防弾少年団~Scream~Vo.3 | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

開けてしまった・・・

 

それは開いてはいけない扉だった。

 

だったとしても、誰にそれが分かると言うんだ?

 

わかるわけないだろ?

 

わかるわけないだろっ!!

 

叫んでも叫んでも届かない声。

 

どうして?

 

どうして声が届かないかって・・・・

 

そんなの僕が本当に叫ぶわけがないからさ。

 

だってさ・・・みんなそうじゃん。

 

ずっと心の中で思ってるだけで、声に出してなんて叫べないじゃん。

だから辛いんだ。

声に出せなくて辛い。

 

だから、届かない声。

 

だけど、みんな心で叫んでる。

 

みんな・・・みんな本当は悲しんでたんだと思う・・・・。

 

 

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あれは確か・・・

 

暑い暑い夏のあの日かな?

 

母の背中。

 

滴る汗は、暑さのせいだけじゃなかった記憶だ。

 

私は見送る。

 

声は出なかった。

 

泣きもせず、鳴きもせず。

 

ただ・・・ひたすら去ってゆく背中を見送っていた。

 

父はいなかった。

 

理由は不明だ。

 

母は、父の話を一切しなかった・・・

 

『死んだの?』

 

それさえも聞けないまま。

 

だけど、時々思うの・・・・私はどこから来たんだろう?って。

 

母の背中だと思っていたあの夏の暑い日の背中は、もしかしたら

赤の他人だったのかもしれない・・・って。

 

私は誰からも生まれてはいないのかも。

 

そう思ったら随分気が楽になった。

 

だけど、何者かもわからない自分が嫌になるとか自暴自棄になるとかは

特になく、自由に世界を渡り歩いてたような・・・。

 

遊覧船の形をした遊園地のアトラクションみたいに、最初はゆっくりと、

そしてだんだんとその揺れは大きく揺れるように、私は世界を楽しんでいるとか。

 

どの国へ行っても誰も私を気に止めない。

時々親切にされるのは遊覧船に乗って来た異国の人だから。

 

それが気楽で私には合っていた。

 

私がどんな仕事をして、どんな国に長く住んでいたか

どんな友人と楽しく笑い、どんな会話をしていたのか・・・・分かる?

 

 

・・・・・・・・・わかるわけないよね。

 

 

うん、だってこれも全て私の想像でしかないから。

 

 

私は忘れる。

また全てを・・・・

 

過ぎ去った日のことがなんだったのか今はわからないけど、

それを思い出した時にはきっと彼らを忘れてしまうのだろう・・・・

 

 

また振り出しに戻るんだろう。

 

大海原には決して出ることのできない、

そこでしか揺れることの出来ない

遊覧船。

 

例え海に出られたとしても、その姿はきっと海底で一人、大きなヒレを動かし

何処へ行くあてもなく泳いでいる鯨だろう。

 

その声は高く響いて、まるで叫んでいるかのよう。

だけどそれは心の中で叫んでいるのと同じこと。

 

私はきっとヘルツの違う鯨。

 

誰とも交われない。

 

交わったかと思ったらそれは勘違いであると、私はまた気づかされるあの寂しい鯨と同じなんだ。

 

だけど、その鯨は寂しいと思わない。

 

その寂しい声さえ誰にも伝わらないのだから・・・・

 

最初に戻るだけの人生で終わるのだろう。

 

 

何度も・・・何度もそれを繰り返すだけの・・・・。

 

 

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------------ 扉は開かれた。

 

 

 

『私は反対ですっ!!』

 

『私も・・・・』

 

『社長、得体の知れない人ですよっ?』

 

『ちょっと・・・それは失礼すぎるんじゃ・・・』

 

『じゃぁ、なんですかっ?あなたは責任取れるんですかっ?』

 

『得体の知れないって・・・まぁそうかもしれないですけど、コンサートに来て

いたんですし、社長の言うことも一理あるってことですよ。』

 

 

ここはBigHitの事務所。

 

社内では事務所スタッフと社長や関係者が集まって

あれやこれやと怒号が飛び交っている。

 

何の話か?

 

さぁ・・・?

もう扉は開いているでしょう?

 

なら、ご自分で確かめてみると良いでしょう・・・

 

 

 

『また社長にゴマすってる・・・・』

 

『聞こえてますが、私は正論を言ってるつもりですが。

ならあたなたはどうすると?』

 

社員達の声はなかなか収集がつかない状態だった。

 

そこへ彼らのマネージャーも呼び出されているのだが、

まだ到着していないようだ。

 

みんながそろそろ言い尽くしていると、社長が重い口を開いた。

 

「みんなの言うことも合っている。確かに彼女は得体の知れない人間だ。

しかもコンサートに来ていたのだから、ファンだという確率はかなり高いだろう・・・

しかし、考えても見ろ。彼女は今や彼らのことなど何も分からないんだぞ?」

 

「ですが社長っ!!それが嘘だったらどうするんですっ??

あることないことSNSで流されたり、内部写真とか流出したりしたらっ!!?

リスクが高すぎます!!」

 

ある社員がそう言うと、社長は腕組みをして、少しの間を開けると、

さっきの穏やかな表情を一変させた。

 

「なら、君が面倒見てくれるのか?身寄りのない人を警察に渡して俺たちは

それっきりでそっぽ向くのか?彼女は命の恩人だということを忘れていないのかい?」

 

社長の睨みはまるで蛇だった。

 

「そっ・・・そんなことはっ・・・でもっ!!」

 

「君はさ・・・まぁいい・・・私に逆らうなとは言わないよ。でもね?

もしも君が何も分からなくなった時、唯一助けて欲しいと願った人たちから

見捨てられるような事を言われたらどう思うんだい?

これは社会貢献と同じなわけじゃない。うちだって、いいかっこしいをしたいわけじゃないんだよ。」

 

ガチャッ!!

 

Mヒョン「すみませんっ!!遅れましたっ!!」

 

マネージャーがようやく事務所に戻ってきた。

 

社長「大丈夫だよ。あいつらは大丈夫なの?」

 

Mヒョン「あ、はい。スケジュール通りにと言ってありますので、他のマネージャー達と向かってます。」

 

社長「そうか・・・で、どうだった?彼女の様子は・・・。」

 

Mヒョン「はい・・・何も聞いてなかったので、正直驚きました・・・」

 

社長「それで?」

 

Mヒョン「はい・・・大変申し訳ない気持ちになり・・・・すっっすいませっ・・・・・。」

 

マネージャーは声を詰まらせる。

 

彼女に会って・・・・

そりゃ申し訳ない気持ちにはなるだろう。

 

彼らを守って怪我をしたのだから。

それに頭を強打したって?

 

事務所のスタッフ達は彼女の元へ行ったわけではないので、

全くピンときていない。

 

申し訳ないとは思うけどだからって・・・?

 

それが社員達の思いだった。

 

それどころか社長の意見に信じられないとでも不満げな態度。

 

不信感は最高潮に達している中、社長はマネージャーにそのまま

問いただした。

 

社長「君、見てきたんだろ?」

 

社内が少しざわつく。

なんのことだろうかと・・・

 

Mヒョン「はい・・・。」

 

社長「今、彼女の今後について俺が話したんだが、この有様だよ。」

 

Mヒョン「え・・・今後に・・・ついてですか?」

 

社長「そうだ。俺も勿論彼女に会いに病院へ行ったよ。

   色々考えたんだが、俺は彼女にあいつらの面倒を見てもらおうと思ってる。」

 

Mヒョン「・・・社長っ・・・・。」

 

マネージャーはその言葉だけで、社長の考えを読み取った。

体が震えるような感動にも似た気持ちで、嬉しいと涙顔で声を詰まらせた。

 

社長「お前さ、説明してやってよ。彼女のこと。」

 

Mヒョン「えっ!僕がですかっ?・・・・そうですね・・・分かりました。」

 

マネージャーは一瞬ためらったものの、

病院で過ごす彼女の様子を話し始めた。

 

 

Mヒョン「彼女は最初・・・眠っていました。彼女は背中に怪我を負っています。

     その傷は大した怪我ではないと先生はおっしゃっていましたが・・・

     女性なのでやはり可哀想な気持ちになりました。それよりも大変なことがあると

     言われたんですが、頭を強打したために僕が行った時には

     まだ目が覚めていなかったんです。」

 

『それとこれが何が関係あるの・・・?』

 

『そりゃぁ・・・大変なことだったと思うよ?申し訳ないともさ・・・でもねぇ・・・?』

 

社員たちのヒソヒソ声が聞こえて来るも、マネージャーは社長と目が合い、

頷いた姿を見て、小さく深呼吸をすると、また話し始めた。

 

Mヒョン「僕はしばらく色んな線に繋がれた彼女を見守っていました・・・

     起きるかどうかも分かりませんでしたが・・・。何時間経っても彼女は

     目を開けようともせずただひたすら呼吸をしてました。

     僕はマネージャーとして本当に彼女に感謝してます・・・・あの子達を

     守ってくれたのですから。

 

     もしも、彼女がいなかったら、きっと今頃ここにいるのは誰だったのかなって・・・

     長い時間椅子に座ってると、いろんなことが頭に浮かびました。

     

     もう、防弾少年団は終わりなのかなとか・・・誰かの変わりなんて無理だとか

     残った子達だけで続けたとしても、あの子達が本当の事を知ったら

     どんなに胸を痛めることかとか・・・本当に色々考えてました。

 

     でも・・・・。

 

 

 

いたいけな時間が流れる。

事務所に流れていく時間は、まるでそこにMヒョンだけしかいない空間で、

一人で語っているかのよう。

 

それでもマネージャーは語り続けた。

 

 

Mヒョン「でも・・・・僕は数時間経って、ようやく気がついたんです。僕は口で・・・

     言葉だけで彼女への感謝を伝えるだけでいいんだろうかって。

     何も出来ないのは分かっています。目を覚まさないのですから。

     だけど、考えました。普段回らない頭をフル回転させて考えたんです。

 

     あれ・・・待って。僕は自分の体裁だけを考えてた?って。

     なんだっていい・・・彼女がしてくれたこと、少しでも返せないだろうかって思いました。

     それで・・・持っていた携帯にイヤホンを差して、彼女の耳へ入れました・・・・。」

 

 

『だからそれがどうしたっていうの?』

 

『話し・・・長いよね・・・。』

 

そんなヒソヒソ声しか聞こえてこない。

 

社長はその声にしびれを切らしそうになっている。

こんな奴らしかいないのか・・・と。

 

しかし、この世の一部にはこんな奴らが必ずいるもんだ。

 

 

こんな奴らがいてありがたいとさえ社長は思うのだった。

なぜなら、くだらない考えでしか人を見る目がない奴らのお陰で

自分の足元がまだ明るいもんだと気づかされるからだ。

 

まだ自分には、人の心があったな。

 

まだ俺も捨てたもんじゃなかったな。

 

さらに一部の人間にも同じだろう。

その一部は社長と同じように考える者だ。

 

 

これだけ人数が集まれば末端までは見れないのが現状だ。

 

それは仕方なのないこと。

嘆いても仕方のないこと。

 

長くこの世界にいる社長には分かり切っていることだから、

冷静に話を聞ける度量があるのだろう・・・・

 

若い故の浅い考えも、仕方のないこと。

 

完全なる間違えでもない。

 

ただ・・・・そうしたくないだけの心の置き所の差なのだろう。

 

そんな風に社長はマネージャーの声を聞いていた・・・。

 

 

Mヒョン「僕は・・・防弾少年団の曲だけをたくさん流したんです。

     きっと聞きたかったのは彼女だろうって・・・・

     なんとなく思ったらいてもたってもいられなくて

     彼女にせめて目を開けて欲しいという願いで・・・・。

 

     僕は気づいたらうたた寝をしてました・・・。

     気づいたら・・・数時間も経っていて・・・。

     携帯の充電はっ!!って、目を開けた瞬間に思って

     僕はハッとして飛び起きたんです。」

 

 

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空は青く。

 

同じ太陽の下で。

 

空は青く。

 

 

信じる風の先には同じ答えが・・・・

 

 

きっと信じて待つ僕らを君にずっと見ていて欲しかった。

 

どんなに離れていたって、僕は君を胸の中でずっと抱きしめてるんだ。

 

ずっと・・・繋がってるって、信じてるから・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

                  
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