本日(日付が変わって昨日)、衆議院が解散され、10月31日の投票日に向けて事実上の選挙戦がスタートしました。

各党それぞれの公約を掲げ戦いをスタートしています。自民党の公約は、実現時期はともかくとして、自民党が与党となるなら実現に向かうだろうという期待をもちます。公明党にしても、自公政権が続く前提が叶えられるなら、多くの部分で実現が期待できます。無論、細かいところ、例えば夫婦別姓などは自民党の議員の中からの反対が予想され簡単に実現できないというものもありますが、公約の多くの部分が実現時期はともかくとして、公明党が与党となるなら実現に向かうだろうという期待を持てるという意味では自民党と同じになります。

 

これは立憲民主党についても同じです。

立憲民主党が政権与党になる場合は、立憲民主党が主体の政権であると支持者には期待できます。(ここでは政権担当能力が実態としてあるのかとか、そういう問題は触れません。)政権の主体である以上、その公約がら実現に向かうだろうという期待を支持者が持つことはできます。この意味では自民党と同じくということができます。

 

日本維新の会については少し事情が異なります。

何故かと申しますと、立候補予定者は91人、少し増えるとしても100人程度ですから、政権の主体となることは期待できません。そうすると公約を4年間で実現するという期待を支持者も持つことはできません。しかし、掲げている公約を見るとベーシックインカムの導入であるというような内容でかなり時間がかかるものであることが分かります。日本維新の会自身も、地方から進めていくという説明の仕方をしていますし、支持者も10年とか、そういうスパンで期待しているのであれば、支持者は納得して投票できるのでしょう。

 

これは共産党についても、ベクトルは真逆ですが、同じことが言えます。

漸次的移行なんていう言葉を共産党の方は以前から何度か口にしていますが、次の4年でというのではなく長い時間を掛けての社会変革を目指す政党だと支持者は認識しているでしょう。(ごく一部に法的要件ではない手段=武力による社会変革を手段の一つとして考えている支持者もいるでしょうが、選挙としての成果としての期待は社会変革を目指す手段の一つとしての期待です。)

 

さて、問題は国民民主党です。

今の時点で23人しか候補者がいないなかで、多くの政策を掲げています。政権の主体となることは到底期待できないのですが、支持者には、4年以内の実現を期待させるような政策が目白押しです。

 

では、立憲民主党と共産党と社民党と国民民主で過半数とれたとして、政策が実現するでしょうか?

答えは否です。30名以下の候補者では政権の主体にはなり得ないのですから、立憲民主党の政策が優先されるのが当たり前で、その中で国民民主党の政策が実現する可能性はほぼありません。

 

例えば国民への一律10万円の給付にしても、立憲民主党は一律給付に反対しています。年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税と、低所得者への年額12万円の現金給付、それに消費税の5%という立憲民主党の公約より、国民民主党の一律10万円が優先されるスキームが全く見えません。

 

自民党と公明党が2党で240議席をわずかに下回った場合に、維新を取り込みたくないと自民党の執行部が判断した場合に、国民民主党を取り込むために、国民民主党の政策をいくつか呑んで閣外協力(閣内でも良いのですが)をするという話は起こりえる可能性はあります。逆に言うと、私はそれ以外に国民民主党が支持者に対して満足させる成果を出せる方法はないのではないかと考えます。

 

しかし、国民民主党は、野党での政権実現という方向性を未だに打ち出していて自民党と組む可能性には一切言及していません。それを想定しているのなら、選挙前に正直に述べずに選挙を戦うのでは、国民民主党は決して有権者から広い信用を得ることはできず支持が拡大することはないでしょう。

 

国民民主党が自民党と選挙後に組むことはあり得ないと言うのであれば、立憲民主党と共産党と社民党と国民民主で過半数をとり、かつ、例えば、比例で国民民主が立憲民主党の2分の1を上回る得票をしたなら、国民民主の政権公約のすべてを認めさせる、3分の1にとどまったなら、これだけということを立憲民主の枝野氏と話を纏めてから選挙前に有権者に話をするべきです。

 

それが国民民主党の言う誠実な政治でしょう。

これをせずに、どれだけ我々は誠実ですと言ったところで、有権者から信用されることはないでしょう。