スラムダンクがジャンプで連載が始まったとき僕は小学4年生でした。連載開始の第1話からジャンプで毎週買って読んでいて、単行本も最新刊が出るたびに全部買っていました。中学生になるとスラムダンクの影響でバスケ部に入部しました。この時代スラムダンクの影響でバスケ部に入部する人はかなり多かったと思います。僕は三井寿に憧れて3ポイントシュートを練習したけど補欠でした。中1から高3まで6年間バスケ部を続けたけど6年間補欠でした。3ポイントシュートだけは得意だったけど補欠でした。そして、僕が高校2年生になった頃、スラムダンクの連載は唐突に終わった。たしかおなじくらいの時期にドラゴンボールも終わって、僕はジャンプを買わなくなった。僕にとってスラムダンクは青春でした。
ちなみに、アニメ版ですが、第1話のテレビ放送を当時すごくワクワクしながら見たのをいまだに覚えています。しかし、オープニングのバスケットのプレイ描写はすごくかっこいいのに、本編になると人の動きがギクシャクとモッサリした動きで、到底バスケットのプレイヤーの動きとはかけ離れたアニメーションにガッカリして、数話くらいしか見なかったです。
僕はスラムダンクのアニメ版に関しては全くの思い入れが無いんですよね。
それよりも、原作の漫画の画力が全てでした。漫画ではこんなにも生き生きと躍動しているのに。なぜアニメはあんなにロボットみたいな動きなんだろう。当時90年代のアニメの技術が低かったからなのだろうか。スラムダンクのアニメこそリメイクするべきだ!とスラムダンクのアニメリメイクをずっと切望していたのでした。
なので、今回の映画化の情報を知ったときは興奮しました。しかも、脚本・監督が原作者の井上雄彦というのだから期待しました。僕が真っ先に頭に浮かんだのは、資生堂のCMでした。
井上雄彦が描き下ろしたペーパーアニメが話題になったCMでした。たしかこのCM、広告の賞を獲ったんでしたよね。
僕らがスラムダンクのアニメに期待しているのは、この躍動感です。
井上雄彦が関わってくれるなら、すごい作品にしてくれるだろう。楽しみで仕方なかった。
しかし、映画の予告編が公開されて急に雲行きが怪しくなった。
えっなにこのCG…
この令和の時代にプレステ2みたいなクオリティのCG映像が出てきて困惑したのです。
このトレーラーを見て急に心配になってしまった。なんかすごく嫌な予感がする。僕の期待値が大きすぎるのか?ただでさえすでにハードルがあがりきっている作品の映像化ですからね。
案の定、世間の評判は賛否両論になった。
それと、主題歌が当時のアニメの主題歌ではなくBirthdayと10-FEETが起用されたことや、声優陣が新しい若い声優に総入れ替えしたことも賛否両論になっていたようだ。(アニメ版に思い入れがなかった僕にはそこはどうでも良かったけど)
まあ、みんな散々色々文句言っているけど、絶対に観に行くんですけどね。
だって、ずっと楽しみにしていたんだもん。
で、念願のスラムダンクの映画がどうだったのかと、前振りが長くなりましたけど、
結果、
めっちゃ面白かった。
なんならちょっと泣いた。
やっぱ井上雄彦は天才ですね。
結果や内容を知っていてもやっぱ山王戦はハラハラした。
あの山王戦が、実際の試合を見ているかのような映像になっていた。
普通、漫画って、心の声や、説明台詞でストーリーの状況を説明するじゃないですが、それがほとんどなかったんです。
だから、試合がリアルタイムでどんどん進行していくので、「いまのあのシーンはもっと葛藤とか駆け引きがあるのに!」とか「名シーンの名台詞が一瞬で流された」とか、ヤキモキがあるんですけど、いや、これは正しい決断だったかも。
きっと、映画化するには、映画サイズに尺を収めないといけないので、まず、ストーリーを相当削ってまとめる必要がありますよね。実際かなり削られていました。今回山王戦がメインの話なんだけど、前半戦は半分以上ごっそりカット。きっと断腸の思いで削ったんでしょう。そして、説明セリフもほとんどカット。観客はほぼ喋らない。あくまで試合の躍動感のみにフォーカスした造りに割り切ったんでしょう。
それはクライマックスのラスト1分を見てすべて納得しました。
このクライマックスのラスト1分を見るための映画です。あの躍動感を伝えるための構成になっていたのかと僕は解釈しました。
あの息を飲むラスト1分は、スラムダンクの真骨頂だったとあらためて実感したわけです。
原作を既読の原作ファンは、内容を知っているので脳内で補完して見ているので、セリフも全て脳内再生するし問題は無いけど、原作を読んだことが無い初見の人がこの映画を見たらどう思うんだろうってのは気になりました。
だけど、逆にこの構成のほうがすんなり入り易いかもしれないですね。あえて宮城にフォーカスすることでストーリーの感情移入する対象をしぼって、初見にも分かる内容にしたということですね。
本当はもっと泣けるエピソードがあるのに!ってやきもきしましたけどね。
しかし、手放しでは絶賛できません。
やっぱり不満もありました。
やっぱり、あんなに宮城にフォーカスすることで、犠牲も多かった。
今回の映画では、原作にはないオリジナル要素が追加されてました。
宮城リョータの過去のエピソードが追加されていたのです。そのオリジナル要素は良かったんです!すごくいい話だったし!むしろ嬉しい!
しかし、宮城フォーカスのために犠牲になった要素がたくさんあったんです。
僕は山王戦にはたくさん好きなシーンがあるんですけど、これだけは言いたい
なぜ「大好きです。今度は嘘じゃないっす」をカットした?
ここ、この漫画で一番大事なシーンじゃなかった?
いや、まだあるぞ、
桜木がルーズボールを追って客席に突っ込むシーンで、晴子さんの「初心者だけど、いつかバスケ部の救世主になる人かもしれないよ。桜木くんっていうの」もなぜカットしたんだ?
僕は、この晴子さんの救世主のくだりが、一番好きなシーンなんです。というか、晴子さんがモブキャラ並みの空気だった。
あと、赤木が山王戦に対する想いのエピソードもカットされてるので、赤木もわりと空気だった。山王戦は赤木が一番人間味があり赤木が一番エモいはずなんですが。
あと、山王の沢北がなぜ天才的なエースなのかのエピソードも無いので、沢北の凄さが半減だし、流川がなぜ日本一のプレイヤーを目指しているかのエピソードもカット。
桜木と流川との「おめえのヘマは計算にいれている。ど素人が。」と「おめえが抜かれるのは計算済みってことだ。」のくだりもカット。なので水戸洋平の「あいつはバスケット選手になっちまったのさ」の名台詞も当然カット。
つまり、今回は宮城にフォーカスしたので、その辺は全部端折ったわけです。全部入れようとすると収集がつかないからね。たぶん、ワンクールのボリュームは必要ですね。相当な決断ですよこれは。是非、アニメ版リメイク完全版をNetflixかなんかでやってもらいたいですね。
あと、どうでもいいことなんですけど、
三井が「静かにしろい。この音が何度でも蘇らせてくれる」ってスリーポイント決めるシーンで、無音になって固唾を飲んでゴールネットの音を待っている超大事な名シーンのときに、右側に座っていた5歳くらいの女の子が「ねえ見て!鼻くそ!」って自分の鼻くそを自慢している声(どんな状況なのかわかんない)が遠くのほうから聞こえてきて、まじで「お前はもう帰れ」って思いました。
気になっていたCGは、流れで観るとそこまで気にならなかったです。観客席とか背景がハリボテだったのは勿体無いけど。
そして、
散々賛否両論だった、声優問題は、僕は全く気になりませんでした。むしろ良い。全然合ってる。まったく問題なし。
それと、
賛否両論だった、主題歌問題も、全く問題ないどころか、カッコ良すぎでした。とくにオープニングのBirthdayは本当にカッコよかった。オープニングがカッコ良すぎてなぜかちょっと泣いた。なぜだかわからないけど涙が出てきたんです。
というか、本編、結構泣いてました。
やっぱりね、スラムダンクめっちゃ好きなんだなって改めて思いました。
なんだかんだ、今回の映画すごく面白かったです。
最高でした。ありがとうございました。
そして最後に井上先生、
バガボンドの続き早く描いてください。