノンキャリ国家公務員を辞め、アメリカ行政学・公共経営のPhDに挑戦するオッサンのブログ(毎週1回更新...たぶん)

4年半ありがとうございましたm(_ _)m

2017-11-10 07:52:21 | エピローグ
このブログを書き始めたのは2013年6月、ラトガース大学でPhD2年目を迎えたときでした(初回記事)。当時の「日本の行政学を国際レベルに引き上げる」という意識は、今も変わっていません。ただ、ブログを始めたもう少し正直なきっかけは...寂しかった。シラキュースでも、ウガンダでも、日本人1人という状況は経験していませんでしたから。また、アレンとザビエルが来るまで(参考記事1)、気軽に話せる仲間もいませんでした。

そんな個人的な理由で始めたブログが、人気ブログとは言えないものの、こんなに多くの方に読まれることになるとは思ってもいませんでした。何度かブログを辞めたくなり、投げやりにブログ記事を書いていたこともあったのですが、読者の皆様は本ブログを見捨てることなく、暖かく見守ってくださいましたm(_ _)m 結果として、人生最大の試練となった就職活動の際、読者様から暖かいお言葉や叱咤激励を頂くことができ、なんとかアカデミアで生き残ることができました。就職は研究者としてのゴールではないものの、35歳から始まった挑戦が一区切りを迎えたことに疑いはなく、皆様にお伝えしたい5つのことを書き残し、本ブログ『35歳からのアメリカ行政学・公共経営PhD挑戦』を締めたいと思います:

1.目標は達成できなかった
PhD入学以来、アメリカの研究大学に就職することを目標にしてきました(参考記事2)。仕事のオファーがない中、自分の主要論文が日本の事例を扱っていたこともあり、日本へと就職活動の幅を拡げていきました(参考記事3)。自分は都合の良い人間なので、そのうち「本当はアメリカで就職できたのですが、日本のために帰ってまいりました(`・ω・´)ゞビシッ」とか言い出しかねないので、そんな自分を見かけたら「アメリカで就職できず帰ってきたでしょう...(-д-)」と周囲に気付かれぬようツッコんでください(笑)アメリカ行政大学院に就職したいなら、アメリカの事例を研究するのが一番の近道です。

2.アメリカだから勝負できた
日本には海外留学用奨学金や若手向け研究助成金がいくつかありますが、自分はいずれも受け取ることができませんでした(参考記事4)。助成金を申請した自分の研究がトップジャーナルに掲載されたことを鑑みると、奨学金や助成金を得た他の日本人PhD学生にあって自分になかったものは、日本の有名大学(学部)出身という「学歴」です。また、有名国立大学等で行政学のポジションが公募されず、内部のコネクションで決まっていく現状では、アメリカ留学を経ず日本で優れた研究環境を得ることは不可能でした。一方で、ラトガース大学行政大学院PhD DirectorだったNorma M. Riccucciは、自分の志望動機書と研究計画を読み、GREスコアが高い他の志願者を差し置いて、自分に奨学金付き入学オファーをくれました。指導教授のFrank J. Thompsonは、ピッツバーグ大学やソウル国立大学出身者ではなく、自分を弟子に選んでくれました。この2人のラトガース大学教授は、アメリカ行政学会最高の栄誉「ドワイト・ワルドー賞」を受賞しています。実力もないのに、出会いだけは恵まれています(゚ー゚; アメリカの就職に固執したのは、2人に喜んでもらいたい...それだけだったのかもしれません。

3.就職はゴールではない
多かれ少なかれ、PhD学生は有名大学に就職することを夢見ます。一方で、競争率100倍を超える大学教員の採否には、大学のニーズや選考を担当する教員との相性など、積み重ねた研究業績以外の様々な要因が影響します。実績=就職でない現実を理解しているつもりでも、面接の不合格が続くと、自分の努力が否定されたようで精神・身体に支障をきたします。自分は就職活動が1年を超えた頃から、額の皮がボロボロと剥がれ落ちる症状が出始め...内々定後すぐに完治しました(^。^;) 就職後勝手にゴールインして、研究をしなくなる教授は論外として、就職は研究者としての長い道程の出発点に過ぎません。研究者として終わりのない旅をする覚悟があるのなら、新しい環境を選ぶ機会もやって来るでしょうから、早めに就職活動に見切りをつけ、安定した生活基盤を手に入れることも、長期的に有効な戦略だと強く感じています。

4.失敗を笑い飛ばす
本ブログの中心テーマです。才能がない中年オヤジが夢へ挑戦するために所持していた唯一の武器は、「あきらめない」ことでした。5度に亘るPhD受験、初論文に対する4度の審査不合格、そして10度以上の就職面接失敗...こうして振り返ると壮観でさえあります( ̄ー ̄) 全力で失敗しているので、その度ごとに辛いです(〒-〒) ただ、失敗を繰り返すうちに、そこから早く立ち直る方法が身についていきました。大声で泣いてみたり、大音量で好きな曲を聞いたり、好きな食べ物を爆食して、とにかく早く忘れる!我慢は禁物d(-д☆) ただ、親しい人に愚痴るぐらいはいいですが、決して「辞めたい」とか「死にたい」とか口に出してはいけません...ネガティブが周囲の人に伝染するほか、自分の行動にまで影響を及ぼし始めます(参考記事5)。自分はまだ夢に向かう旅の途中、たとえ大幅な遠回りをすることになろうとも、厳しい旅路を鼻歌交じりに進んでいきたいと思います!

最後に、4年半もの長い間ブログを続けてこれたのは、こんな駄ブログを楽しみにしてくださる稀有な読者様がいると、訪問者数やコメントを通じて実感してこれたからです。

ありがとうございました、ありがとうございましたm(_ _)m

名残惜しいのですが(┬_┬)

暫しの間、さようなら、さようなら...

最後の最後に、人生を笑いで彩ることの大切さを知る読者の皆様にお知らせです...

2018年4月より、新ブログ『国際派行政学者の挑戦』始まるよ(ノ≧ڡ≦)てへぺろ♥

最後の就職速報

2017-11-02 13:40:28 | 就職活動
今週初めに「ある大学」から内々定を頂き、そちらを受諾させて頂きましたm(_ _)m 35歳から始まった才能ないお調子者の挑戦は、完全な成功とは言えないまでも、これで1つの区切りを迎えたと言えそうです...「ある大学」ってどこだよ(#゚Д゚) という読者様の声が聞こえてきそうですが、スイマセン。言えません(T-T) 大学名を公表し、読者の皆様に渾身のドヤ顔をしたいのは自分なんです(TДT) 何卒、ご理解のほどよろしくお願い申し上げますm(_ _||)m

この「ある大学」では、選考委員会が採用候補者から内々定の受諾を得た後、大学の人事委員会、教授会、運営委員会、理事会の4つの異なる内部組織から本件正式採用に係る承認を得る必要があり、4月1日勤務開始直前の3月末まで理事会承認がずれ込む可能性もあるとのこと...選考委員の先生からはそれまで採用を内々に扱うようにとのお達しを頂いております(=。=|||) この複雑な正式契約までの道のりを知り、何も決まってないやんΣ(゚Д゚;)とツッコんだところ、一応既定路線で問題ないはずとの説明がありました。

これまで4年半、アメリカという地の利を活かし、ブログで好き放題書いてきましたが、日本の組織に所属するとなると、そうもいかなくなりそうです(・_・;) そんなこともあって...というより以前から決めていたことなんですが、来週ブログをご愛読頂いている皆様に、大切なお知らせがあります。特に、自分が一介のPhD学生に過ぎなかった頃からこの駄ブログをご愛読頂いている読者様には、逆立ちして頭をこすりつけても余りある感謝の思いがあり、来週のブログ記事には是非目を通して頂きたく存じますm(._.)m なんかスッキリしない内容で恐縮ですが、今週はここまで(^ ^; 来週必ずお会いしましょう!

戻ってこい by ラトガース

2017-10-27 09:25:49 | 就職活動
今週までに、予定されていた日本の大学における就職面接を全て終えましたm(_ _)m 大学の異なるニーズに沿って面接準備をするのは時間もかかりますし、精神的なプレッシャーもありました。面接先では、予期していなかった質問や教員の反応などもあり、うまくできなかった部分もありますが、終わったことを悔いても仕方ないので、心静かに天命を待とうと思います(=_=)

そんな少しホッとしたところで、面接準備期間中に禁止していたアンジュルムの動画を見ながら1人で「はい!はい!」「あやちょー↑」と叫んでいたら(参考記事1)、母校であるラトガース大学行政大学院の事務方代表(Associate Dean)から1通のメールが...

「今ラトガースでは、以下の科目を教えられる任期付き教員(Non-tenure track research professor)を探しています。ほとんどあなたが教えたことのある科目です。今後の選考過程について不安があれば、進捗状況をこまめに報告します。勤務条件やビザ申請についても、できるだけあなたの要望に沿うよう努力します。興味があれば、11月の初旬までに返事をください。」

いまさら(-_-;)...というのがメールを読んだ直後の感想でした。ただ、ほんの少し時間を置いてみると、やはり現代行政学発祥の地アメリカのレベルの高さとより競争的で公平な研究環境に惹かれてしまう自分がいることに気づきました。4か月前なら、間違いなくこの話に飛びついていたと思います。師匠は自分が帰国する前に、このようなポジションを渡そうとしていました (参考記事2)。もちろん、トップジャーナル掲載という事務方にも分かりやすい結果が、このようなメールを書かせたのは疑いありません (参考記事3)。当時論文掲載は間違いないから、弟子を常勤で雇ってほしいと事務方にお願いしていた師匠からしても「いまさら(`ヘ´#)」という感じで、好きにしろとのこと。

行政学の常勤ポストが公示なく決められていく慣習がありながら、面接機会を提供してくださった母国の大学のことを考えると、軽々しくアメリカの就職の話を進めることはできません。また、近隣の中国・韓国の大学と比べて、著しく研究が軽視されている日本の大学の現状を見てしまうと、求められてもいないのに、志ある若手のために自分ができることがありそうで、後ろ髪を引かれます(先週記事)。頭を抱えて悩んでいると...「カックゴして!カクゴして!カクゴして!ラーブ!!」と天使(アンジュルムともいう)の歌声が聞こえてきて、深夜のうちに家族とも相談せずお断りメールを送り、しばらく母国で頑張る覚悟を決めてしまったのでした( ̄▽ ̄ι)

若手の研究環境が酷すぎる件

2017-10-21 10:37:56 | Post-PhD生活 -就職浪人-
 最近勉強会や研究会を通じて (参考記事1)、日本の若手行政研究者との交流が続いています。当面自分が就職の競争相手ではないこともあり(参考記事2)、概ね歓迎して頂いています(笑)特に国立大学系で行政学のポジションが公募されるのは稀とのことで、そんな現状を悲観するよりは、逆に利害対立なく若手研究者と交流できる機会とポジティブに捉え始めました(^ ^;

 一方で、日本特有の市場原理で仕事を探す有名国立・私立大学博士号取得者が恵まれているかというと...決してそんなことはありません(=。=|||) 特に若手の研究環境は、アメリカの大学に在籍していた自分から見るとショッキングなほどに酷なものです:

1.研究軽視の買い手市場
 大学の財源が減り学生人口が減る中、大学のポジションは自然と減っていきます。買い手市場であるため、大学側に都合の良い非常勤・任期付き使い捨てポジションが増えています。ここまでは、欧米の大学と変わりません。日本では、大学のニーズである手厚い就職サポートや面倒くさい事務も喜んでこなす人材が求められ、研究を志す若手のやる気を削ぎ続けています。大学のポジションが減り競争が激化する一方で、常勤の仕事を得た若手により恵まれた研究環境が与えられている欧米の現状と逆行しています。

2.実績評価の不透明性
 大学のニーズとして事務負担が増加する一方で、実績主義という世界の大学の潮流もあり、以前に増して若手は業績も求められています。ところが、日本語の研究業績を測る明確な基準がありません。英語の研究業績は、査読付きの学術誌(peer-reviewed journal)に論文を出版することが第一です。さらに、学術誌にはトムソン・ロイターが管理する引用数に基づくランキングもあり、日本に比べると実績評価の基準はかなり明確です。日本では、本を出版することが業績として重要視されているため、自費出版する若手もいるそうです。一方で、審査のない本の出版を第一の業績とすることに疑問もあり、世界の潮流から日本語でも査読付き論文を重要視する声も出始めています。他方で、大学が伝統的に出版を重ねてきた査読のない大学の紀要という雑誌に論文を掲載することも、若手は求められています。結果として、実績評価は恣意的にもなり、コネや血縁が就職に大きな影響を及ぼします。コネのない実力ある若手研究者は、30台を過ぎても大学初任給にも満たない給料で、必死に研究し続けるほかありません。

3.重い授業負担
 運よく常勤の仕事を大学で得たとしても、特殊な大学院大学や旧帝大を除けば、教員の授業負担はアメリカの倍近いです。有名私立大学でも1学期6コマが標準のようですが、アメリカでは中堅以下でも4コマ以上を教えることはなく、研究大学であれば2コマです(参考記事3)。日本の1コマが2時間(アメリカは3時間)であることと、6コマの中にゼミのような特殊な授業形態が含まれることを鑑みても、欧米の大学に比べ授業負担が重いのは明らかです。そんな授業負担を抱え、任期なしの教授として有名私立大学に在籍するシニアの中には、早々に研究をしなくなった方々がいます。買い手市場で評価される側の若手は声を出せずにいるものの、そのようなシニアへの不満感は募る一方です。もちろん、重い授業負担を抱えながら、長年研究を続けておられるシニアの先生方もいらっしゃり、日本の学術レベルはそのような先生方の良心と情熱によって支えられているとも言えます(`・ω・́)ゝ敬礼

 以上、行政学の若手研究者から伺った話を要約したものですが、親戚のような政治学や社会学・心理学など他の社会科学分野にも同じようなことが言えそうです。現状では、文科省が掲げる日本の大学の世界ランキングの全体的な底上げなど、実現できるはずもありません。アメリカ式の研究体制を早々に整えた中国・韓国の大学の後塵を拝する時代は、暫く続くかもしれません。自分も就職が決まっていないような状況で、他人を気遣う余裕もありませんが、逆転の芽を摘まないよう、日々研究に挑み行政学の前進を標榜する若手と一緒に切磋琢磨し、励ましあっていきたいと思います。

初頭効果

2017-10-13 08:06:16 | Post-PhD生活 -就職浪人-
 ある用事で長い距離を移動し(参考記事)、帰路につく新幹線の中で、やばい心理学と謳った恋愛攻略本のようなものを読みました(^ ^; 就職を決めて婚活するのが当面の目標で、駅構内の書店でつい手が伸びてしまいました。剣道に明け暮れた高校時代はホットドッグ・プレスなんていう雑誌を部活仲間で回し読みし、彼女もいないのにデートの方法だけは詳しくなったことを思い出しました。

 「好かれるためには、自分から好意を表す」とか、「恋愛対象が失恋したときに慰める」とか、「デート時に相手のしぐさを真似て親近感を増す」など20年前の恋愛マニュアル本と代わり映えしない内容を読み進めると...「初頭効果」という聞きなれない単語が( ̄口 ̄;)

初頭効果:人は出会った6秒の間に、相手のイメージを決定する。

 えっ...100ページ以上どうでもいい恋愛テクニックを並べた挙句、結局「外見」( ̄∀ ̄メ) 本を投げ捨てようという衝動に駆られましたが、その日ある大学キャンパスのカフェで聞いた男女学生の会話を思い出しました:

女子学生:それで誰紹介してくれるの?

男子学生:すげー頭もいいし、いい奴だよ。顔も要望通り、ジャニーズ系d(- -)

女子学生:へー、それでその人背高いの?
※ブログ主の身長は160センチ台。

男子学生:いやー、そんなに(^ ^; じゃぁ、〇〇は?背高いし、スポーツマンだよ。

女子学生:顔濃すぎる人嫌やわ!
※ブログ主の昔のあだ名は「タイ」。

 人が緊張して色々準備している最中に、ピンポイントで劣等感を刺激してくるのは誰だ(#゚Д゚)ゴルァ...と振り返った瞬間、参りましたm(_ _)m お父さんとお母さんに感謝してねd(- -) 世の中不公平だけど、毎日頑張っていれば、きっと王子様が私を見つけてくれるはず(T^T) 自信を喪失した最悪の状態で、面接会場に向かったのでした。