令和の越後屋? 代理制御で太陽光発電事業者から毟り取る中国電力

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先月から今月にかけて、昨年既に法制度化されていた「代理制御」が実行に移され始めた。

この代理制御というのは、これまでは出力制御による被害を受けていなかった太陽光発電事業者にも出力制御を行ったと見做してその電力量の分を売電収益から天引き(精算)するという仕組みである。

太陽光発電における代理制御の仕組み

太陽光発電における代理制御の仕組み(出所:資源エネルギー庁/第35回系統ワーキンググループ(2021年12月15日)資料2)

先月の明細の代理制御の精算比率は12%ほど。

これでも「結構痛いな~」と思っていたら、今月はそれどころじゃなかった。

最近、筆者のもとに届いた最新の売電収益の明細を見て、その精算比率=26.23%と天引きされた金額(約8万円)は驚くべきものだった。

なんじゃこりゃ~~!!!

実に売電収益の4分の1以上が代理制御による精算で天引きされていた訳である。

恥ずかしながら代理制御の仕組みをこれまでほとんど理解していなかった筆者は、慌てて資源エネルギー庁のホームページや関連した記事などを読み漁り、筆者の売電収益に何が起きているのかをやっと理解することができた。

出力制御について|なるほど!グリッド|資源エネルギー庁
なるほど!グリッドは、発電設備の系統接続に関する様々なルール・手続きについて各種コンテンツを掲載しております。

もちろん、売電収益をいきなりこんなに差し引かれて狼狽えているのは筆者だけではない。

中電エリアで発電所を運用している太陽光発電の仲間からは、一様に今回の代理制御の影響による驚きや怒り、悲しみ、呆れといった様々な反応がネットやソーシャルメディア等にも寄せられている。

代理制御については、法制度の改正(改悪?)が昨年度の時点で完了しており、中電や資エネ庁はホームページ等でそれについて公表はしているものの、発電事業者に対して個別の説明などは一切行われていない(筆者の記憶が確かならば)。

それも、今回の代理制御によっていきなり少なくない額を「精算」として天引きされた太陽光発電事業者に広がる困惑や動揺に拍車をかけていることは間違いない。

これだけの比率で天引きされるとなれば、特に影響を受けるのは銀行など金融機関から融資を付けて太陽光発電所を作った事業者である。

これまでは毎月の返済額が売電収益の範囲内だった人や企業でも、今回の26%というのは流石に大きすぎて赤字になったという声が少なくないのだ。

この26%という数字の説明すらない訳だが、九電エリアと異なり中電ではまだ原発も稼働してはいない。正直、なぜこんなに大量の電力量を出力制御や代理制御で処理しなければならないのか、まったく理解できない。

当然、このような仕打ちを受けて黙っていられず、早速中電に電話をして苦情を申し立てた知人もいるのだが、中電は国(経済産業省・資エネ庁)に文句を言えと責任逃れ。

また、精算比率の算出式は一応公表されているものの、精算比率を決める肝となる数字(パラメータ)については非公表だという。

つまり、中国電力は民間ではあるものの電力エネルギー・インフラの大半を所有する社会的責任が極めて大きな企業なのに、説明責任を放棄しているのだ。

ちなみに、この件については日経BP社の「メガソーラービジネス」が記事にまとめているので、客観的な論評や経緯についてはそちらを参照されたいのだが、中電はそのメガソーラービジネスによる取材も拒否している。

九州・中国管内で「出力制御」急増、太陽光発電事業者に
今春、九州、中国、四国エリア管内などで、再生可能エネルギー発電設備に対する出力制御(出力抑制)が急増し、発電事業者に困惑が広がっている。

マスメディアに取材されて明るみに出ては困るような余程うしろめたいことが、中国電力の内部にはあるのだろう。

さすが、関電や九電と結託して価格カルテルなんて犯罪に手を染めるだけのことはある反社会的企業だ。

(中電は価格カルテルを公取委に咎められて700億円もの罰金を科せられていたが、まさかその罰金の原資にするために代理制御で我々からむしり取ってるんじゃないだろうな… いやそんな酷いこと流石にするわけないよな…?)

価格カルテルについては、一応謝罪の文面をサイトに出している。

だが、今回のような代理制御のやり方を見ていると、たとえ法的には何ら問題や瑕疵はないとしても、道義的・企業倫理的には極めて疑問と言わざるを得ない。なぜならば、代理制御の精算比率は非公表で、中国電力がどんなに恣意的な比率にしてもお咎めが一切なしだからである。

暴〇団のみかじめ料だってもう少し良心的なんじゃないだろうか(知らんけど)。

今後、もし代理制御で融資の返済が滞り、最悪のケースとして太陽光発電事業者の中から自殺者が出てきたら責任は誰が取るのだろう。(誰も責任取らない? いや十分にあり得る、政府が腐っていて信用できない、この国なら。)

ということで、資エネ庁に電話で苦情を寄せたところ、資エネ庁の官僚からは、「国策なのでご理解下さい」などという、気休めにすらならないような回答をされ、しかも中電の精算比率の内訳や詳細が非公開であることも「特に問題なし」ということらしい。

これで本当にまともな監督官庁なのだろうか。
税金で高い給料もらってるんだから、サボらずにきちんと仕事しろ、と言いたい。

筆者から見ると、やはり中電は「越後屋」、経済産業省・資源エネルギー庁は「悪代官」である。

電力業界の「悪代官」と「越後屋」による"新電力潰し"と"再エネ潰し"とは
電力システム改革の課題と可能性・・・? (「太陽光発電パネルは経年劣化する」の続き) CELCの発電データ報告会のあと行われたセミナー、実は当初それほど期待していなかったのだが予想に反して非常に良い内容だった。 電気事業法の改正と電力自由化...

経産省・資エネ庁が電力大手に甘いのは、やはり天下りの甘い汁を吸うためなのだろう。(ただ、最近は電力大手に直接天下ると批判の矢面に立たされるため、各電力にコバンザメのように付属している電気保安協会などの関連団体などに天下ることが多いらしいが。)

東京地検特捜部…じゃなかった、広島地検特捜部(そんな組織あるんだっけ?)は中電にガサ入れとかしないんだろうか。

発電事業者の収益が4分の1もカットされる一方で、目下急速に進みつつあるインフレの中でも公務員の給料はしっかり増額されていたはずで、この辺り、霞が関官僚は狡猾で抜け目ないとしか言いようがない。

我々再エネ発電事業者に収益の4分の1カットを国策だから甘んじて受け入れろというのなら、資エネ庁の職員の方も自発的に給与の4分の1をカットして欲しい。だったら、筆者も代理制御による収益カットを我慢しても良い。

我々太陽光発電の事業者は天災や盗難などのリスクを取って事業を行っている訳だが、まさかこのような形で固定価格買取制度で再エネを普及推進している国が仕掛けたのような形でリスクを負わされるとは思ってもみなかった。

こんな事をやっていて、本当にカーボンニュートラルを2050年までに達成できるのだろうか。

筆者には極めて疑問である。

コメント

  1. 石坂輝幸 より:

    私も今回の件に関して、黙っておれない気持ちである。この怒りの矛先を誰に誰に向ければいいのか分からない。
    電力会社、発電事業者共、災厄の事態にならない様見守るしかないのだろうか?
    平和に終わるような気がしない。
    誰かが仕掛けた罠の様な気がする、何故
    今回の件がビッグモーターの様に、テレビで問題視されないのだろう。
    発電事業者がもっと怒り行動するべきではないでしょうか。

  2. 山口県おみつ より:

    大阪から始まった全国展開の上海電力の傍若無人なメガソーラー事業のおかげで発電量が一気に増えて、我々日本人の財布からかすめ取って行く…
    中国企業の利益は中国に持って行かれるのです。
    国策とは国民の権利、利益を守るものだと思うのですが、今の政府は売国奴が多すぎですね。
    あーいやだいやだ

    • ビッグふぃ~るど より:

      山口県おみつさま、

      コメントありがとうございます。
      御指摘のように、日本人や国内企業によるメガソーラーだけでなく、中国など海外の事業者も参入してきて収益をあげています。

      政府の中の人たち自身にそういった意識があるかないか何とも言えないですが、結果からみると売国奴が多いというのは当方も昨今かなり感じる所です。

      これも結局、我々日本国民が問題を認識して、もっと政治に関わっていくことでしか改善出来ないのかと思いますが、道は険しく長そうですね。

  3. 石坂輝幸さま、

    コメントありがとうございます。こちらでのお返事が大変遅れ恐縮です。

    >何故今回の件がビッグモーターの様に、テレビで問題視されないのだろう。

    この件は太陽光発電事業者にしか影響のないもので、一般の消費者や企業にとってはほとんど何も影響が無いからだと考えます。

    したがって、我々太陽光発電事業者が声をあげ、行動することでしか、解決できないと思われます。頑張りましょう。

  4. 山口県おみつさま、

    コメントありがとうございます。
    御指摘のように、日本人や国内企業によるメガソーラーだけでなく、中国など海外の事業者も参入してきて収益をあげています。

    政府の中の人たち自身にそういった意識があるかないか何とも言えないですが、結果からみると売国奴が多いというのは当方も昨今かなり感じる所です。

    これも結局、我々日本国民が問題を認識して、政治に関わることでしか改善出来ないのかと思いますが、道は険しく長そうですね。