岸田総理は総裁選の中で自身が変わられたことをひとつのPR材料としてこられました。

良くも悪くもスマートで総理になるために我武者羅になるということがなかった岸田氏の印象が、今回の総裁選では変わりました。

総裁になる中で岸田氏が岸田2.0になったとするのであれば、次は本当の意味で総理(既に100代目の総理となっていて、何もせずにも101代にもなるでしょうが、名宰相となるという意味で)になるために3.0にバージョンアップする必要があるかと思います。

 

岸田3.0になるために必要なことは、「岸田新総理の所信表明演説と声を聴く仕組みづくり」で既に述べていますが、自民党の議員が議論する内容をリアルタイムで伝え、そしてリアルタイムで国民や自民党員が反応を伝える仕組み作りをするという党内改革を断行することを明言することが、最も国民に変化を感じさせることができるでしょう。

 

ご存じの通り、自民党には憲法改正推進本部などをはじめとする様々な党内会議が既に存在しています。この中には国土強靭化推進本部などもあるわけですが、会議の内容は、後から議事録として公開されるもので、なかなか国民からその組織の実情や活躍が見えてきません。関連する省庁が事実上の事務局を務め、事務局の作った方針を説明し、了承をするだけの機関となっている組織がないかと問われるなら、それを否定するほどの材料を私は持っていません。(無論、部会によってはしっかりと提言を毎年出している部会もありますが。)

 

自民党のホームページを見ると特別機関として15の組織が書かれていますが、そのうち5つの組織の本部長が二階俊博氏です。

一人の人が5つもの組織の本部長というのは少し異常な状況に見えますから、これを少し改変することも重要でしょうが、既存の組織を作り替えるより、より細かい組織を複数立ち上げる方が良いと私は考えます。

 

例えば地方創生実行統合本部は、現在、河村 建夫氏が本部長をされておられますが、提言をしているのは2019年が最後のようで、その提言内容のリンクもリンク切れとなっています。地方からのヒアリングなど継続的に活動しているのだとも思いますが、これらの動きが国民にはなかなか見えてきません。

 

例えば「○○(九州とか)地方における地方創生実行のための党内会議」と称する組織を複数立ち上げ、それぞれの地方選出議員がそこに入る。議員は、○○地方の地方創生を実現するためになにが必要か、自由闊達に議論して、その議論において国民や党員の反応を確認しながら、特にこういう予算が必要だとか、現在ある規制の中でこれが問題になっている、あるいは逆にこういう規制があった方が持続的な発展を促せるというような議論をすすめる。一定の方針を持った上で、予算編成にどのように活かせているか確認し、必要があれば総理に対して提言を行い予算修正を促すという役割を果たすなら、国民は持続的に期待感をもつことができるでしょう。

 

無論、結果に対しても、しっかりと確認していき修正点を探し、次年度以降の予算組みなどでも活用していく、PDCAサイクルをしっかりと回せば、この党内会議は極めて有用なものになるでしょう。選挙戦において、与党の議員がなにをしているのか見えないとの声も聞きます。政務官を務めていた人にまで、そういう声がでているのを見ると、国民こそ何を見ているのだろうかとも思ってしまいますし、ただツイッターで文句を言っているだけの野党議員の方がテレビでたまに出ていると言うだけの理由で活躍していると言われたりする有様では、国民こそ勉強して積極的に情報収集した方が良いのではと思ってしまうのですが、現実は、そんなものです。

 

多くの国民が見てくれるところで、発言しないと伝わらないのです。

 

「○○(九州とか)地方における地方創生実行のための党内会議」とかであれば、その地方の人にとってはとても高い関心時になるでしょう。

その党内会議をライブで配信され、かつ自分も反応を示せるとしたなら、多くの人が配信を見ようと考えるでしょうし、その党内会議で建設的な意見を出す議員がいれば、その議員の普段の頑張りを有権者が知ることにもなるでしょう。

 

選挙戦はあと7日です。選挙戦の最中こそ、今まで打ち出せなかったことを打ち出せる最大のチャンスです。

岸田総理が、地方にきて遊説してくださるのは嬉しいのですが、それ以上に重要なのは、新たな施策(政権公約は既にだしているので政権公約ではなく党内会議の変革という別の視点からの施策)を打ち出すことだと思います。