いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

いっさいの死

2019-09-08 22:15:22 | 短歌


いっさいの死は批評すること勿れ傷ましともまして無責任とも
                     「風位」  永田和宏



詩 ある墓碑銘

2019-09-02 22:57:13 | 


ある墓碑銘

一生を棒に振りし男ここに眠る。
彼は無価値に生きたり。
彼は唯人生に遍満する不可視の理法に
貫かれて生きたり。
彼は、常に自己の形骸を放下せり。
彼は詩を作りたれど詩歌の城を認めず。
彼の造形芸術は木材と岩石との構造にまで
  還元せり
彼は人間の卑小性を怒り、
その根元を価値観に帰せり
かかるがゆえに彼は無価値に生きたり。
一生を棒にふりし男ここに眠る。




詩 風景

2019-09-02 22:46:31 | 


風景

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしゃべり
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな







詩 郷愁

2019-09-02 22:34:56 | 


郷愁

蝶のような私の郷愁!……蝶はいくつかの垣を超え、午後の街角に海を見る……。わたしは壁に海を聴く……。私は本を閉じる。私は壁に凭れる。隣の部屋で2時が打つ。「海、遠い海よ!と私は紙にしたためる。-----海よ、僕らの使う文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、フランス人の言葉ではあなたの中に海がある。」







詩 我が友よ

2019-09-02 22:24:01 | 


我が友よ

独立せるわが友、
淋しいであろう。
だが耐えてくれ!
そうしてあわよくば
そうしてあわよくば
笑ってくれ。
勝利者の笑いを!
立っていてくれ、
しかし立てないならば
はってくれ、ひとりで。
そうして立てるときが来たら
立て!
わが友よ。
起き上がろう、
起き上がろうとする、
踏みにじられた草のように。
わが友よ。

そうして生まれたことを、
笑ってっくれ。
死ぬときも、
しがみつきつつも、
生まれたことを呪わないでくれ、
わが友よ。

















詩 火を

2019-09-02 22:20:51 | 


火を

日常生活の内に
火を。

人間の心の内に
火を。
たえざる火を。

詩 髪を洗う女

2019-09-02 22:11:19 | 思い出の詩


髪を洗う女

水道の水はとめどもなく
あの人の金遣いに似て流れる
洗い粉の手触り冷たく
返した人の後ろ姿がなぜかしょんぼり気にかかる
風呂に漂う名も知らぬほのかな匂いは
たよりないような、あるような
ついこのごろの、されば、人のそぶりか
むしゃくしゃ腹に髪を洗えば
髪さえ痩せて櫛もすべりぬ
大河で鳴る汽船の笛が
ふいと消えればどうやら涙が
どうやら涙がにじみ出す

わが幻覚のあやしさよ
浜町河岸の夏のあさ












淡く深い友情

2019-09-01 23:02:35 | 人生


今日の午後、
2人の知人と会った。
ひとりは女性で、楽しく趣味に生きている。
活躍が楽しみだ。
もうひとりは男性で、思想を追求する哲学者である。
趣味に生きる女性と話していると、
自分の関わり方が、
淡く
そして
深く
なっているのに気づいた。
自らのことは、
多くを語らず、
相手の話に深く耳をかたむける。
淡い、
表面的な交わりだが、
相手の深みに触れていることを感じた。

哲学者とは、
お互い、手を挙げただけだが、
表情から、変わらぬ深い哲学探求を続けていることが感じられた。

人は、変わる。
いかようにも。







身に突き刺さる言葉

2019-09-01 22:48:26 | 人生


今日から9月だ。
今は、一斉に各学校で2学期が始まるとは言えない。
国の方針で、授業日を各学校に大幅に委ねているからだ。
良し悪しは別として、教育の多様化が進んでいる。
以前は、9月1日が「魔の日」と呼ばれた。
各学校が一斉に休み明けとなり、
それもあって、
子どもの自殺の多い日であった。
学校教育の役割も、劇的に変わった。
「ひとつの教育機関」として、
その存在意義を主張しなければならなくなった。
が、
子どもの姿が多様になっただけ、
よけいに学校教育への要求水準も高まっている。





わたし歩けば人に当たる

2019-09-01 22:32:12 | スポーツ


夕食を終えて歩いていると、
旧知の女性に会った。
ちょっと、色が黒くなり、髪型が変わっていた。
オリンピックのボランティアを志願しているという。
結構難関で、多くの人に推薦してもらわないと、
応募できないという。
美容師さんだの
英会話の先生だの
色んな人に推薦を頼んだそうだ。
5件応募したとのことなので、
当たるかもしれない。
わたしは、そんなにボランティアが大変だたとは知らず、
もうすぐオリンピックだなあ、
と漠然と機が熟したことを思っていた。

「君のボランティア姿を楽しみにしているよ」
と言って、別れた。

明日は、地元でボランティアだ。