「K・I・R・O・K・U・S・H・I・R・O(記録しろっっ・・・・!)」制作裏話 | 弁護士明石順平の小話

弁護士明石順平の小話

弁護士法人鳳法律事務所に勤務する弁護士明石順平が小話を綴っていきます。

私の所属するブラック企業被害対策弁護団において,また新しく動画を作りました。

 

 

これは,労働時間の記録を呼びかける動画です。

残業代請求や労災申請などをする際に最大の壁となるのが「証拠が無い」という状況です。

いわゆるブラック企業は労働時間の証拠を残さないようにすることが多いので,労働者の手元に労働時間の証拠が無く,泣き寝入りを強いられることが多々あります。

そういったことが無くなるよう,この動画を作りました。

 

「だからってここまでしなくても」と思ったかもしれません。

しかし,ただ単に「労働時間を記録しましょう」と呼びかけても広まりません。

そこで,思いっきりインパクトのある動画を作ることにしたのです。

決して,普段からウサギの格好をすることが趣味なわけではありません。

 

え?でもなんでウサギなのって?

そこにウサギの耳があったからです。

 

「そこに山があったから」的なノリでちょっと意味不明なことを言いましたが,以前ブラック企業被害対策弁護団で「ブラックバイトを,辞めます」というコンテンツを作った際にウサギの耳を買ったのですよ。

 

http://black-taisaku-bengodan.jp/black-baito-yamemasu/jyuku/

 

 

その時はこんな感じで使ったんですけどね。スキンヘッドのかつらの上にウサギの耳。

ちなみに,このスキンヘッドのかつらを取ると中身もスキンヘッドなんですよ。

 

マトリョーシカみたい。

このためだけに私はクリスマスの夜にスキンヘッドにして,頭が寒くて風邪を引きました。

 

話がそれて頭を剃った話をしてしまいましたが,この時のウサギの耳があったのでそれを活用しようと思ったわけです。

 

ただ,こういう動画を作ろうと最初に話が出たときは,ピコ太郎的な動画にしようという話でした。

二番煎じです。

ちょっとそれは難しいということで,じゃあ「キューピー3分間クッキング」的な動画を作ろうという話になったのです。

 

そして,この動画ができました。

 

 

え?間に飛躍が有りすぎって?キューピー跡形もねえよって?

言われてみればそうですね。でも,二本足で立ってるところはキューピーと共通点があると思いますよ。

 

まず,リズム芸的なノリで歌を作り,それに合わせて踊りを踊るというものがおぼろげに思い浮かびました。

 

歌の録音は以前もお世話になった渋谷の映音空間さんで。

http://www.eion-kukan.co.jp/

 

以前,というのは,この「ブラック法案によろしく」を作ったときのことです。

 

これは私が1人20役ぐらいやって全部声を入れているのですが,その際に担当していただいたKさんにまた担当してもらいました。

 

最初に歌を適当に歌い,Kさんがそれに合わせて最適なピッチを選びます。

ピッチというのは・・・歌のテンポと言えばいいですかね。

 

次に,Kさんが選んだピッチに合わせて私がボイスパーカッション的な何かを録音していきます。

最初は単に「ズンズンチャッ」と発声したものを入れてみました。

次に「ブンブンパッ」というボイスパーカッションっぽいものを入れました。

 

「ブンブンパッ」だけだとそれっぽくなるのですが,「何かかっこつけて気取ってる感じがしますね」とKさんに指摘され,私もそう思いました。

そこで,2つを重ねてみたら,何か良い感じになったのでそれを採用しました。

つまり,歌の背後に流れているのは,私が「ズンズンチャッ」と言っているものと,「ブンブンパッ」と言っているものを重ねた音です。

 

イヤホンで聴くと人の声であることが分かるはずです。

 

そして,これに合わせて歌を入れます。

 

最後に相の手です。

「アソレ」と「アヨイショ」は世界初の日本語ラップを歌ったIKZOこと吉幾三の,「おら東京さいぐだ」からです。

最後の「ハッ」は和田アキ子の「古い日記」から。

2つとも私がカラオケでよく歌う歌です。

 

歌が出来たら最後は振付け。

これは適当です。

私はダンス経験が無いのですが,おかげでかえってオリジナリティのある振付になったかもしれません。

 

ひとつひとつの振付には深い意味が・・・・・ありません。

ちょいちょいジョジョ立ちが混じってます。

一見簡単に見えて,実はそんなに簡単ではない,という振付にしました。

やってみると分かりますよ。

 

私は肩関節が非常に硬いので,練習していて本当に肩を痛めました。

マネしようと思った人は肩の柔軟体操を念入りに行ってからマネしてください。

 

毎日踊れば痩せたり痩せなかったりすると思います。

 

ダンスの撮影は旬報法律事務所の会議室を借りました。

私の他にK弁護士の演じるバニ郎君も参加しました。

バニ郎君が巻いているスカーフは衣装じゃなくてK弁護士の私服です。

当日たまたま彼が巻いていたスカーフを,面白いからそのまま着ちゃえということにしました。

 

2人が穿いているホットパンツは,私が穿かなくなったジーンズを切ったものです。

普段からホットパンツを穿いているわけではありません。

 

最後は編集です。

以前パワーポイントで下記のような動画を作ったことはありますが,動画編集ソフトを使った編集はやったことがありませんでした。

 

「パワーディレクター」というソフトを購入して編集したのですが,ある意味これが一番大変でした。

事務所のパソコンにインストールしたのですが,性能が低いので頻繁にフリーズしました。

40回ぐらいフリーズしたかもしれません。

フリーズの嵐にイライラしつつ,タイトルや画像,音楽を入れ込んでようやく出来上がりました。

 

 

1分にも満たない動画ですが,けっこうな労力をかけて作りました。

 

労働時間を記録するというのは命にかかわることです。

残業代を支払わない,ということが横行しているため,長時間労働に歯止めがかからず,多くの過労死,過労自死,過労うつが発生しています。

この状況を改善するためには「残業代を払わないと,後で多額の残業代を請求されて痛い目にあう」という認識を経営者にもってもらうことが必要です。

その大前提として,労働時間を記録し,証拠を残すことが求められるのです。

 

「労働時間は労働者自身が記録するもの」ということが常識になれば,違法な長時間労働も減少していくでしょう。経営者が労働時間をごまかすことができなくなるからです。

 

是非拡散してください。