渋谷区の小学校には秋休みというのが存在する。

そんな平日の午前中を利用して、家族みんなで東京は田無にあるハーブ農園「ニイクラファーム」さんを訪ねた。

 

 

シェフである夫は、3年前に一度来たことがあり、一緒に同行したカーサベッラのソムリエ兼マネージャーである須田も以前来たことがある。私と子供たちは初めて。

 

 

子供たちもいることもあって、この日は車を借りて伺ったのだが、都内の道は混んでいることを身をもって体感。1時間ちょっとかかってしまった。やはり、電車で来た方が断然早かったとちょっと後悔。

 

 

ご自宅の裏手に広がる畑には、今では150種類以上にも及ぶハーブが至る所に植わっている。自家消費用の野菜や果物も所々にあり、東京とは思えない空間。

 

まず驚いてしまったのが、自家消費用として植わっているキウイ。

なっているところを見たのは初めて。

木にこんなにもたわわに実るとは思っていなかったので、驚く。

 

 

 

 

 

新倉大次郎さんがお忙しいお仕事の合間に、懇切丁寧に畑を隅から隅まで案内してくださった。

 

 

アップルミント

ベルガモットオレンジミント

スペアミント

ブラックペパーミント

 

ミントと一括りにしても、こんなにも香りや雰囲気が異なるものかと驚いてしまう。

 爽やかなミントの香りがこれほどまでに個性的とは思わなかった。

ブラックペパーミントは特に見た目もカッコいい。

 

 

 

 

可愛らしい黄色の花をつけているのは、ルーコラセルバティカ。

葉はもちろんのこと、花も種をつける房の部分も全て食べられると言うからびっくり。

 

 

昔からルーコラ好きな私だけど、初めて見る可憐な小さな黄色の花がたまらなく愛らしく、ちょっと摘んで口に含んだ時の食感に改めて感激。

やっぱりルーコラは贔屓してしまうハーブの1つ。

 

 

 

とっても珍しかったのが、ホワイトジンジャー。

生姜の仲間だけど根っこを食べるわけではない。

ハワイでたくさん見かける「花しょうが」とのことで、ハワイ語では「アワプヒ」。

 

プルメリアよりも甘さが控えめの爽やかな香りで、お花も食べられるとのことで、少し味見させていただくと、シャリシャリとした食感と清涼感溢れる香りがなんともたまらない。

 

 

イタリアンを営む私たちには馴染み深いイタリアンパセリやバジルを少しずつ収穫させていただきながら、少し歩いたところにあるローズマリーがたくさん群生する畑へ。

 

10年ものの若木と40年近い古木のローズマリーを一挙に比較して香りや雰囲気を見比べたのは初めてのこと。

 

ワインのようにヴィンテージを意識してみると、こんなにもハーブでも異なるのかと驚きの連続。

 

若い木のものはやはり野性的で香りが強く威勢の良い伸び。一方少し年代物のローズマリーは香りがマイルドで色気がある。まるで人と同じ。

 

白、薄いブルー、薄いピンクと異なる花の色をつけるローズマリーをこんなに一度に見たのは初めてで嬉しくなる。

やっぱりローズマリーの香り、好きだなと実感。

 

 

 
新倉ファームさんの土はとてもふかふかで柔らかい。
それは水捌けを良くすることで、ハーブが生息しやすいように配慮されてのこと。
 
ふかふかした土はとっても気持ち良い感触で野菜畑とは全く異なる感触で印象的だった。
 
新倉さんのお父さんがその昔、お子さま(新倉大次郎さんご自身)が生まれた頃、八百屋が主流の時代にスーパーを卸先として開拓されたことが野菜作りからハーブ作りへと転換したきっかけに。
 
当時のスーパー西友のトップ堤氏がハーブの時代がやってくることを予見し、新倉さんに生産をご依頼する運命が、今へとつながっている。
 
その後、スーパーから外食文化へと時代が移り変わり、日本のフレンチやイタリアンなどのグルメブームから直接レストランと取引し、レストランを下支えするハーブ農園へ。
 
あの、フレンチの巨匠、三國シェフも年に数回訪問されるニイクラファーム。
 
2月に夫婦で訪れたオテルドゥミクニのメニューに記載される「新倉さん」の名前を見た時、胸が熱くなった。
 
そして、私たちももっと生産者さんに焦点を当てた料理を考えていけたらと改めて思ったのだ。

 

そんな想いも重なっての訪問。

時代の変遷とともにハーブ作りの最前線にいらした新倉さんからたくさんの熱い想いをお伺いし、もっともっとレストランとしてできることがあると刺激をいただいた。

 

この感謝の想いをレストランで体現し、恩返ししていきたい。