キャラの書き分けは、ある程度文章力が上達してくるとぶち当たる壁となります。
文章力の乏しい人は、セリフ文のあとに『○○は言った』などとわざわざ付け足すので気づかないものですが、それをなくさなければいけないと気づくと、じゃあどうやって書き分ければいいんだと悩みます。
例えば、男女が会話をしていたら、話し方でどちらの発言かを把握することは容易です。
しかし、一ヵ所に5人もの女の子がいたらどうでしょう。
地の文での補助もなしに読者に理解させる必要があります。
そこで注目するのは、話し方と人の呼び方です。
基本的に文字だけで構成されている小説からは、感情が伝わってきにくいもの。
しかし、完全に伝わらないわけではありません。
A:「やだな~、そんなんじゃないですってば!」
B:「違います。変なこと言わないでください。失礼ですよ?」
C:「ああ? ちげえよ。うっせえなあっ」
D:「ち、ちがいますっ…………その……誤解です…………」
すべて同じシチュエーションをイメージして書いてみました。
Aは活発系の好印象女子
Bは堅物系女子
Cは不良系女子
Dは内気な女子
口調が簡単にイメージできるように、少し大げさなくらいに書けば違いがハッキリと表れます。
しかし、状況がお葬式だったらどうでしょう。
暗い空気となり、活発な女の子も口調が沈んでしまいます。
そうなれば、場合によっては堅物系女子と口調が似てしまうこともあるでしょう。
または物語後半で、内気系女子が成長して、ハッキリとした喋り方になることだってありえますね。
間違えそうなセリフが一つ二つ程度であれば、地の文で説明すれば済みます。
でも、そういうわけにもいかないですよね?
極端な例として女性キャラを挙げましたが、一番差別化に困るのは男性キャラです。
主にヒロインが目立つラノベでの男性キャラは、○○系という分別をあまりせず、主人公との関係性で区別させます。
そこで手っ取り早く区別させるのが、名前の呼び方です。
三田太郎(みたたろう)というキャラがいたとします。
三田
三田君
三田さん
三田ちゃん
太郎
太郎君
太郎ちゃん
三ちゃん
みたろう君
あるいは先輩、坊主など
こんな安直な名前でも、これだけの呼び方があります。
三田をサンタと呼ばせることだってできます。
それらしいあだ名をつけてもいいでしょう。
簡単だと思いませんか?
たとえ口調が同じでも、呼び方を変えるだけで誰でも把握できるようになるんです。
こういう話題になると、語尾やら口調やらを大げさにすればいいのではないか、と思う人が出てくると思います。
いわゆる、「とある魔術の禁書目録」みたいな感じですね。
『とある魔術の禁書目録』から学ぶ、キャラの特徴付けと多様性
やめましょう。
禁書目録はうまい具合に嵌っていますが、通常、言ってみればキモイ口癖なり語尾なりを量産したところで、この作品の登場人物はキモイと評価されて終わりです。
作品を通してのバランス調整が難しいと思います。
土御門とラストオーダーみたいなキャラがたくさんいることを想像してみてください。
極端だと思いますか?
でも、勘違いしてそんなキャラを量産する人は決して少なくないんですよ。
使うなと言っているのではなく、それに頼るのはやめましょうということ。
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