防弾少年団~Scream~Vo.1 | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

 

『あぁ・・・そうだったね・・・僕は君のことが好きだったんだ。』

 

『嘘・・・・・・そんな理由ないわ。』

 

Why.......?

 

『心に突き刺さる刺が痛いんだ。』

 

『私にもそれは刺さってる・・・・。』

 

『なら・・・どうして僕を受け入れてくれないんだい?』

 

『君の・・・・』

 

『僕の・・・?』

 

『君の心がどこにあるのか分からなくなったのよ。』

 

『・・・・・それだけ?それだけで・・・僕を拒むのか。』

 

『・・・・・・・・。』

 

彼女は笑わない。

 

決して。

 

僕は踊る。

 

彼女を笑わせたかったから。

 

でも・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

君は・・・甘くて、まるでチョコレートのようだった・・・

 

なのに僕にとって君は、見せかけだけの辛い辛いチョコレートだった。

 

まるで悪魔にでも魅入られたように僕の体は動かなくなった。

 

君はまるでシーツに包んだ存在。

 

君はまるでたくさんの風船を背負った目隠しの天使。

 

君はまるで・・・パイプオルガンを奏でる牧師の横で座り込み、

耳を傾けてニヤケル悪魔。

 

僕らを捕まえては離さない、彫刻の悪魔。

 

君は・・・君は・・・。

 

 

 

=====================================================================

 

 

大歓声・・・

 

たくさんの人・・・人・・・人・・・。

 

僕らは歌い、笑う。

 

最高の瞬間を過ごしている。

 

たくさんの光に包まれながら、頑張った成果を披露していた。

 

大きな箱の中はどこから来たのだろうかと思う程の目が、

ボクらを愛おしそうに

眺めるんだ。

 

あぁ・・・なんて気持ちがいいんだろう。

 

僕らの人生の大事な青春を捧げるのにふさわしいステージだ。

 

『本当に?』

 

!?

 

僕は振り返った・・・

 

こんなに高揚してる中で、そんな風に囁かれた気がして・・・。

 

最高に幸せで、最高に楽しい時間。

 

それなのに・・・。

 

どうしてあの時・・・こんなに騒がしい音の中で振り返ったのだろう?

 

叫んで、叫んだ。

 

そう、そこにいた誰もが。

 

最高潮に盛り上がりを見せたあの時・・・・

 

突然時は止まったんだ。

 

あぁ・・・実は僕はさ・・・今朝から嫌な予感がしてたんだよ。

 

今更言っても仕方ないけど。

 

「?:@&>★3!!」

 

なんだ?何か・・・歓声の中に・・・・

 

「^□$△&%×¥8=+;!ーーー!!!」

 

えっ・・・・・?

 

『はっ!!』

 

黄色い歓声から赤い歓声へと変わった。

 

僕らは何が起きたのかが分からない・・・

 

けど・・・歌は続く。

 

僕らは歌うしかない。

 

前方にいる子達だけが見えた真実は、到底考えられない

光景だった。

 

まさにその時歌っていた曲は『血・汗・涙』

 

床一面に染まった普段、僕なら使わないだろう赤い絵の具が飛び散っている。

 

はぁはぁはぁはぁ・・・・

 

僕は違う意味で息が上がる。

 

みんなもそれは同じだったけど、その人は・・・

 

その人だって、ボクらを見に来てくれたファンだった筈なのに。

 

口が『歌え!!』って言ってたんだ。

 

ステージからその人は突然消えた。

 

いや・・・僕らが正面を見直して歌い続けたから

視界から外れたんだ。

 

 

どうなった?

その人はどうなったの?

 

僕は分からないまま・・・

 

でも、ヒョンは見てた。

 

一部始終を目の当たりにしてしまった。

 

歌の途中で現れた人影。

 

僕らを輝かせるために照らしていたライトに余分に当たったのは

何か分からないけどキラリと光る刃物だったかもしれない。

 

振り上げる人。

 

歌に夢中で気がつかない僕達。

 

ヒョンは言ってた。

 

客席の椅子の背もたれに土足で登って声を上げる人を見た・・・って。

 

ヒョンが言うには楽しんで絶叫している顔じゃなかったそうだ。

 

顔面蒼白で僕らに何かを叫んでいたらしい。

 

ヒョンは客席から向かってくるその人を怖いと思ったらしい。

 

何かされる!!どうしよう!!

この日のために頑張ってきたんだ!!

ステージを滅茶苦茶にされちゃう!!

 

そう思ったらしい・・・

 

けど、違った。

 

その人は観客を乗り越え、客席から客席へとを飛び移り、

ガードマンの手さえもかいくぐって

僕らのステージ上がってきたんだ。

 

終わった・・・・

 

僕らは瞬間思った。

 

笑いたいのに、苛立ちで眉が吊上がってしまった。

 

その瞬間!!

 

はっ!!

 

後でヒョンから全て聞いた話だと、その飛びかかってきた人は

僕らを庇ったそうだ・・・。

 

同じファンなのに・・・・

同じファンなのに・・・って、ヒョンは楽屋で泣いていた。

 

もう一人の悪魔がいたんだ。

 

本物の悪魔だ。

 

いや・・・悪魔より恐ろしかった。

 

僕らを愛しすぎて自分の物にしたくて、刃物で襲いかかろうとしたらしい。

 

それに飛び出して来た瞬間、気がついた人が背中で

呪いを受けたんだ。

 

会場の後ろの人たちには一切見えなかったかも知れない。

いや、少しは見えたのかも・・・

 

でも、そういう演出?

 

そんな風だったんだろう。

 

その人は背中に刃物を受けて、襲った人を投げ飛ばしステージから

引きずり下ろしたまま消えたそうだ。

 

 

ヒョンが見たのはここまで・・・・

 

それからのことは想像がつく。

 

スタッフやガードマン達が取り押さえて、僕らを庇った人は

楽屋にひとまず運ばれた。

 

ステージをこなしつつ所々をみてしまったヒョンは

こわばったままの表情でステージを終えた。

 

だけど僕は見ていない。

 

だから、悪魔なのか天使なのか区別ができないんだ。

 

最後のステージがそれ。

 

もう、踊れないの?

 

そればかり不安がよぎった僕は子供なのだろうか?

 

震える手を握った。

 

「ヒョン・・・・。」

 

「俺・・・見たんだ。俺は見ちゃったんだよ・・・・。」

 

「何を?一体あれはなんだったの??僕はステージに夢中だったから・・・。」

 

シャワーを浴びて、重苦しい空気が流れる楽屋で僕らは着替えた。

 

廊下ではバタバタと忙しい足音と、いつになっても帰れない時を過ごした。

 

そうこうしている間に警察が来て、僕らに何を見たか聞いてきた。

震えるヒョンの手を握り締めながら、僕らは何も見ていないと言った。

 

 

ヒョン・・・・ヒョン大丈夫・・・?

 

 

誰もそう言ったと思う。

 

「大丈夫だよ。でも・・・・明日・・・明日マネージャーから

聞けるだろうから・・・今日はもう休もう・・・。」

 

そう言ってリビングを後にしたヒョンの背中がとても痛くて

何も知らないのに泣きそうになったんだ・・・。

 

 

それにしてもあの人・・・・どうなったんだろう?

 

ステージを壊そうとするなんて酷いよな。

他のファン達に申し訳ないよ。

 

あ、もう一人いたんだっけ・・・。

 

何があったの?

興奮して飛び出してきただけじゃないの?ヒョン・・・

 

そんな風にしか思ってなくて、僕は明らかにならない今日という日を

ベッドに潜り込んで曇っていく気持ちを隠すように眠った。