猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

モーリタニアン 黒塗りの記録

2021-11-12 22:56:05 | 日記
2021年のイギリス・アメリカ合作映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」
を観に行った。

弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)と部下のテリー・ダ
ンカン(シャイリーン・ウッドリー)は、モーリタニア人青年モハメドゥ・ウ
ルド・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。アメリカ同時多発テ
ロに関与した疑いで逮捕された彼は、裁判すら受けられないまま、拷問と虐
待が横行するキューバのグアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていた。
真相を明らかにすべく調査に乗り出すナンシーたち。一方スチュアート・カ
ウチ中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)は「グアンタナモに収容中の敵戦
闘員を、9.11の戦争法廷で裁け」という大統領命令を受け、政府が死刑第1
号にと望むモハメドゥの起訴を担当することになった。スチュアートはハイ
ジャックされた機の副操縦士だった親友の無念を晴らそうと意気込んでいた。
だがナンシーとスチュアート双方が正義を追求していくうちに、恐るべき陰
謀によって隠された真実が浮かび上がる。

実在の人物モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記に基づく実話映画。アメリカ
同時多発テロから2ヵ月後の2001年11月、モーリタニア人のモハメドゥは
ある晩現地警察に連行され、そのまま米国政府に捕らえられた。2005年2月、
ニューメキシコ州の人権派弁護士ナンシー・ホランダーは「不当な拘束だ」
として無償でモハメドゥの弁護を引き受ける。時を同じくして、海兵隊検事
のスチュアート・カウチ中佐は拘留中のモハメドゥを起訴することを要請さ
れる。スチュアートは、友人であった副操縦士が乗っていた飛行機をハイジ
ャックしたテロリストをリクルートしたのはモハメドゥだと聞かされ、決意
を燃やす。
映画はモハメドゥ、ナンシー、スチュアートの3者の視点から進行していく。
グアンタナモ収容所って名前は聞いたことはあるけど、あんなにひどい所だ
ったとは。モハメドゥは連日の拷問により疲弊していく。拷問のシーンを見
るのは耐え難く、モハメドゥの全身についた傷が痛ましい。モハメドゥは自
分は何もしていないと言い続けているのにも関わらず、何年も地獄のような
日々を送ってきたのだった。それぞれ捜査に着手したナンシーとスチュアー
トだが、政府にモハメドゥの供述調書の開示を要求するも、開示された記録
文書は大半が黒塗りで消されており捜査は難航する。
テロリストを擁護するつもりは全くないが、「アメリカの闇」というものを
見せられた気がした。収容所を本国から離れたキューバに作ったのも、アメ
リカ政府の思惑があってのことだった。ナンシーとテリーは何度もモハメド
ゥに接見するうち、次第にモハメドゥの人柄に触れていく。しかしテリーは
モハメドゥの供述調書の自供している部分を読み、彼はテロリストだと言い
出す。ナンシーは「それでも弁護を受ける権利はある」と言い、感情的にな
っているテリーをこの案件から外すのだった。2008年、ワシントン連邦地
方裁判所へ赴いたナンシーは、「9.11を忘れるな」と叫ぶ民衆に囲まれる。
そうなるのも仕方のないことだろうなー、と思う。
ナンシーとスチュアートはやがて真実に辿り着くが、スチュアートは「良心
に則り、そしてキリスト教徒として、モハメドゥを起訴することはできない
」と上司に告げると解任されてしまう。ジョディ・フォスターとベネディク
ト・カンバーバッチの演技が素晴らしい。2人とも実力派大スターなので安
定した素晴らしさなのだが。この2人の共演というだけでも観る価値はある
というもの。タハール・ラヒムの繊細な演技も良かった。親しくなった囚人
(顔を合わせたことはなく、話しただけだが)が自殺したと知ってショックを
受けるシーンは印象的だった。アメリカ同時多発テロが起きた時、普段はほ
とんどテレビを観ない私だがテレビの前から離れられなかった。あの時のこ
とは忘れられない。実話を基にした1級品の社会派サスペンスだった。




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4 コメント

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Unknown (いごっそう612)
2021-11-13 05:53:10
実話ベースというのは興味深いですね。
グアンタナモ収容所、僕は知らなかったのですが、この映画を観て勉強してみたいです。恐ろしいところのようですね。

ご紹介ありがとうございました。
モーリタニア人・・・知らない国ですね。 (ウラジーミル・アスポン)
2021-11-13 10:38:42
モーリタニア人??あんまし、聞いた事のない国なのですが…。
アメリカ同時多発テロというと、「9.11」の事ですよね。
もう、記憶がかなり薄れてきました。
これって、モハメドゥの手記も存在するし、実話にもとづく映画なんですね。

あの「9.11」は、自爆テロなので、直接の犯人は死亡でした。
関与した疑いって事なので、モハメドゥは、少なくとも実行犯ではないですね。

今の時代でも、ここまでの犯罪に関与した事を疑われたのでは、
人権意識の超うるさいアメリカでも
やはり拷問とかあるんですね。
全身に傷がつくまで拷問とは、人権意識強い時代としては結構、キツイですね。

テロリストと疑われた人にも弁護士がつくだけマシなのでしょうね。

収容所をキューバにしたのは心おきなく拷問する為でしょうね。
アメリカだとあまり拷問できないですね。

南米は、法があって無いようなそんな場所。
メキシコなんて未だに文盲で字もかけない人もいます。

罰したい気持ちの強い世論があるから
モハメドゥを起訴しないと言えば、上司が気にいらないのも分かります。

そういえば「9.11」で、近所の留学を斡旋する会社が潰れ、気の毒でした。
又、私も珍しく海外旅行の予定があったけど、
ツアーが中止になりました。空港はテロに狙われやすく危険ですからね…。
Unknown (杏子)
2021-11-13 21:12:06
>いごっそう612さん
コメントありがとうございます。良かったですよ。
ジョディの髪型が似合ってないなー(老けて見える)と思っていたら、本人の髪型に似せてたんですよ。
ナンシーもスチュアートも実在の人物です。
現在上映中ですので機会があれば是非!o(^-^)o
Unknown (杏子)
2021-11-13 21:34:05
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。モーリタニアはアフリカにあるイスラム教国で、
アラブ系の人が多いようです。
私も名前を聞いたことがあるな〜、程度ですが。
9.11はもう20年前ですが、私は「戦争が始まるだろうな」と思って怖かったです。

モハメドゥ、ナンシー、スチュアート、皆実在する人物で、映画の最後に本人たちの映像が出ます。
モハメドゥは実行犯ではなく、テロリストたちを集めた首謀者として捕まったようです。
裁判も受けられずに何年も虐待され続けていたのはひどいし、
無償で弁護を引き受けたナンシーも立派だと思います。

おっしゃるようにキューバに収容所を作ったのは拷問のためでしょうね。
アメリカは民主主義だと言いながら、結構裏では色んなことをしてますよね。
ラストはとても感動的で、この映画、観る価値ありますよ!

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