初オリーブオイル
2時間経過したあとの
出来上がったオリーブオイル。
新鮮な香りが
充満している。
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旧市街で一息つき、
少しだけ旅行気分を味わって
戻ってくると、
機械はまだ動き続けていて、
それでも出来たところから
味見をさせてもらえた。
実は、この瞬間が
一番ドキドキした。
なぜかというと、
前回、搾油所がオープンしたての頃に
味見させてもらった、よそ様の搾りたてオイルが
今ひとつだったからだ。
もとより、
搾油所自体が持っている機械の特徴もあってか、
全般的にマイルド…というよりか、
薄味傾向なのかと思っていたし、
味見したよそ様のオイルは、
ピリピリというより
喉元がヒリヒリして
なのに、味がない
決して美味しいとは言えない代物だった。
搾りたてが必ずしも美味しいとは限らない。
美味しくないものは、美味しくない。
「それは、オリーブの出来やその土地の質にもよるよ。」
世話役フランコは、そう言っていたけれど
何しろ初めての土地、
良いのかどうかもわからないし
今年は剪定もしていない
自分のところのオリーブを知る…というその瞬間。
やっぱり、緊張する。
搾り取っているオリーブの香りが
部屋中に蔓延しているから
味見をするオリーブオイルの香りかどうか
微妙に思いつつ、
ズズズとすする。
あ、味がする。
ほんのりとする苦味が心地良く
マイルドだけれど、
バランスの良い濃厚さ。
贔屓目かなぁ…と思っていたら
さっきの若者がやってきた。
「なかなかの出来だね。おめでとう。良い感じに仕上がっている気がするよ。」
お世辞かもしれないけれど、
そう言ってくれた。
ちょっとホッとする。
でも、のんびりはしていられない。
なにしろ
始まりは、これから
なのである。