 CHRISTINA【399】
ラピスとモエギがランプたちの許に戻って現れたと同時、ルチルが持っていた兎が消えて、カロンが【オリオンの黒】の中にエヴァの位置を探知た。
そしてランプが持っていたスーヴのSPが鳴った。
相手はエヴァで―こうでもしないと隠れて私に密着する気でしょ？繋げとくわ？と電話の向こうのエヴァが言って、ガサゴソの雑音になった。
「SPを兎のぬいぐるみの中に収納の音ね」
「ちゃんと実況中継してくれるなんてエヴァも成長したな」
「全く...雪が降れば眠り姫か、笑える。本当に雪の女王かよ」
「雪の季節の度にエヴァ行方不明なんこれ切りにして欲しい」
雪とクリスティーナが何です？と訊いたが、ランプたちが観ていた画面右の画面に気付いてスーヴが、これは？と訊いた。
カナリア隊。とその画面を管理していたオニキスが言った。
「あ、カナリア隊ってのは俺たちの暗殺部隊のことだけど目的を目
の前にしてやっぱり止めってこともある、そのときは知らんぷり
してこっそり戻るから悪臭検知器って意味。カナリアは微量の毒
でも直ぐ死んでしまう繊細小鳥」
「何してるかって言うとセディックが拉致監禁して売ろうとしてた
少年少女、臓器販売か娼館斡旋か治験か知らんけど。100程いる
その子たち救出中。カトもトラックで今搬入中、厭世くんだけど
気が変わったのか？【オリオンの黒】乗っ取るつもりだったか」
「それはどうか、死なば諸共か、シール無くなって本当に死人が
出だしたから？カトが爆破部隊に連絡しやがった。救出急げ！」
「毒ガス爆破か？大丈夫だ、後５分ある。ユリウス
どうする？このまま爆破ではシーガ迄ガスが蔓延」
ギーガがエヴァにラギして、聞こえてたか？カトを、エヴァはどうする？と訊いた。
『【オリオンの黒】を宇宙にアジするんでしょ？いいわよっ！
カトは私の腕の中よ、捕えてシール貼ってやった。持ち帰る』
「どこにっ？！」
『最悪って何よ？『SAMAEL』のマンチニールの林の中よ！』
聞いていた一同、ぞっとして、あああ...怖え...。と呟いた。
次にオニキスが、カナリア撤収完了。アジする。と言った。
画面で―シーガ港の離れ島に停泊していた巨大な【オリオンの黒】の姿が消えて宇宙空間の中で閃光巨大の爆発。
「何人だ...タイタンに送れなかったか...勿体ない」
画面を茫然と観ていて―モエギが言った。
「目を付けた男がホンモノのクズとはな。しかも...まあいい
悪党一掃で１から遣り直し...『クワロフス』にいいのは？」
「弱点持ってて裏切りしない、コントロール出来る
ヤツってのは、最早、クズと言わねえんじゃね？」
「罪悪感持たず悪党出来るナールは...捜すのムズイ」
「モエギ、取り敢えず穴埋めに『クワロフス』の海賊船長やってる
ヤツの誰か若いヤツを【オリオンの黒】のカシラにしろ。考えて
なかったが火急だから今は襲名ってことで。オニキス、そいつの
船を『FALCON』でグレードアップ『SAMAEL』のドローンも」
オニキスが、了解。いきなり盛沢山のプレゼント。受けるかな。と言い、モエギが、ジャックとアレキサンドルんとこ行って来る。と言って―ふたり同時に消えた。
「穴埋めね...まあ、求めよ与えられん。出会いはある」
「ああ。これでリツコの絶対安全約束されてオワリヨシ」
「あのな、ソレの元はと言えばユリウスのせいだろ？！」
「俺に文句を言うな。それぞれの生きて描きたかった人生だ」
「ああそうかい。そうだよな」
「さて、物見遊山。マンチニールの林に行くか」
ギーガが言って―そこにいたクルー数人が、ヤだ。と言った。
「何で？ここで画面で観るの？」
「そうだ。寒い。リアルに男の悲鳴なんか聞きたかない」
「ユリウスひとりで行け。エヴァとふたりキリになれる」
ギーガはポッと頬を紅潮させて、そか。そだな。と言ってこにこに笑って、そしてスーヴに、また会おう。世話になった。と言って―消えた。
「あのっここにいらした人たちはカナリア隊に
行かれたと言うこと？救出した子供たちは？」
スーヴが訊いてルチルが、それはここ。そうだね、ここからヘルプに行ったからこれが済んだら戻って来る。と言って画面のひとつを切り替えた。
画面の中ではホテルのロビーのような明るくて広いフロアに集められた少年少女たち―クルーたちがそのひとりひとりの手を取って消えて、少しずつ減って行く。
「ひとり一人を調べて元居た場所に送り届けてる
売られたコはなく皆誘拐だったからもう安心だ」
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