競売の物件をローンを利用して落札するとき | 愛媛県松山市の司法書士事務所、山岡信己のブログ

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最近めいっぱい寒くなりましたね。
近所の薬局で安売りの缶コーヒーを買う時、コールドしか無いのがたまにキズです・・・。

今日は、民事執行法82条2項の申出についてまとめてみました。
競売の物件をローンを利用して落札する時のお話です。


■競売の物件をローンを利用して落札するときのお話。
不動産強制競売や不動産担保権実行などで、競売に出されている物件であっても、
ローンを利用して買うことができます!
この際は、金融機関と打ち合わせしている段階で、競売物件を買うことと、金融機関の支店と担当者を司法書士へお知らせください。
金融機関担当者からの依頼の場合も事前連絡については同じです。
なお、競売物件の代金納付後はこのローンの制度は利用できませんので注意が必要です。


■まず最初に。
競売の物件を落札した場合、代金納付した時に所有権が移転します。
これでは、ローンを利用しようとしても、担保の設定が所有権移転の後日になってしまうことから、融資をすることが困難です。
後日では、確実に第一順位の担保権を設定できないためです。



■ではどうするか
そこで、所有権の移転と、担保の設定を同時にすることが出来る手続があります。
これをするには、
民事執行法82条2項の申出書を作成し、添付書類と共に裁判所に提出します。
すると、所有権移転と担保設定を連続で申請できるので、金融機関はローンを組んで融資できるようになります。



■どんな書類?

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                                        平成   年( )第     号
            民事執行法82条2項の規定による申出書

松山地方裁判所不動産執行係裁判所書記官 殿

平成27年11月9日
          申出人
           住所 愛媛県松山市~~
           氏名 愛媛 松山太郎        印
          申出人
           住所 愛媛県松山市~
           氏名 金融機関名 代表者名    印
  
  貴庁平成   年   月   日第     号           事件について、
申出人         と申出人          との間で、別紙物件目録記載の不動産に関する
(根)抵当権設定契約を締結しました。
 つきましては、民事執行法82条1項の規定による登記の嘱託を、同条2項の規定に基づき、
申出人の指定する下記の者に嘱託書を交付して登記所に提出される方法によってされたく申出ます。 
                        記
申出人の指定する者
        愛媛県松山市小栗6丁目5番39号 司法書士山岡事務所
        司法書士 山岡信己
        (電話 089-998-6355)
添付書類
  ・
  ・

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東京や名古屋などには、裁判所ホームページに見本があります。
また管轄裁判所にひながたが備え付けられているところもあります。


■添付書類は何ですか?
民事執行法82条2項の規定による申出書の添付書類
・金融機関の資格証明書
・(根)抵当権設定契約証書
・不動産の登記事項証明書
・不動産の固定資産税評価証明書
・買受人が個人のときは住民票
・買受人が法人のときは資格証明書
・登録免許税納付の領収書または収入印紙、切手

申出書には、入札した時の印鑑と同じ印鑑を押すことが必要です。
もしどれかわからなくなってしまった時は、申出書に実印を押印し、印鑑証明書を添付することで、入札時の印鑑と同じ印でなくてもOKになります。


この申出書の提出期限は、地域の裁判所ごとに提出期限が異なることに注意が必要です。
東京などであれば代金納付日の5営業日前に裁判所に提出しなければなりません。




Q司法書士に何を依頼できるか
・民事執行法82条2項の申出書、指定書、受領書、届出書の書類作成及び提出代行
・差押の抹消登記、担保権抹消登記、所有権移転登記、(根)抵当権設定登記の代理

これらをまとめて司法書士に依頼することができます。
司法書士は登記の代理、裁判所提出書類の作成及び提出代行が出来るためです。

提出期限が決まっているため、ローンを利用して落札しようとする人は、
あらかじめ前もって連絡しておく必要があります。
その際には、利用する金融機関の支店名と担当者もお知らせください。
金融機関担当者からの依頼の場合も同じで、前もってお知らせください。



Q 不動産屋さん以外の個人でもローン利用して落札できますか
A 不動産屋さん以外の個人であっても、これらの手続を利用することができます。


Q 当方は不動産業者なのですが、根抵当権でも利用できますか
A 根抵当権もこの手続を利用することができます。


Q 個人が住宅として使う場合に落札したら、売買で物件を手に入れた時と同様の減税措置を受けられますか。
A 個人が住宅として使う場合であれば、売買でなくても競落による買受で住宅用の減税措置を受けられます。
主な条件
・個人が居宅として利用すること
・床面積50平米以上であること
・木造であれば築20年未満であること
 (耐震適合証明書がある物件なら年数要件は不要)

所有権移転登記 
不動産評価額の20/1000の登録免許税から 
不動産評価額の3/1000の登録免許税へ軽減

抵当権設定登記
債権額(ローン借入額)の4/1000の登録免許税から
債権額の1/1000の登録免許税へ軽減


Q 金融機関担当者なのですが、抵当権設定契約書はどの程度の記載の状態のものが必要ですか
A (根)抵当権設定契約書は、署名押印の無いもの、物件の記載が無いものなど、不完全な契約書の写しを裁判所に提出することは出来ません。
物件欄は、慣習として担当司法書士が記載することが多いです。
日付欄は、融資を実行する日が確定しているなら、将来の日を記載しておきますが、地域ごとの管轄裁判所次第によっては、日付欄のみ空欄でも受付してくれる裁判所もあります。



Q 金融機関担当者なのですが、添付書類は何を準備してもらえばよいですか
A 上記添付書類のうち、不動産の登記事項証明書、不動産の固定資産税評価証明書以外を準備してもらってください。
不動産登記事項証明書を準備してもらっても結構ですが、裁判所の不動産執行係への提出の場合、不動産の登記事項証明書の有効期限は発行後1週間程度とされる裁判所もあります。


Q 登録免許税は合計いくらですか
A ・差押や担保権の抹消 不動産個数x1000円
    (この場合は、担保権や差押登記の数x1000円ではなく、不動産個数になります)
  ・所有権移転 20/1000
    (*土地について15/1000、建物居住用の場合など、軽減税率が適用される場合はその税率)
  ・抵当権設定 4/1000
    (*軽減税率が適用される場合はその税率)


Q 司法書士なのですが、民事執行法82条2項の申出と登記をする際に気をつけるべき点はありますか
A 管轄裁判所によって、提出期限や添付書類や運用が異なる場合があるので、事前打ち合わせしておくとよいでしょう。
市役所から取得するべき固定資産評価証明書についても、不動産所有者以外からの請求になるため、市役所に取得する際の持参物を確認しておくとよいでしょう。
裁判所からの納付書だけの役所も多いと思われます(^-^;
また、嘱託書については、決済取引で司法書士が用意する登記申請書とちがい、文字を書き加えたりすると公文書偽造/変造となり、書き加えるとこが出来ないので、嘱託書についても注意が必要です。








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