褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ミッドナイト・エクスプレス(1978) トルコを舞台にした脱出劇

2025年02月12日 | 映画(ま行)
 人間の尊厳を感じさせる映画が今回紹介するミッドナイト・エクスプレス。タイトル名を日本語に直訳すると『深夜特急』ぐらいの意味になるが、暗喩として『脱獄』の意味が含まれる。もちろん本作の内容は列車に乗って旅行するストーリーのはずがなく、脱獄をテーマにした映画。
 ちなみに本作は実話を基に今や映画監督として巨匠にまで登りつめたオリバー・ストーンが脚本を担当。パワフルでバイオレンスなタッチは彼による貢献度が大きい。そして非常に見所が満載で印象的なシーンが多い映画になっている。

 アメリカ人が異国の地で絶望感に叩き落とされるストーリーの紹介を。
 1970年、アメリカが中東諸国との関係を悪化させていた頃。アメリカ人のビリー(ブラッド・デイヴィス)はトルコのイスタンブール空港でハシシ(麻薬)を密輸しようとした罪で当局に逮捕される。ビリーは刑務所に送られるが、そこには極悪な看守ハミドゥ(ポール・L・スミス)による暴力が支配していた。
 アメリカの領事館の介添えもあり裁判に持ち込むのだが、相手側の検事の追及は厳しく刑期4年が言い渡される。模範囚としてひたすら辛い日々を耐えて3年余り経った頃、寝耳に水の如く再度裁判が行われる。そこで彼は30年の刑期を言い渡されてしまう。トルコをめぐる国際情勢の悪化のために、世界への見せしめの犠牲にビリーはなってしまったのだ。そして、このままではトルコの刑務所で死を迎えることを悟ってしまったビリーは深夜特急に乗ること、すなわち脱獄することを決意するのだが・・・

 どこまでオリバー・ストーンが脚色したのかわからないが、ビリーがトルコ当局に逮捕されてハミドゥにこん棒で殴られるシーンは痛すぎる。罪を背負うのは当然だが、流石にこれが事実ならやり過ぎ。刑務所を舞台にした映画の殆どにロクでもない看守が登場するが本作もその例に漏れない。
 しかし、ビリーはアメリカへ帰りたい一心で耐え続ける。刑務所内でアメリカ人の友達もできて、脱獄をそそのかされるのだが彼は模範囚としての道を選ぶ。それなのに再びトルコのメンツのために利用されて、更に刑期30年を言い渡されるショックと絶望感は言葉で言い表すことができない。人間の尊厳を貶める国際政治の駆け引きには本当に腹が立つ。我が日本も拉致されたままになっている人々が居ることを思えば他人事で済まされないテーマが本作から感じられる。
 そして印象的なシーンの数々。ビリーが密告屋に対する報復の壮絶なシーン、生々しい恋人との面会シーンなど生半可な気持ちで見ることができない場面も出てくる。異国で刑務所に繋がれることの不安を感じさせるし、スリルも感じさせる。重苦しい雰囲気が漂うが最後には爽快感が味わえる、ということで今回はミッドナイト・エクスプレスをお勧めに挙げておこう

 監督はアラン・パーカー。子供たちばかりが出演しているダウンタウン物語、ベトナム戦争の傷の深さを描いたバーディ、オカルトホラー映画の傑作エンゼル・ハート、人種差別をテーマをサスペンスフルに描いたミシシッピー・バーニング、死刑制度の是非をユニークなタッチで描いたライフ・オブ・デビッド・ゲイル等お勧め多数の名監督です。

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映画 驟雨(1956) リアルな夫婦生活を描く

2025年02月08日 | 映画(さ行)
 生涯独身の俺にはわからないのだが、おおよそ夫婦の倦怠期というのは結婚して何年目ぐらいから入るのだろう。倦怠期なんか訪れず末永く夫婦ラブラブなんて人も少なからず居るのだろうか?そんなことを、ふと考えさせられた映画が今回紹介する驟雨。ちなみに読み方は『しゅうう』と呼び、意味は『急にどっと降りだして、しばらくするとやんでしまう雨のこと』(goo辞書より)。
 本作の佐野周二原節子が演じる夫婦が突然言い合いを始めたり、また元通りになったりする様子の例えとして驟雨がタイトル名になっている。よく夫婦をテーマにした映画に、夫婦の絆を描いた作品を見受けられるが、本作から夫婦の固い絆を感じることはできない。なんせ冒頭から退屈そうに夫婦そろって欠伸をするシーンから始まるのだ。

 これがごく普通の夫婦関係だと感じさせるストーリーの紹介を。
 結婚して4年目になる並木 亮太郎(佐野周二)と文子(原節子)夫妻だが、子供もおらず日常の会話も特にはずむこともない。日曜日の朝から、くだらないことで言い合いを始めた2人だが、ばつが悪くなった遼太郎は家を出てしまう。そして夕方になると新婚旅行に行っていたはずの姪っ子のあや子(香川京子)が家へやってくる。
 文子はあや子の旦那に対する愚痴を聞いてあげている時に、亮太郎が帰ってくるのだが彼は何かとあや子の旦那の肩を持つ発言をしてしまい・・・

 昭和30年代の東京を舞台にしており、この時代の資料的な要素も本作から見てとれる。駅の様子、商店街、そして会社勤めのストレス、女性の社会進出に対する抵抗感など興味を惹きつけられる。そんな時代背景よりも、笑わせるのが何気ないことを発端としての夫婦喧嘩が繰り広げられること。現在なら夫婦間によるDVなんかが問題になるが、この時代の夫婦喧嘩の長閑さを感じさせるし、笑わせる。
 また、亮太郎が昔風の日本の夫像を感じさせるように、家庭のことにはまるで無関心で妻に丸投げ。亮太郎はどうやら胃潰瘍らしく薬を服用しているのだが、その薬も自分で取ればいいのに、偉そうに妻に指図して薬を取らせる始末。しかし、このぐうたらさも笑わせる。まあ、男って偉そうにしていても所詮はこんなもんだということが本作を観ればよく理解できる。
 度々描かれる夫婦喧嘩は笑わせるし、難しい近所付き合いもユーモアをもって描かれている。そして夫婦って良いよねと思わせるラストシーンが逸品だ。ちょっとばかしコメディが入っているかのような驟雨を今回はお勧めに挙げておこう

 監督は日本が誇る名匠成瀬巳喜男。本作とよく似ているタッチのめし、そして女の執念を感じさせる浮雲がお勧め

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映画 スリ(1959) 渋い犯罪映画

2025年02月06日 | 映画(さ行)
フランス映画界の巨匠ロベール・ブレッソンの作品と聞いても個人的に心に響かなかったのだが、前々から気になっていた映画が今回紹介するスリ。本作でスリの仕方を学ぼうと思って観るのは間違い。むしろスリの快感に溺れていく主人公の心理描写に個人的には惹きつけられた。

 早速だが犯罪から抜け出せない若者のストーリーの紹介を。
 ミシェル(マルタン・ラサール)は、競馬場で婦人からスリをして成功したかと思いきや1分後には逮捕されてしまう。しかし、証拠不十分で釈放される。だが今度は地下鉄でスリの現場をみてしまい、それを切っ掛けにスリをしまくる。そんな彼に警察やスリのプロも近づいてくるのだが・・・

 スリのシーンだが、その手際の良さに惚れ惚れする。スリの練習のシーンなんかも描かれており、思わず参考にしたくなる人もいるはずだ。しかし、そんなことよりもミシェルの犯罪をすることに対して、特に後ろめたさを感じない適当すぎる考え方に思わず納得してしまいそうになったり、病に苦しんでいる母親に会おうともせず信念に従ってせっせとスリを繰り返す強情さ、それでいて人情に脆い面を見せたりする精神面に興味が惹かれる。あのドストエフスキーの名作『罪と罰』にかなり影響を受けている様子が見てとれるので、読んでいると更に興味深く観れるだろう。
 主人公の男性は寡黙で全体的にトーンは低め。その分主人公の行動や心理をシャープに切り取っているので、全体で80分にも満たない短い作品になっているのが良い。俺と同じようにロベール・ブレッソン監督作品と聞いて心が躍らない人も多いとは思うが、彼の作品が合わないと思う人にとっても映画スリは一見の価値があるということで、今回のお勧めに挙げておこう

 監督は前述した通りロベール・ブレッソン。先日ブログにもアップしたブローニュの森の貴婦人たちはお勧め

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映画 エンド・オブ・ウォッチ(2012) リアル警察映画

2025年02月01日 | 映画(あ行)
 最近はジェイソン・ステイサム主演のアクション映画ビーキーパーの評判が良いようだが、監督のデヴィッド・エアーの傑作が今回紹介するエンド・オブ・ウォッチ。我らが大谷翔平のドジャースの本拠地で知られるロサンゼルスを舞台にしているが、その中でも重犯罪地区であるサウス・セントラルでストーリーが繰り広げられる。日本からも多くの人がドジャーススタジアムへ応援に駆け付ける人が多いと思うが、どんなに間違ってもサウス・セントラル地区に入ってはいけないと忠告しておこう。
 本作を観ればわかるが、この地域はやばい。ロサンゼルス市警の警察たちだが、日本の警察が天国に思えるぐらい、日常的に命の危険に晒されている。しかも、その犯罪がえげつないのが多いので、警察官になりたがっている人もロサンゼルス市警として働くのはだけは止めろ。

 ロサンゼルス市警の2人組が色々と危ない目に遭うストーリーの紹介を。
 ロサンゼルス市警でコンビを組んでいるテイラー(ジェイク・ギレンホール)とサヴァラ(マイケル・ペーニャ)は白人とメキシコ系として人種は違うが、固い友情で結ばれている。テイラーはいつもカメラを持ち歩いており、警察の内部や自らの捜査をしている仕事ぶりを撮っている。
 そんな2人は冗談を言い合いながらも仕事は真面目で毎日のようにおこる事件を片っ端から検挙していく優秀ぶりを見せる。しかし、彼らはメキシコ系の麻薬カルテルのアジトを検挙したことから、逆に追い詰められることになる・・・

 冒頭から撮影マニアのテイラーによるハンディカメラの映像で不審者を追いかけるシーンがあるのだが、これがドキュメンタリータッチで真実性があって迫力がある。全体に渡ってこのようなシーンがあるのが新鮮で面白く効果抜群だ。
 ちょっと不審な車を止めたら、相手がいきなり発砲してきたりで何時銃弾が飛んでくるかわからない怖さもある。そして、えげつないのが怪しい家に飛び込んだら、悲惨な姿になっている死体がゴロゴロあったり等、日本に住んでいたらあり得ないような事件のオンパレード。
 しかし、本作が巧みなのが事件ばかりを羅列するのではなく、結婚式や子供が生まれる幸せそうなシーンを入れながら、その直後に突拍子もない事件が起きるような構成になっていること。そんなシーンをみて、警察を家族にすることの不安、覚悟を感じさせる。そういう意味で本作はガチのリアル警察映画と言えるだろう。
 優秀で熱心な警察であるほど危険な目に遭わされる怖さを感じさせるし、ガチの警察の仕事を映画で味わえる。そして何よりも警察に対する愛を感じさせるのが良い。動き回るカメラワークが苦手な人は、酔いそうになる人が居るかもしれないが、個人的には非常に楽しめた。嘘くさい警察映画に白けてしまう人だけでなく、スリルを感じさせる映画として今回はエンド・オブ・ウォッチをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したデヴィッド・エアー。ブラッド・ピット主演のフューリーがお勧め

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映画 地上(ここ)より永遠に(1953) 軍隊の内部批判

2025年01月31日 | 映画(か行)
 『シン・レッド・ライン』も映画化されている小説家ジェームズ・ジョーンズによる原作の映画化作品が今回紹介する地上(ここ)より永遠に。腐敗した軍隊の内部を徹底的に批判した映画だが、今ではそのような映画は多く見られるが、本作はそのような映画の走りである。上官に逆らったために苛めや猛烈なシゴキに遭ったりで、強烈なパワハラが描かれている。しかし、本作はパワハラを描きながらも、恋愛、友情も描かれており、感傷に浸れる作品でもあるのだ。

 早速だが、ストーリーの紹介を。
 1941年、ハワイのオアフ島において。兵営にラッパ手であるプルーイット(モンゴメリー・クリフト)が転属してくる。彼はボクシングの腕を見込まれて上官のホール(フィリップ・オーバー)からボクシング部に入れと誘われる。しかし、ブルーイットにはボクシングの練習の最中に相手を失明させてしまった過去があり、頑なにホールの要請を拒否。しかし、そのことにより彼は理不尽な苛めに遭ってしまうことになる。しかし、そんなブルーイットを優しく見守るのがホールの部下でありブルーイットの上司にあたるウォーデン(バート・ランカスター)であり、唯一の友人であるイタリア系アメリカ人のマジオ(フランク・シナトラ)。そして酒場で働いていたロリーン(ドナ・リード)という恋人もできる。
 そんな安らぎも少しはあるのだが、ある日の事、友人のマジオが勤務をサボった罪で営倉に入れられ、そこで担当のジャドソン(アーネスト・ボーグナイン)から警棒で打ちのめされ死んでしまい・・・

 軍隊の内部の腐敗ぶりが凄い。ホール(フィリップ・オーバー)という上官が逆らう部下には陰湿な苛めをするし、しかも仕事をウォーデン(バート・ランカスター)に放り投げて、女遊びにうつつを抜かす。ブルーイット(モンゴメリー・クリフト)は、ボクシングをすることを拒み苛めを受けるのを、優しく見守るのがウォーデンなのだが、彼もボールの美人妻のカレン(デボラ・カー)と不倫をしている始末。それ故なのかウォーデンはホールに対して、気兼ねしているのか彼を批判することをしない。軍隊内部における出世欲に取り付かれた上官と、その犠牲になる部下たちという図式が描かれている。
 そんな陰惨なストーリー展開の中でも熱い友情のシーンがある。ブルーイットが亡き友マジオ(フランク・シナトラ)のためにラッパを吹いてやるシーン。これは胸が熱くなる。他にもカレンとロリーン(ドナ・リード)の女性達が幸せになれない様子も色々と想像させる。
 しかし、アメリカ人のやる時はやるんだ、という精神を後半で見せてくれるのには笑ってしまった、じゃなくて流石だと感じさせられた。日本軍による真珠湾攻撃が始まった時の一瞬にして団結する様子は流石はアメリカ。飛行機を一基だけ撃ち落としたぐらいで大喜びするシーンは何だか微笑ましく感じてしまった。
 本作は第二次世界大戦が終わった時期に制作されているが、時代的に朝鮮戦争の最中に制作されていたことがわかる。そのような時に、本作のような軍部を批判した映画を撮ることの難しさがあったはず。ちょっと首を捻るようなシーンもあったりするが、色々と規制がある中でこれだけの映画を撮ってしまうハリウッドの底力を感じさせる映画である。
 上司が優秀な部下を苛めるなんて世界は何も軍隊だけではなく、一般の社会にもあり、現在においても続いている。古い映画ではあるが、何かと現代社会にも通じる名作として今回は地上(ここ)より永遠にをお勧めに挙げておこう

 監督は名監督フレッド・ジンネマン。信念を持つ人間を主人公にした映画には感動作が多い。西部劇の傑作真昼の決闘、オードリー・ヘプバーン主演の尼僧物語、歴史映画わが命つきるともジュリア等お勧め多数です

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映画 ブローニュの森の貴婦人たち(1945) 女の復讐を描く

2025年01月30日 | 映画(は行)
 フランスの観光スポットであるブローニュの森だが昼間は安全らしいが、夜はいかがわしい街に変身してしまう治安の悪い場所。フランスへ観光する際は気をつけてください。まあ、夜はドコモ治安が悪いので出歩かないことに越したことはない。とりあえずは俺がアドバイスをしておこう。そんな俺のアドバイスとは関係なく前から観たいと思って観たのが今回紹介するロベール・ブレッソン監督の映画ブローニュの森の貴婦人たち。古い映画であり、内容も古さを感じさせるが、何度も原作が映画化されているピエール・ショデルロ・ド・ラクロの『危険な関係』を思い出させるような恋愛を利用して、自分を裏切った相手を滅ぼそうとするストーリーが描かれている。

 マリア・カザレス演じる女主人公の遠大な復讐を描いたストーリーを紹介しよう。
 上流階級で暮らすエレーヌ(マリア・カザレス)は恋人のジャン(ポール・ベルナール)のことを愛していたのだが、彼が少し最近は冷たくなってきたように思えていた。ある日のこと、エレーヌはジャンに冗談半分で別れ話を切りだす。すると、ジャンはあっさりと『実は俺も別れたかったんだ』と予想もしない答えが返ってきた上に彼はさっさと出ていく。すっかりプライドを傷つけられたエレーヌはジャンの人生を破滅させるために復讐を開始する・・・

 さてエレーヌはどのような復讐の方法をするのか。エレーヌは3年間会わなかったが、今ではボロボロの生活苦に陥っているアニエス(エリナ・ラブルデット)とその母に会いに行く。アニエスは生活を支えるために、見せ商売の踊り子をしており、男性相手の仕事をして生活費を稼いでいる。そこへエレーヌはつけ込み、母娘の面倒を見る代わりに自らの計略に乗せようとするのだ。何気なくジャンとアニエスを会わせるるのだが、これが大成功。すっかりジャンはアニエスに熱を上げてしまう。しかしながら、アニエスは自分の恥ずかしい経歴からなかなかジャンの気持ちに応えられないでいた。
 どんな復讐方法なのかと思いながら見ていたのだが、ジャンを報われない恋に苦しめることが目的かと途中まで思っていた。しかし、ジャンの強引なアプローチは、苦難の末にアニエスの心をゆれ動かし2人は結ばれる。これじゃ、エレーヌの復讐が失敗してるんじゃね~なんて思ったが、まだ続きがあった。最後までエレーヌの狙いに気づかない俺がアホなのか、個人的には衝撃を受けた。
 しかし、エレーヌを演じたマリア・カザレスだが面長で、切れ目なのだが、ずっと不気味な雰囲気を漂わせていた。まあ、見た目で女性を判断するわけではないが、顔付もふっくらした女性の方が俺は好みだ、なんてどうでも良いっか。
 ちなみに本作は台詞の監修を才人ジャン・コクトーが担当している。その点にも興味が惹かれたのだが、コクトーがその役割を担ったからといって、どれだけ効果があるのかは俺には理解できなかった。
 ちょっとした冗談っぽい行動が恐ろしいことを引き起こすことなんかは現実でもありそうだ。俺なんかは何でも冗談で済ましてしまうことが多いのだが、本作を観て反省させられた。そんな俺と同じく冗談好きな人、女性の罠に嵌りたくない人等に今回はブローニュの森の貴婦人たちをお勧めに挙げておこう

 監督はロベール・ブレッソン。実はこの監督はあえて題名は言わないが1本だけ観たことがあるのだが、面白くなかった。この監督のお勧めがあれば逆に教えた欲しいです

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映画 ダラス・バイヤーズクラブ(2013) エイズへの偏見

2025年01月29日 | 映画(た行)
 笑える話だが、かつてはエイズっていうのは同性愛者がなるものだと信じられていた。俺も本作が舞台となる1980年代はそのように信じていたし、海外の有名人がエイズに感染したと聞くと、この人は同性愛者だったんだと勝手に決めていた。または少し接触しただけで感染するとも思われていた。そんな偏見を描きつつ、エイズに罹ってしまった患者が余命30日と宣告されながらも生き延びるための戦いを描いた映画が今回紹介するダラス・バイヤーズクラブ。頭が固くて、癒着まみれの政治家たちが作った法律によって不幸を被っている人々がこの世の中に存在しているが、そのような人にも心が響く内容だ。

 エイズによる偏見に晒されながらも自ら運命を切り拓く男の実話のストーリー紹介を。
 1985年アメリカ南部のテキサス州ダラスにおいて。電気技師でありロデオのカウボーイであるロン(マシュー・マコノヒー)は体調を悪くして病院に運ばれるが、エイズに感染しており余命30日と宣告される。同性愛者がなると思っていた病気に自分が罹ったことに信じられないロンは、必死でエイズについて調べると性行為によっても罹ることを知ってしまう。
 しかし、アメリカではエイズに対する治療薬については後進国であり、ロンは病院を抜け出し治療薬を求めてメキシコへ行く。メキシコで治療薬を試してみると効果が抜群。しかしながら、その薬はアメリカでは残念なことに使用が許可されていない。だが彼は同性愛者でありエイズに感染しているレイヨン(ジャレッド・レト)の協力を得て、月400ドルの会員制であり、会員になるとエイズの治療薬を無料で引き換えることができるダラスバイヤーズ・クラブを立ち上げて、カネを儲けようと企むのだが・・・

 アメリカの病院と製薬会社が癒着して毒性の強い薬にこだわり続け、海外で副毒性も弱くて効果抜群の薬の使用を認めない態度に驚くし、人命を軽んじる態度に腹が立った。しかし、本作の主人公であるマシュー・マコノヒー演じるロンが、そのことを利用して金儲けを企むバイタリティーに感心した。それにしても、薬をかき集めるために世界を飛び回るとは、元気すぎるエイズ感染者だ。
 しかし、この男が凄いのは単に金儲けに走ることだけではない。命を縮めるような薬を病院とFDA(アメリカ食品医薬品局)が結託してエイズ感染者に推し進めることに対して、反旗を翻すこと。彼の心の中にもアメリカ中でエイズ感染者が報われないことに怒りを持ち続けていたのだ。
 考えてみれば、このような事象はアメリカだけでなく我が国ニッポンでもあるのではないだろうか。物価高騰の影響をモロに受けて生活に困っている国民が大半なのに、この国の偉いさん連中はそんなことはお構いなし。自分の利益ばかり考えて、見て見ぬ振りをしているかのような態度に腹が立つ。俺も本作の主人公を見習って、この世の中を狂わせている理不尽な構図について調べようと思わさせられた。
 そして、マシュー・マコノヒーの役作りにも触れておこう。エイズ感染者を演じるために大幅の体重減を敢行して、ガリガリの体形で本作に臨んでいる。俺みたいな2カ月で5キロも体重が増えてしまう人間には信じられないような役作りを行っている。そして、同性愛者でエイズに感染している役をジャレッド・レトが演じるが、これも大幅に減量しているし、難しい役を演じている。本作は俳優の凄さも感じられる作品だ。
 よって何かと偏見に晒されて生きにくく感じている人、ロクでもない法律によって苦しめられている人、病院に通っているが毎回ロクでもない薬ばかり処方されている人等には少しぐらいは慰められる映画ダラス・バイヤーズクラブをお勧めに挙げておこう

 監督はジャン=マルク・ヴァレ。最近映画を撮らないなあと思っていたら亡くなっていたんですね。ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ共演の映画雨の日は会えない、晴れた日は君を想うがお勧め

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映画 アメリカの友人(1977) 危うい友情に感動

2025年01月28日 | 映画(あ行)
 パトリシア・ハイスミス女史の小説を原作とする太陽がいっぱい。アラン・ドロン演じるトム・リプリーを主演にした名作だが、その原作を読んでいない俺は実はその後にもトム・リプリーのシリーズが作られていることを知らなかった。太陽がいっぱいがシリーズ1作目で今回紹介するアメリカの友人は、その第3作目にあたる。今回トム・リプリーを演じるのは怪優デニス・ホッパー。アラン・ドロンとデニス・ホッパーが同じ役を演じているのだが、全くイメージが異なるし、キャラも違う。まあ、映画的には続編でもなく、もちろん太陽がいっぱいを観ていなくても本作から見ていてもオッケー。
 本作はもちろんサスペンス映画であり、スリルを感じさせる場面もある。しかし、俺はスリルを味わいと言うよりも、男同士の危うさと脆さを抱えた友情に共感を覚えた。ちなみにパトリシア・ハイスミスの作品は太陽がいっぱい以外にも映画化されており、アルフレッド・ヒッチコック監督の見知らぬ乗客も彼女の作品の映画化。本作を観れば、なるほどと思わせるシーンがたくさん出てくる。

 ちょっとばかり捻ったアイデアに惹きつけられるストーリーの紹介を。
 アメリカ人であるトム・リプリー(デニス・ホッパー)はドイツのハンブルクに数年前に亡くなったとされる画家のデルワット(ニコラス・レイ)を訪ねる。デルワットは今はボガッシュと名乗り、彼自身の晩年の作品を書き続けており、それをトムが売りさばいていたのだ。
 トムは競売の場で額縁職人ヨナタン(ブルーノ・ガンツ)と出会い握手を求めるが、ヨナタンから握手を断られた上に皮肉を言われてしまう。しかし、トムはその場で友人からヨナタンは実は血液の病気に罹っており、命が幾ばくもないことを知らされる。
 トムの元にフランスから友人でありマフィアのミノ(ジェラール・ブラン)が訪ねてくる。ミノがトムに相談を持ち掛けた内容が、『殺してしまいたい奴がいるのだが、素人で殺害に協力してくれる奴はいないかな』という素っ頓狂な相談。その時にトムの頭の中に閃いたのがヨナタン。
 ミノはヨナタンに近づき、病状で不安を煽り、その引き換えに大金をちらつかせて、人殺しを願い出るのだが・・・

 妻と息子2人を抱えるヨナタンだが、自分が亡くなった後に家族はどうなるのだろうか。そんな心配につけ込む悪い奴が近づいてくる。殺害の素人に人殺しの依頼をするというアイデアが個人的に気に入った。ヨナタンは殺害を無事に実行するのだが、これが素人丸出し。しかし、これでも完全犯罪が成立してしまう展開にマジかよと思った。
 この一度の成功に味をしめて、またミノがヨナタンに人殺しの依頼を掛けてくる。さすがに断るだろうとおもってたら、人の良いヨナタンは悩みながらも大金に目がくらんで受けてしまう。このまさかの展開に驚きと後悔の念が湧きだしたのがトム・リプリー。自分がヨナタンを暗殺者に推薦しておきながらも、殺人を実行するとは思っておらず、しかも2回目の殺人を依頼されて、それも引き受けるとはトム・リプリーにとってもまさかの展開。ここから、トム・リプリーは最初に出会った時の印象の悪さが吹っ飛び、ヨナタンに親しみを覚えることになる。
 意外なことを切っ掛けに、トム・リプリーとヨナタンが友情に結ばれるのだが、これが非常に熱いものを感じさせる。暗殺のプロではなくて素人が人殺しを実行することのハラハラドキドキ感も楽しめるが、それよりも、この2人の関係の描き方が良い。トム・リプリーの責任感と迷惑をかけてしまったことに対する恩返しの気持ちに不覚にも俺の心に熱いものが込み上げてきた。しかし、この友情も予想通りとはいえ、長くは続かない。ヨナタンにすれば生涯続けば色々と迷惑な友情だから予想外の行動に出るのだが、終わりは余韻を残す。
 色々なことがメタファーに使われていたり、何だかモヤモヤするような結末であったり、トム・リプリー演じるデニス・ホッパーの独り言が気になったりで、すっきりした気分で観終われなかったのは不満。しかし、本作で述べた以外にも、トムとヨナタンの間で渡し合いをされるオモチャみたいな小道具は個人的にはツボだったし、ハンブルクの鬱蒼とした雰囲気はストーリーに活かされていた。結構退屈な映画も撮ってしまうヴィム・ヴェンダース監督だが、本作は成功した部類の作品に当たるだろう。こうしてブログを書いている時に気付いたのだが、当時の有名映画監督を登場させていることも彼の映画愛を感じさせる。そんなことでヴィム・ヴェンダース監督作品と聞いて心が躍る人、男の友情を描いた内容が好きな人、あり得ない展開にもしらける気分にならな人に今回は映画アメリカの友人をお勧めに挙げておこう

 監督は前述したドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。彼の得意のロード・ムービーの傑作パリ、テキサスベルリン天使の詩アメリカ、家族のいる風景がお勧め

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映画 近松物語(1954) 男女の逃避行

2025年01月27日 | 映画(た行)
 今年は外国映画ばかり紹介してないで、日本の映画も当ブログで紹介しようかと思っている。1950年代の日本の映画の面白さに気付いたことがその理由。今まで日本の映画と言えば黒澤明監督作品ばかり見ていたが、他にも素晴らしい映画監督が日本にも居ることを気づかせてくれたのが、自分にとっては良い経験になった。今回紹介するのがフランスのヌーヴェルバーグの映画人にも評価が高い溝口健二監督の映画近松物語。タイトル通り近松門左衛門の人形浄瑠璃を下敷きにして、色々と脚色されているらしい。
 本作は江戸時代の主に京都を舞台にしているが、昔風の商人が話している関西弁が個人的にはツボ。極道の妻たちにおける関西弁は力が入り過ぎて違和感があるが、本作における少しばかり間の抜けたトーンは心地良い。

 台詞回しは楽しいが、男女の一途な想いを感じ取れるストーリーの紹介を。
 江戸時代の京都。大名からも一目置かれている商家において、使用人の茂吉(長谷川一夫)が奥方のおさん(香川京子)からカネの工面を何とかならないかとの相談を受ける。茂吉はおさんのためにひと肌脱ごうと店の金を着服しようとするが、思いなおし主人の以春(進藤英太郎)に頼み込むことにする。しかし、以春は金を貸すことは許さず、茂吉と妻のおさんの仲を疑うようになる。どうしようもなくなった茂吉とおさんは2人で逃げることになってしまい・・・

 この時代の習わしとして説明しておくと、男女の不義密通は京都の町を引きずり回されて死刑になってしまう。そして、この場合だとおさんと茂吉の不義密通がバレたら、おさんの旦那の以春の商家にまで影響を受けて取り壊しになってしまう時代。現代社会とは異なる背景が本作を面白くさせている。
 商人の以春は勢力が大きく威張り散らし、しかも女中には手を出しており、大名たちにもカネの影響を与えており、カネの事に関してはドケチ。おさんは使用人の茂吉ではなくて主人の以春にカネの工面を頼めば良いのだが、彼のドケチさは嫁に対しても変わらない。それが何事にも真面目で面倒見の良い茂吉に頼んでしまったから事件?が起きてしまったわけだ。そして、茂吉とおさんが不倫をしているのかと勘違いさせる場面がコントを見ているようで、俺は大爆笑した。本来はシリアスドラマなので笑ってしまうシーンではないのだが、まるでコントの王道を行くようなパターンだったので笑わざるを得なかった。
 そして、茂吉とおさんが2人きりになって心中しようとする場面が中盤で訪れる。その時に茂吉は『実は私は前々から、おさん様のことをお慕いしておりました』と告白してから、おさんが急に心変わりをして、おさんも茂吉のことを好きになって心中を止めるところは感動させると同時に、不謹慎ながらもまた笑けてきた。そこからは2人の愛の逃避行になってしまう。
 しかし、以春の強欲なプライドが凄い。とにかく2人を部下を使って捜索させるのだが、自分のお店が第一主義。おさんと茂吉を別れさせて、おさんだけを何事もなかったように連れてくるように命じるのだが、これは俺も噴き出した。極めて悲惨な状況に陥っているストーリー展開なのに笑いながら見ているのは俺ぐらいしか居ないのではないだろうか。だいたい、前述した社会背景からしてあまりにも現代と違い過ぎて笑えてしまう。これを今の時代に当てはめると、本当に毎日のように死刑が行われてしまうではないか。
 しかし、本作が凄いのが商家のセット。奉公人がたくさん居るのだが、それだけの人数を収容するだけのセット組は凄いと感じさせるし、またそれを映し出す流暢なカメラワークも凄い。昔の映画は本当にスタッフの真剣さが伝わってくる。これぞプロの仕事だと画面から伝わってくるのが本当に何度も言うが凄い。
 それにしても茂吉とおさんの恋愛は本物だ。しかしながら、そんな2人の関係を当時の社会が許さない。元はと言えばコントのような勘違いの騒動がとんでもない事件に発展してしまうのだが。しかし、ラストは意外にも幸せを感じさせるのだ。
 昔の封建社会による恋愛の不自由さ、男女の逃避行、カネに強欲な人間、人を陥れる人間、親子の情け、もう少し音声が良ければと思うのだが聞き心地の良い関西弁、巧みなセットなど見所が満載のコメディ、ではなくてシリアスな人間ドラマとして今回は名作近松物語をお勧めに挙げておこう

 監督は世界の溝口健二。先日投稿した西鶴一代女、そして人間の業の深さを感じさせられた雨月物語がお勧め、他にも面白い映画がたくさんあると思います

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映画 エヴァの告白(2013) 移民の歴史がわかる?

2025年01月26日 | 映画(あ行)
 アメリカという国は、ヨーロッパ各国で戦争など悲惨な経験をして、夢や希望を求めて渡ってきた人の集まり。しかしながら、彼らの中には新天地アメリカにおいても挫折を味わう人が多い。先にアメリカに渡ってきた者にとって、後から次々にやってくる移民たちは恐れの対象になっていた現状がある。そんなことを理解させてくれる映画が今回紹介する映画エヴァの告白。ヨーロッパからの移民にとっての玄関口に見える自由の女神が、彼らを笑顔で迎えることは無い。ちなみに本作の原題はThe Immigrant。タイトルの意味するところは『移民』。本作では夢や希望を求めてやって来た移民が、過酷な現実を突きつけられる様子が描かれている。

 今でもアメリカンドリームなんて言葉に惹きつけられる人が多いが、少しは現実を見せてくれるストーリーの紹介を。
 1921年のニューヨーク。悲惨な目に遭ったポーランドからアメリカへ夢と希望を求めて姉のエヴァ(マリオン・コティヤール)と妹のマグダ(アンジェラ・サラフィアン)がやってくる。彼女たちは先にアメリカで移住している叔母さん夫婦を当てにしてやってきたのだ。しかし、マグダは病気の疑いで収容所へ送られ、エヴァの方は色々と理不尽な難癖をつけられて強制送還にあいそうになる。
 そんなエヴァを助けたのが、ブルーノ(ホアキン・フェニックス)。しかし、ブルーノは移民の女性を集めてのストリップもどきの興行師であり、裏の顔は売春の斡旋人だった・・・

 ポーランドというのは滅亡したり復活したりして常に戦争の悲劇に遭ってきた国。ポーランドからアメリカに渡ってきた移民は多い。そして本作のエヴァとマグダの姉妹の両親だが、ポーランドで首を刎ねられている。エヴァにとって強制送還されることは、死をも意味するだけにポーランドに帰れない。そして、ポーランドというのはカトリックの国。エヴァのカトリックに対する敬虔さは篤いものがある。そして、妹との絆は固い。
 エヴァは一度はブルーノの元を抜け出し叔母さんの住所を探し出すのだが、なぜか血の繋がっていない叔父さんの方から嫌われ追い出されてしまい、彼女も収容所へ送られ再び強制送還されそうになるピンチが訪れる。そこへまた助け舟を出すかのようにブルーノが現れて強制送還されないで済む。ハッキリ言ってブルーノはエヴァから希望も夢を奪って娼婦に叩き落した極悪人。しかし、エヴァはけっこうしたたかで絶望的な状況に追い込まれても、妹と再会するためにあらゆる生きる術を尽くす。人のカネを盗もうとするし、ブルーノを逆に利用する。罪を犯さないと生きていけない状況を告解するシーンがあるのだが、それが邦題になっている訳だ。
 そして、ブルーノの従兄弟でオーランド(ジェレミー・レナ)が出てくる。エヴァはオーランドと恋に落ちそうになる。一瞬、エヴァにも希望が見えそうになる。しかし、本作はちょっと希望を見せておいて、またどん底に突き落とすの繰り返し。美人だからと言って幸せになるとは限らない展開が妙に響く。むしろ美人であるがために試練が次々にやってくるような印象さえある。
 さて、そんなエヴァに対して聖母マリア様はどんな結末を用意しているのか。それは本作を見てのお楽しみ。大谷さんみたいにでかい夢をアメリカで掴みたいと執着している人、妙にアメリカに憧れている人、私は美人だと思っている人、思ってない人、そして罪の意識に苛まれている人に今回はエヴァの告白をお勧めに挙げておこう

 監督はジェームズ・グレイ。ティム・ロス主演のリトル・オデッサ、ブラッド・ピット主演のアド・アトラスがお勧め

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映画 ニューオーリンズ・トライアル(2003) 陪審コンサルタントという職業があります

2025年01月25日 | 映画(な行)
 先日12人の陪審員たちが密室で議論を繰り広げる十二人の怒れる男を紹介したが、あの映画を観ている時に思い出したのが今回紹介するニューオーリンズ・トライアル。『ザ・ファーム 法律事務所』『ペリカン文書』等が映画化されているジョン・グリシャムによる原作小説の映画化作品だ。
 ちなみに本作は法廷劇であり、だいたいそのような映画は弁護士対検事、あるいは弁護士対敵側の弁護士という構図で熱いバトルが繰り広げられる展開が多い。本作もそのような面も少しは見られるが、陪審コンサルタントという者が出てくる。少しばかり陪審コンサルタントの仕事を説明すると、無作為に選ばれた陪審員候補の中から自分の陣営に有利になるように十二人の陪審員を選ぶように陰から弁護士にアドバイスする役割の者。本作においても凄腕の陪審コンサルタントが出てきて、すべての陪審員候補の思想、性格、職業等を調べ挙げて、ふるいにかける様子がテンポよく描かれている。陪審員がハガキ一枚で無作為に選ばれると思っている人は、実は弁護士が選んでいたことに驚くはずだ。

 それでは少しばかり珍しいタイプの法廷劇のストーリーの紹介を。
 ニューオーリンズにおいて11人の被害者がでる銃乱射事件が起きる。被害者の妻であるセレステ(ジョアンナ・ゴーイング)は優秀な弁護士ローア(ダスティン・ホフマン)を雇って、犯行に使われた銃の製造会社を訴える。
 訴えられた銃の製造元及び銃業界も自らの利益を守るために、伝説の凄腕陪審コンサルタントであるフィッチ(ジーン・ハックマン)を呼び寄せ、万全を期する。フィッチは慎重に陪審員を選別していくが、その中に謎の男であるニック(ジョン・キューザック)がフィッチの目をかいくぐって陪審員に選ばれる。ニックはこれまた謎の女マーリー(レイチェル・ワイズ)と手を組んで、両陣営をかく乱していくのだが・・・

 ジーン・ハックマン演じる陪審コンサルタントだが、弁護士よりも権力を持っており、それでいて陪審員候補たちを調べる手口がえげつない。自らのスタッフを抱えて、盗聴、盗撮、尾行を繰り返し、彼らのことを片っ端から調べ上げる。裁判が始まってからも、自分に不利になりそうな陪審員に対しては脅迫も厭わない。明らかに不法行為を行っている。
 そんな凄腕コンサルタントを相手にするのが、陪審員に選ばれたジョン・キューザック。この男が身の危険を顧みずに、凄腕コンサルタントや相手方の弁護士を翻弄するような行動にでるのだが、その目的がなかなか明かされないので惹きつけられる。そして、この男も他の陪審員たちを自分の思う方へコントロールしようと苦闘する様子も楽しい。
 陪審コンサルタント対陪審員が主になっている珍しいタイプの法廷映画。この手のタイプにありがちな難しい専門用語は必要ないし、スリリングな展開は非常に楽しめて、大物実力派俳優の共演が興味深い映画として今回はニューオリンズ・トライアルをお勧めに挙げておこう

 監督はゲイリー・フレダー。アンディ・ガルシア主演のデンバーに死す時がお勧め

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映画 野菊の如き君なりき(1955) 純愛ストーリー

2025年01月24日 | 映画(な行)
 明治の歌人であり小説家である伊藤佐千夫の『野菊の墓』を原作として映画化したのが今回紹介する野菊の如き君なりき。俺は原作を読んでいないのだが、あの文豪夏目漱石が絶賛。明治時代が背景ながら昭和生まれの自分でも感動できる純愛ストーリー。ちょっとばかり凝った映像技術と話法を駆使した作品としても知られている。
 
 古き因習によって引き裂かれる恋愛を描いたストーリーの紹介を。
 何十年ぶりかで故郷へ帰ろうとしている75歳の老人(笠 智衆)が60年前のことを回想する。
 十五歳の政夫(田中晋二)の母(杉村春子)が病気がちのために、母の姪っ子で17歳の民子(有田紀子)が家の手伝いに来ていた。正夫と民子は小さい頃から仲が良いいのだが、そのことは周囲からは好奇の目でみられることになる。
 祭りを明日に控えた日のこと。正夫と民子は母の言いつけで、山の畑へ綿を取に行かされる。2人っきりになった正夫と民子はお互いを意識し始めるようになってしまうのだが・・・

 殆どのシーンを占める回想シーンにおいて、周りをぼやけさせた楕円形の中で映像が流れるという形式がとられている。しかしながら、画面の幅が狭くなっただけで逆効果になっているように思う。そして、場面が変わるごとに短歌が流れるのを、笠 智衆があの訥々とした調子で読み上げる。これも良いのか悪いのか判断に迷うところだ。
 しかし、正夫と民子の2人が素人俳優っぽいやりとりを見せるのだが、これはかえって新鮮な感動を呼ぶ。この2人が周囲にからかわれる理由が、女の民子の方が2歳年上だから。このことが2人の関係の障害になるのだが、明治時代の恋愛観に少々驚いた。従姉弟の関係だというのも恋愛の障害になっていると思われるが。
 そして、恋愛のエピソードとして効果を発揮するのがタイトル名にもあるように、正夫が民子を野菊に例えること。女性を花に例えるとはダサいと思ったが、どうやら俺の勘違い。これはナンパのテクニックに活かせそうだし、実際にこのことが2人の関係を恋愛に発展させた名場面でもある。
 2人のお祖母さん役にあたる浦辺 粂子の民子を思いやる気持ちも優しさにあふれていて感動させる。しかも民子に訪れる悲劇的運命をより劇的にしている。そして何よりも良いなあ~と感じさせるのが、60年を経てもあの時の事が忘れられない老人の心境。これは胸が熱くなる。
 古き日本の風景の良さがモノクロの画面を通して活かされているし、ずっと響いている音楽も禁じられた遊びを思い出させるようにストーリーに役立っている。なかなかの感動物として今回は映画野菊の如き君なりきをお勧めに挙げておこう

 監督は木下恵介。彼の代表作と呼べる二十四の瞳は流石は名作だと思わせます

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映画 十二人の怒れる男(1957) 法廷映画の傑作

2025年01月23日 | 映画(さ行)
 ハリウッドには法廷を舞台にした映画はたくさんあるが、その中でも名作として燦燦と輝くのが今回紹介する映画十二人の怒れる男。ご存知の通りアメリカの裁判は陪審制。本作においては、国民の中からほぼ無作為で選ばれた12人の陪審員たちが、裁判で出された証拠品を基に全員一致の原理で有罪か無罪かを決定する仕組み。国民が有罪か無罪かを決めるとは、まさにザ・民主主義。当時の冷戦時代を考えれば、アメリカのプロパガンダ的な作品といえなくもないが、アメリカの底力を感じさせる映画になっている。

 殆どの時間が密室で繰り広げられるストーリーの紹介を。
 陪審室において12人の陪審員たちが集まる。その日は異常に暑い日だった。18歳の少年が父親殺しの疑いを掛けられており、あらゆる証拠からこの少年が父親を殺害したのは明白のように思われた。しかし、12人の中で1人だけ無罪に手を挙げたことから事態は意外な方向へ動き出し・・・

 一瞬で有罪になりそうなところを、陪審員の1人であるヘンリー・フォンダだけが無罪を主張する。他の11人から変人扱いされるかのように罵声を浴びたり、好奇な目で見られる。ヘンリー・フォンダが無罪を主張する理由がこうだ。『自分も無罪だとは言い切れない。しかし、1人の命がこんな簡単に決められて良いものか、どうか。議論しようではないか』。全員が有罪だと判断してしまうと、罪の重さから少年は死刑になってしまう。そこへ、ヘンリー・フォンダが一石を投じたわけだ。そして、今まで出された証拠を基に粘り強く、論理的に時には感情的になりながら、もう一度推理し直していくのだが、その過程が非常に興味が惹かれる展開になっている。
 そして、この12人がそれぞれ個性的なキャラクター設定になっている。さっさと終わらせて野球の試合を観に行きたがっている者、子供が嫌いな者、育った環境が悪いから人を殺してしまうんだなんて言い出す者、多数に流される者等。12人の主義や主張、そして偏見がぶつかり合っていく様子を見せられる。
 本作を見ると必ずしも多数が正解だとはわからないし、偏見が正しい見解の邪魔をすることの危険性を感じさせる。少数意見の大切さ、議論をすることの大切さが身に染みる。
 殆どのシーンが暑い密室で繰り広げられ重苦しさを感じる。それ故にラストシーンは爽快な気持ちで観終えることができる。しかし、ここで繰り広げられている推理が本当に正しいのかどうかわからない。よってこの少年は無罪なのかわからないし、本当は有罪なのかもしれない。とりあえずは1人の命が助かった。
 最近の日本においても紀州のドンファンの事件などで裁判について考えさせられることが多い。人間が人間を裁くことの難しさを痛感するし、民主主義国家の良さを少しぐらいは理解できる映画として今回は十二人の怒れる男をお勧めに挙げておこう

 監督はシドニー・ルメット。社会派監督らしい良心的な作品が多い。核戦争の恐怖を描いた未知への飛行、テレビ業界の狂乱を描いたネットワーク、ナチスのトラウマから解き放たれない男を描いた質屋、警察の腐敗と戦う男を描いたセルピコ、犯罪映画の狼たちの午後、ポール・ニューマン主演の本作と同じく法廷映画の評決、リバー・フェニックス主演の旅立ちの時、ショーン・コネリー主演の反戦映画である、監督の遺作にあたるその土曜日、7時58分などお勧め多数

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映画 浮雲(1955) 時代を感じさせる男女が描かれています

2025年01月22日 | 映画(あ行)
 今年は外国映画ばかりに目を向けていないで日本の映画も観るようにしているのだが、1950年代が日本映画の黄金期とは聞いていたが本当にその通りだと思わせられた作品が今回紹介する映画浮雲。本作が制作されたのが、戦後10年しか経っていない時期。戦後の日本の様子が描かれ、男女の時代の価値観を感じさせる作品でもある。大して働きもせずにカネも持っていない男がなぜかモテモテの映画。そんなダメ男を一途に愛する女性を二十四の瞳で主役を演じた高峰秀子さんが演じる。

 理屈では理解できない男女の恋愛を描いたストーリーの紹介を。
 第二次世界大戦中のベトナムにおいて、農林省の技師として働いていた富岡(森雅之)だったが、そこへ農林省から派遣されたのが幸田ゆき子(高峰秀子)。富岡には日本に残してきている妻がいるのだが、2人は恋に落ちてしまう。そして、富岡は日本に戻ったら妻と離婚してゆき子と結婚することを約束する。
 戦争が終わり、ゆき子は先に日本に戻っていた富岡の家へ行く。富岡が離婚していると思っていたゆき子だったが彼は離婚していなかったのだ。彼が離婚する気が無いことを知ったゆき子は米兵の情婦になるのだが、既に富岡とゆき子は離れられない運命になっていた・・・

 くっ付いては離れてを繰り返す富岡とゆき子。富岡という男が日本に戻ってから、新しい仕事に就いては辞めてを繰り返す。カネもなくてゆき子に何食わぬ顔でカネを借りに行ったりする。それなのにゆき子以外の女性からも言い寄られて、ふらふらとその女性と良い仲になってしまうモテモテの男。時代的な背景もあるだろうが、このような男を放っておけない女性の心理がよくわからない。しかし、男女の愛には理屈が入る余地がないことがよくわかる。
 そんな富岡をとことん愛するのがゆき子。戦後を生き抜こうとする女性の大変さが本作からよく理解できる。富岡から『もう俺たちは合わないでおこう』なんて言ってくれているのだが、俺からみたらラッキーな申し出かと思えたのだが、ゆき子は決して富岡から離れない。もっと別の男性と一緒になれる余地があるはずなのに、彼女はとことん富岡と一緒になりたがる。ゆき子がどんどんダメ男の富岡にのめり込んでいく展開がスリルを感じさせ惹きつけられる。
 さて、色々な障害があり過ぎてこの2人は一緒になっても上手くやっていけるわけないだろうと思っていたのだが、どのような結末を迎えるのか。そこには女の執念の凄さを感じさせられた。
 最近、二十四の瞳高峰秀子さんを観たばかりだが、その演技の幅の広さにびっくり。二十四の瞳が1954年の公開で本作はその1年後の公開である。この短い期間に、がらりと違う役を演じてしまう演技力に感嘆した。そして彼女の作品を2作品しか観ていないのに、その演技力を見極めることが出来た自分の眼力も流石だと我ながら思う。
 戦後の焼け野原の状況や暮らしが本作から垣間見る事ができて、男女の行方に惹きつけられる浮雲を今回のお勧めに挙げておこう

 監督は世界的にも評価が高い成瀬巳喜男。愿節子さんが主役を演じているめしがお勧め

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 これが林芙美子さんの原作です







 
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映画 ノスタルジア(1984) これぞ映像の詩人タルコフスキーの傑作

2025年01月21日 | 映画(な行)
 映像の詩人と呼ばれるソ連の映画監督であるアンドレイ・タルコフスキー。よく彼の作品は難解だと言われるが、今回紹介する映画ノスタルジアは、その中でも難解レベルの作品。俺も最初観たときは、この監督の映像表現や独特のリズムや意味不明の会話のシーンに惑わさせられたのかよく理解できなかった。しかし、彼の他の作品を観たり、監督の経歴、そして繰り返して観ると意外にストーリーは単純で言いたいことはわかってきた。しかし、この監督の凄さは映像の詩人と呼ばれるだけあり、ストーリー展開よりも映像表現に目を奪われる。水や火をモチーフに用いたり、犬や馬といった動物が唐突に表れたりする。家の中なのに雨が降っていたりするので、何で?と思ったりする人もいるはずだが、こういう作風だとしか答えようがない。
 そんな彼の映像表現が完成の高みに達しているのが本作であり、俺が観たアンドレイ・タルコフスキー監督作品の中では最も好きな映画である。

 それではストーリーの紹介を簡単に。
 ロシア人の作家であるアンドレイ(オレーグ・ヤンコフスキー)は美人な助手であるエウジュニア(ドミツィアナ・ジョルダーノ)を連れて、モスクワからイタリアを旅していた。目的は昔ロシアの作曲家であり、イタリアを訪れていたがロシアに戻って自殺したサスノフスキーの人生を取材するためであった。
 そんな旅行中のこと、彼らは皆から変人扱いされている老人の男ドメニコ(エルランド・ヨセフソン)と出会う。彼のことに興味を持った、アンドレイはドメニコにインタビューを試みるが・・・

 ところどころでセピア調の映像が挟まれたりして、過去と現在を行ったり来たりするが、これが何の説明もないために最初観たときは、ややこしく感じる。しかし、このセピア調の映像が美しいのがこの監督ならでは。まさに過去の事を思い出してしまっているかのシーンが本作の題名であるノスタルジア(郷愁)を感じさせる。
 そして、ドメニコが変人と呼ばれる理由だが、かつて家族を7日間も幽閉したことにある。その理由がやがて世界に終末が訪れるから。そりゃ、家族も逃げ出すし、変人扱いされて当然だろう。しかし、そんな妄想が激しいドメニコに興味を持ったのがアンドレイ。そして、アンドレイは逆にドメニコから世界を平和にするために、あるミッションを授かってしまう。ミッションと言っても大したことを行うのではないが、そのシーンを見ていて手が火傷しそうで演じている役者さんが大変だっただろうな、と違う意味で可哀想だと思ってしまった。
 そして、俺が感動したのはドメニコの演説シーン。半ば本当に気が狂ってしまいローマの広場で演説をするのだが平和に対する熱い想いを感じた。色々な映画で演説シーンなんかは出てくるが、本作の演説シーンはその中でも上位を争うぐらいの感動物。本作のテーマとして平和に対する想いが挙げられる。
 映像的にはドメニコの家の壁に『1+1=1』なんて間違った足し算の数式が書かれていたり、家の中なのに雨が降っていたり、唐突に小さな子供が現れたりなど不思議なシーンが多く見られる。そして、映像テクニックだがアンドレイが鏡をみたらドメニコが写っていたり、アンドレイを写しているカメラを左に振るとまたアンドレイが写っていたりなど、何だかSF映画を見せられているようなシーンがあるのも楽しいところ。ラストシーンに至っても、最後は広々とした田舎を撮っているのか思ったら意外な場所だったりと、流石は映像の詩人だと思わさせられた。
 本作はアンドレイ・タルコフスキー監督自身が、検閲だらけで自由に映画を撮らさせてくれないソ連に絶望してイタリアで撮影している。そのことを知って本作を観れば主人公の姿に監督自身の想いが投影されていることに気付くだろう。
 アンドレイ・タルコフスキー監督作品と聞いて心が躍る人、彼の映画は好きなのに未だ本作を観ていない人、何だかいつも悩んでいる人等に今回はノスタルジアをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したアンドレイ・タルコフスキー監督。比較的ストーリーがわかりやすく作られている僕の村は戦場だった、SF映画の金字塔である惑星ソラリス、みんなが思っている意味とは違うストーカー、そして核戦争の終末を恐れる本作とよく似たテーマのサクリファイスがお勧め

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