猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

プライベート・ライアン

2023-03-06 19:53:37 | 日記
1998年のアメリカ映画「プライベート・ライアン」。

1944年。連合軍はフランスのノルマンディー海岸に上陸するが、多くの
兵士たちが命を落とした。激戦を生き延びたミラー大尉(トム・ハンクス)
は、最前線で行方不明になった落下傘兵ジェームズ・ライアン二等兵(マ
ット・デイモン)の救出を命じられる。ライアン家は4人の息子のうち3人
が相次いで戦死しており、軍上層部は末っ子のジェームズだけでも故郷の
母親の元へ帰還させようと考えたのだ。ミラー大尉と彼が選んだ7人の兵
士たちは、1人を救うために8人の命が危険にさらされることに疑問を抱
きながらも戦場へと向かう。

スティーヴン・スピルバーグ監督が、第2次世界大戦時のノルマンディー
上陸作戦を題材に、極限状況に置かれた兵士たちの絆と生き様を描いた戦
争ドラマ。とても有名な映画だが観たことがなくて、この度初鑑賞した。
タイトルの「プライベート」というのはアメリカ陸軍の階級名称で、原題
の「Siving Private Ryan」は「兵卒ライアンの救出」という意味。
壮絶な戦闘の後、ノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍だった
が、ドイツ国防軍の激しい迎撃にさらされ多くの戦死者を出してしまう。
そんな中、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル(ハーヴ・プレスネ
ル)の元に、ある兵士の戦死報告が届く。それは出征したライアン家4兄弟
のうち3人が戦死したというものだった。残る末子ジェームズ・ライアン
も「敵地で行方不明になった」という報告が入り、マーシャルはライアン
を保護して本国に帰還させるように命令する。
とてもおもしろかったのだが、170分という長さや衝撃的なシーンの多さ
から、観て非常に疲れる映画だった。戦争映画は割と観ている気がするが、
ここまで戦争のリアルさを描いた作品はそうないかもしれない。もちろん
私は戦争のリアルを知らないのだが。ノルマンディー上陸作戦も名前だけ
は知っていたがどういうものかは知らなかったので、調べた。最初の方で
腕を吹き飛ばされた兵士が、もう片方の手でその腕を拾うシーンや、内臓
がほぼ出てしまっている兵士が「ママ…」と言っているシーンはグロテス
クで悲惨だった。
ミラー大尉役のトム・ハンクスの演技が素晴らしい。ミラー大尉は以前の
経歴を公表しておらず、謎多き人物なのだが(兵士たちの賭けのネタにさ
れるほど)、次第に告白していく過程がおもしろく、特にジェームズ・ラ
イアンとの会話は胸に残る。この作品の当時20代だったマット・デイモ
ンもかわいく見える。ミラー大尉が選んだ救出メンバーも戦死していき、
どうしてこんな犠牲を出してまでライアン二等兵を助け出さなければなら
ないのだろう、と思って観ていたのだが、当時のアメリカ陸軍には「兵役
により戦闘任務に参加している家族が複数人戦死した場合、最後に生存す
る息子を保護する」という「ソウル・サバイバー・ポリシー」制度があっ
たのだという。だから3人の兄が戦死しているジェームズは、絶対に助け
なければならなかった。
そんな制度のことは知らなかった。でも息子4人が出征して、3人も戦死
してしまった両親の悲しみはいかばかりだったろうかと思う。そしてど
この国にもそんな親たちはいたのだろう。冒頭で老人になったジェーム
ズが墓参りをして涙を流すシーンがあり、それはラストシーンからつな
がっているのだ。その流れはとても感動的だった。この世から戦争がな
くなることを心から願う。




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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (warincafe2010)
2023-03-07 20:15:47
こんばんは🌙😃❗

トムハンスクの演技がとても印象に残る映画でしたね😊😊

確かにおっしゃる通り現実世界から戦争はなくなって欲しいですね😊😊

記事を読んでみて…映画をみた感想というか?なんて言えば良いのでしょうか?
その観た映画のことを書くのも面白いかも?と思いました。

今観ている時のことを書いて残しておくと、数年先や全然違う環境におかれている時に観た感想って変わるのかなぁ?🤔とか思ってしまいました😊😊

いつもありがとうございます🙇🙇😊😊
Unknown (まかろん)
2023-03-07 21:08:09
杏子さん今晩は。
いつも杏子さんの映画説明にいろいろ教えてもらってます。

この映画は知っているけど、観たことがないです。

戦争描写がそんなにリアルなのですね。

私は昨今の世界情勢で、
ただ平和だけ口にしていればいいわけじゃないぞ、
と思っている人間ですが
(虐待を受けて育ったので、黙って耐えていても暴力は止まらない、ということを知っているのです)

しかし、

実際の殺戮の悲惨さを、自分は
どれだけ知っているのかとも思います。

それを知ってなお、戦おうと言えるのか、と。

なかなか映画に時間が取れないのですが、
一度観てみたいと思いました。


杏子さんのレビューを見ると、
しょっちゅうこれ観たいと思わされてしまいます😅

またの記事を楽しみにしています🌸
Unknown (杏子)
2023-03-07 23:50:02
>和輪さん
コメントありがとうございます。トム・ハンクスの演技良かったですね。
でもミラー大尉が連れて行った7人の兵士たちもそれぞれ個性があって印象に残りました。
悲惨な映画でしたね…ロシアも早く戦争やめて欲しいです😢

私のブログは何というか…観た映画をなるべく忘れないための
備忘録といいますか。
あ〜こんな映画観たな〜と記録として残しています😊

確かに数年経って同じ映画を観た時、感想も違ってくるかもしれませんね🤔
Unknown (杏子)
2023-03-08 00:04:47
>まかろんさん
コメントありがとうございます。お役に立てて嬉しいです😊

私もこの映画、昔から気にはなっていたけど観てなかったんですよね。
戦争描写はとてもリアルです。
悲惨ですが、ラストシーンは感動的です。
170分はちょっとキツかったですが、観て良かったと思いました。

私も虐待を受けて育ちました。アダルトチルドレンというやつですね。
まかろんさんもそうだったのですね…
でも子供の時は黙って耐えるしかないんですよね。
抵抗感できないですよね。理不尽です。

私の記事がいつも何かしらの参考になっていたら幸いです🤗
今晩は (oyajisann)
2023-03-08 19:53:14
私が幼き頃の戦争映画(洋画)はドイツ悪い米軍頑張れの映画がほとんど。
その傾向がベトナム戦争以後変わって来て・・・。
本作品も流石スピルバーグ一筋縄ではいかない戦争映画。
そしてトムハンクスはジャックニコルソンと共に何を演じても名演になる俳優さんと思います。
Unknown (杏子)
2023-03-09 00:32:51
>oyajisannさん
コメントありがとうございます。ベトナム戦争を題材にした映画はそんなに観てないですが、
アメリカを批判したり元兵士のトラウマを描いた作品がありますね。

私もやっぱりスピルバーグ監督はすごいなあと思います。
トム・ハンクスもジャック・ニコルソンも名優ですね。特にジャック・ニコルソンは
悪役、そうじゃない役、どちらも素晴らしいと思います。
仰天の制度。 (ウラジーミル・アスポン)
2023-03-09 23:55:38
プライベートライアンは聞いた事あるけど、
戦争映画だし、あまり花が無さそうなので、見る気せず、
見た事は無いですが、
こうして映画解説されると、そこそこ面白そうです。


アメリカは兄弟のうち何人も死んだ場合、
一人の生き残りは何としても救おうという考えがあったとは、凄いです。
戦争で子供を奪われる親の哀しみにずいぶん配慮してますね。

日本なんか子供が死んでも名誉の戦死と思え!と
国民に、悲しみの感情まで押し殺すよう強制して実に最悪です。

でもジェームズ・ライアン救うために他のメンバーが危険にさらされるのもどうよ・・・って思いますね。
他の人にも悲しむ家族はいますね。
ミラー大尉の疑問は当然ですね。

腕を吹き飛ばされた兵士が、無事な方の
腕で、もう片方の腕を拾うシーンは凄いですね。

内蔵がほぼ出てる兵士の喋る姿もエグイですし、
戦争はホラー映画と違って、それが現実なので
より怖いですね。

なお、ライアンの生き残り救うために救出メンバー
死ぬのは、辛いですね。
アメリカ陸軍独特の制度で、助かったジェームズ・ライアンは、
そこまで犠牲にして救われても辛くないでしょうかね。

老人になるまで生きたので、ジェームズ・ライアン救う為に
犠牲になった人も救われますね。
墓参りは自分を救う為に犠牲になった兵士への墓参り
でしょうかね・・・。
Unknown (杏子)
2023-03-10 09:28:59
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。私もこの映画、タイトルだけは前から知ってましたけど、
あまり積極的には観る気がなかったです。
でも、観て良かったと思っています。

びっくりしますよね。米陸軍にそんな制度があったのか、と思いました。
おっしゃるように日本と全く違いますね。日本は名誉の戦死…
名誉なんかいらないから、無駄に死にたくないです。
何しろ特攻隊があった国ですからね。

考え方が根本から違うんですね。
宗教的なものとかも関係しているのかもしれませんね。

本当に描写が悲惨で衝撃的です。
生きているかもわからないライアン1人を救うために
8人の兵士が犠牲になるかも…ってやっぱりどうなのこな、と思いますね。

ミラー大尉はそこまでして助けられたライアン自身が辛いのでは、と
それもちゃんと考えてるんです。
ラストとそれにつながる冒頭のシーンは本当に感動的です。

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