今日は十月三十一日、そうハロウィンです。
待ちに待った子供達が自慢の仮装で近所の家を訪問をしてお菓子をねだる日です。
おや、さっそく子供達が一軒の家を訪れたようですよ。ちょっと様子を見てみましょうか。
ピンポーン、ピンポーン
現れたのはジャック・オ・ランタンにミイラ男、そして魔法使いの仮装です。
おやおや、よく見れば近所でも評判のわんぱく三人組ですね。
ピンポーン、ピンポーン
あらら、誰も出てきませんね。お留守のようですよ、残念。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!!!!!!
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
あらら、なんと闇雲にチャイムとノックの嵐です。
さすが近所で評判のわんぱく三人組。無茶しますね~。
バン!
「う、うるさい! 何考えてやがるんだ!!」
あらら、中からおじさんが血相を変えて出てきましたよ。
居留守を使ってたみたいですね。困ったもんです。
「トリック・オア・トリート」
「とりっく・おあ・とりーと」
「トリ~ック・オア・トリ~ト~」
「な、なんだお前ら! ……ハロウィン? そうか、うっかりしていた」
あらあら、おじさんはすっかりハロウィンの事を忘れていたみたいですよ。
「「「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!!」」」
三人はハモるように呪文の言葉をおじさんに投げかけていますね。
おじさんは家の中をキョロキョロと見回してます。これはもしかして……
「う、うむ、、、残念だがお菓子は無い。悪いが帰ってくれ」
「「「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!!」」」
「く、うるさいガキ共だな。解ったよ。この金をやるから好きな物でも買え!」
「おじさん解ってないなぁ。なんでも金で解決出来ると思っているの?」
「まったくです。美学が無いですよ。美学が」
「お、お腹空いた。早くお菓子くれよ……」
「だからお菓子なんて無いんだよ! 諦めてどっか行っちまえ!」
三人組は顔を見合わせてニヤリと笑ってますよ。これはマズいですねぇ~
「「「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!!」」」
あぁ、やっぱり! 三人が思い思いに暴れ始めました。
植木鉢を蹴り落とすわ、ガラスを石を投げて割るわ、壁をモッブでガンガン叩きだすわでさぁ大変!
「うわぁぁぁ、やめろ、やめてくれぇぇぇ!」
男が頭を抱えて懇願していますが三人組の暴れっぷりはエスカレートするばかりです。
遂には近所の人が警察を呼んだみたいですよ。
***
「あ~、君たち三人の活躍で連続強盗犯を逮捕する事が出来た。警察より犯人逮捕の協力に対し感謝状と金一封を贈呈します。ありがとう」
な、なんと、あのおじさんは空き巣の常習犯だったみたいですねぇ。いははや驚きました。あれあれ、わんぱく三人組の様子がおかしいですよ。こ、これはまさか——
「「「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!!」」」
ハロウィンのある風景/ましだたけし著
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